公共サービスにおけるICTの役割(英国)
Why ICT? The role of ICT in public services
2005年 The Work Foundation(英国)
ICT(情報通信技術)を活用して、公共サービスをどのように改善していけば良いのか教えてくれます。
行政職員と市民に対するアンケート結果等を踏まえて、
・品質(Quality)
・顧客重視(Customer focus)
・価値(Value for money)
・人事(People management)
の4視点から、改善方法等を提案しています。
興味深いのは、行政職員と市民のギャップ。行政職員がサービスの質を高めるためには、人もお金も必要と考えているのに対して、市民は政府の無駄遣いを少なくして、使うお金に見合った価値を作って欲しいと考えています。
また、行政職員がよりきめ細かいサービスを提供するのが良いと考える一方で、市民は、より柔軟で選択肢のあるセルフサービスを望んでいたりします。
政府の財政が厳しくなり、使える資源(お金や人)が少なくなってくる中では、市民がセルフサービスを利用できる環境を整備していくことが、より重要になるでしょう。その方法・選択肢として、電子政府があります。
そして、セルフサービスを使えない人だけに、よりきめ細かい(人を介したアナログな)サービスを提供することになります。本人の「自力」を引き出すという意味では、介護サービスの考え方に近いものがありますね。
電子政府が市民から信頼を得るためには、
『今までこんなに無駄遣いしました。ごめんなさい。でも、これからはガラス張りの透明なやり方で、これだけの無駄を減らします。でも、サービスは、こんな風に良くなります。』
と訴えていく必要があるでしょう。
企業と違い「儲け」を第一としない公共サービスにこそ、まともな金銭感覚が必要です
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