オーストラリア政府による電子調達の事例研究

2004年に実施されたオーストラリア政府(情報管理局)による電子調達に関する報告書。『 Case Studies on E-procurement Implementations (PDF) 』のタイトルで、イタリア、英国(南ウェールズ、スコットランド)、ニュージーランド、西オーストラリアといった国内外の事例を研究し、電子調達のあるべき姿を整理しています。この調査結果を踏まえて、2006年に『Strategic Guide to e-Procurement』が発表されました。

電子政府先進国であるオーストラリアは、電子調達については、どちらかと言えば後発地域であったと思いますが、後発であることの利を生かすべく、国内外の事例をしっかり研究し、政府の電子調達ポータルなども整備され、この分野でも先進国となってきています。

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本報告書でも述べられているように、電子調達において基礎となるのは、調達制度の改革です。調達制度を変える中で、電子調達という手法が存在するのですね。

ですから、現行の調達制度を十分に検証し、改革を実施しないで導入される電子調達は、お金がかかる割にはあまり効果を期待できないので、止めたほうが良いでしょう。

調達制度改革の次に語られるのが、ビジネスケース(日本風に言えば「ビジネスモデル」かな)です。つまり、実際の利用者(発注者、受注者)のニーズや実務を考慮して、「これなら実際に使ってもらえるだろう」「うまく回っていくだろう」という仕組み(ケース)を考えるのです。

「調達制度改革」と「ビジネスケース」、この二つの視点で見ると、現在の日本における電子調達・電子入札(中央省庁、地方自治体)の不備な点が見えてきます。

横須賀市のような特殊な?事例を除くと、調達制度の改革や費用対効果等の検証も不十分で、実施件数や地域だけ増えている(電子申請における電子申請化率と同じように)といった感が否めません。

ところで、電子調達における「調達制度改革」と「ビジネスケース」の重要性、電子申請でも同じことが言えます。

電子申請の場合は、「行政改革」と「サービスモデル」となりますが、この二つの視点から見直すことが出来れば、利用者も増えるはずなのですが、この二つ共に行政が最も不得手とする分野であることも事実。

つまり、優れた電子政府・電子申請サービスを実現するためには、あらゆる段階と場面において、市民や企業の協力が必須なのです。

電子調達は、大きな金額が動くだけに、費用対効果を挙げやすい分野でもあります。「調達制度の改革」と「ビジネスケースの確立」を実現させて、しっかり元を取りましょう

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