成果目標が無かった今までの電子政府
電子政府の評価を見ていると、今までの電子政府の施策(プロジェクト、プログラム)は、成果目標さえなかったことが明らかになっています。通常の施策であれば、ビジョンや目的(ゴール)が明示され、成果目標(ゴールに到達したかどうかの目安)があり、最後に、掲げられた目標を達成するための方法が記述されます。
例えば、「e-Gov電子申請システム」を見てみると、メニューは書いてあるのですが、このサービスが「誰のために」「何を目的として」提供されており、「どんなことができるのか」が、よくわかりません。
ビジョンや目的が明確でないサービスは、当然ながら、その後に続く「成果目標」も出てきませんよね。
さて、「成果目標」がないのは、とても恥ずかしいことと認識した上で、では「成果目標」を掲げれば良いのかと言えば、もちろんそんなことはありません。
「言うは易し、行うは難し」ですから、絵に描いた餅で終わってしまいそうな成果目標では、ダメなわけです。そんなものに貴重な税金を使わせてはいけないのです。
つまり、「実現性の低い成果目標を掲げるプロジェクトは、修正が無い限り、スタートさせない」こと、これが大切になります。
現在の日本の電子政府は、ようやく評価体制が生まれ、今回(1回転目)のチェックを踏まえて、全ての電子政府プロジェクトに「成果目標」が付けられることになるでしょう。
しかし、その「成果目標」が適切なものであるのか、達成するための方法が妥当であるのかについてのチェックは、2回転目、3回転目にならないとできないと思います。
電子政府におけるPlan(計画)、Do(実行)、Check(評価)、Action(改善)のサイクルが、形だけでなく実のある仕組みとなるまでには、最低でも3年はかかるでしょう。
もちろん、きちんと育てていかないと、いつまで経っても「実」は生りません。