過保護な利用推進は電子政府サービスをダメにする

電子政府・電子申請の利用を推進していると、以前にも増して、「電子政府笑い話」を聞かされることが多くなった気がする。とりわけ、無理やり電子申請を使っている士業の方の話を聞くと、果たしてこれで良いものかと考えてしまう。

例えば、司法書士さん。

業務歴の長い司法書士さんの事務所は、登記所の近くにあることが多い。歩いて30秒といった感じ。

そんな状況では、どう考えても、今まで通りに紙で申請した方が早い。

ところが、「電子政府・電子申請の利用推進」という立場から、わざわざ手間のかかる電子申請を使うのである。
→この行為を「修行」と呼ぶこともあるらしい。。

担当の行政職員や周囲の同業者からは、「なんと物好きな・・・」と見られてしまう。

こうなると「電子申請の利用者・推進者」と言うよりは、「電子申請マニア(敬愛を込めて)」という感じで、果たしてこれで良いものかと考えてしまうのである。

電子政府・電子申請サービスの健全な発展を考えると、「電子申請マニア」の利用により、行政側が「喜んで使ってもらっている」と勘違いをしてしまう恐れもある。

作者の学生時代、友人のK君が、付き合い始めたばかりの彼女から「手作りクッキー」をもらった。

ところが、K君はクッキーが大の苦手(いわく「口の中が砂漠になるから・・・」)。

心優しいK君は、「美味しい、美味しい」と言いながら、彼女の手作りクッキーを食べたのであります。

その後、3倍ぐらいに増量したクッキーが現れたときには、さすがのK君もギブアップ

彼女に素直に事情を話して、増量クッキーは、作者が美味しく頂いたのでした

と、そんな話しを思い出させ、作者を郷愁へと誘うのが、今の電子申請でございます。

そこで思いついたのが、各士業による「使いたいと思わない電子申請を、使いたくなるまで使わない運動」である。

電子政府推進員としては、言ってはいけないような気もするけど、電子政府・電子申請のことを大切に考えると、そうした方法もありかなあと思っちゃう。

この運動が実行されれば、「勝ち組」と「負け組」がより明確になり、使えないサービスは自然淘汰されるもんね。

ちなみに、作者が本ブログで「電子政府を使ってみよう」と紹介している電子政府サービスは、どれも「実際に役に立つ」と感じたものばかりでございます

“過保護な利用推進は電子政府サービスをダメにする” に9件のコメントがあります

  1. 使わない運動賛成
    牟田さん ちょっとお久しぶりです。

    「使いたいと思わない電子申請を、使いたくなるまで使わない運動」

    いいですね。うちは30秒よりちょっとかかる3分ぐらいですか、歩いて。ちょうどいい運動なんですが、オンラインで運動不足にならないようにしないといけません。

    ヒンズースクワットしながらオンライン申請すればいいのか。

  2. 役所に行くことが
    sagoさん、こんばんは。

    どうも、お久しぶりでございます。

    1ページ入力ごとに、ヒンズースクワット10回が目標ですね

    ところで、電子申請って地域の士業の方が頑張って使っている印象もあります。

    都内の方は、交通の便も良いので、役所に行くことがそれほど苦にならず(担当者と話が出来る等のメリットも大きい)、別にオンラインじゃなくても良いとか。。

    そもそも、「役所に行くこと」は大切な仕事の一つ、といった考えもありそうですね。

  3. 資格を剥奪すると脅されますよ
    役所の資格開放・規制改革政策のわなにはまっています。ある資格団体は、登記もほしけりゃ税務申告もほしいと、声をあげていますが、自分の資格ももう風前のともし火となっているや否や?灯台下暗しってか?経済制裁も効き目がある國とますますいこじになる國があるように、役所によっては度つぼると思います。かといって太陽政策にも限界があるしね。まずは政権交代がさきかな。

  4. 5000円じゃあねえ
    えーと 登記関係の免許税減額、10パーセントの上限が5000円です。

    まあ うちあたりは10%だと、1000円から3000円のお得ですが、わざわざ面倒なことしてオンラインするような額ではありません。

    ということで、減額になっても「使いたいと思わない電子申請を、使いたくなるまで使わない運動」は推進ですね。半額になるまでしない。

  5. 自民党税調案から!
    「電子政府の構築に向け、オンライン登記申請の利用促進を図る観点から、

    平成20年1月1日から2年間の措置として、一定の登記を受けようとする者

    が、オンラインにより当該登記の申請を行った場合には、一定の要件の下、

    当該登記に係る登録免許税の税額を次のとおり軽減する。」

    (1)対象となる登記

    不動産登記:所有権の保存登記・移転登記、(根)抵当権設定登記

    商業・法人登記:法人設立の登記

    (注)「法人」とは、株式会社、合名会社、合資会社等をいう。

    (2)軽減税額(税額控除額)

    登録免許税額の10% 又は5千円 のいずれか低い金額

    [考え方]

    ○措置の必要性:

     登記申請はオンライン利用促進対象手続の上位に位置する申請件数の

    多い手続きであることから、司法書士等によるオンライン利用を本措置に

    より促進することにより、行政手続全体のオンライン利用率の向上に寄与

    する。

    ○適用開始時期:

     平成19年末までに全国の約9割の登記所でオンライン登記申請が可能

    となる見込であることから、平成20年1月からの適用とする。

    ○軽減税額:

     オンライン登記申請に対するインセンティブ措置として税額を10%軽減

    するが、国税の電子申告に対する措置とのバランスを勘案して、5,000円を

    上限とする。

    ~もう、やる気ないみたいね。乙号オンライン(いや登記情報サービス)で50%目標達成すれば、いいわけがたつ。甲号なんかしらない、どうにでもなれ。国民が反対でないなら、登記識別情報制度だけが残ったって関係ない。あとは司法書士次第か・・・。銀行の囲い込みに魂を売る司法書士。ああ。それでも会の執行部・大御所たちは、登記識別情報を温存すると言

    う。どこまでもおひとよしか。

  6. チリも積もれば
    sagoさん、こんばんは。

    情報ありがとうございます。

    免許税減額、10パーセントの上限が5000円ですか。個人的には、実現しただけでもスゴイと思うのですが。。

    一部の企業や士業にとっては、インセンティブとなるかもしれませんね。あるいは、このインセンティブを活用したい意欲から、サービス改善への要望が上がるかもしれません。

    今までは、傍観者が多かったのですから、免許税減額をきっかけに関心をもってくれる人が増えれば、それなりの価値はあると思います。

  7. Unknown
    牟田さん おはようございます。

    そうですか、実現しただけでも違うか。

    1万なら、司法書士間の競争が起こりえるのですが、5000円だと、報酬の範囲でなんとかなるか。

    今のオンラインでは手間がかかって、報酬を倍くらい取りたくなりますからね。

    あとは、添付省略かな。電子申告は一気に進みますね。社保関係も思い切ったことが予定されているのでは?

    登記はいつまでも取り残されます。

  8. お客さんの反応が鍵
    sagoさん、こんばんは

    コメントありがとうございます。

    司法書士さんが使いたくなくても、今回の減税をニュース等で知ったお客さんは、依頼するときに「電子申請でお願いします。」となるかも。。

    そうなると、司法書士さんはどう対応するのかな~と興味津々です。

    「うちは、電子申請だと割増料金を頂くんですよ。」とかだったら笑えない

    いずれにしても、「はじめの一歩」として意義はあると思います。

  9. 確かにその反応はコワイ
    牟田さん ありがとうございます。

    これは効き目があるでしょうね。

    でも その分 紙の方が早いのでお安くします、といわれると。

    不当誘致で縛るか。最近はこの言葉も効き目がない。

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