従業員関連手続きの電子申請、次のステップへ行くために
作者も少しお手伝いした「従業員関連手続きの実態に関する調査」(EABuS)について、日経BPの記事が公開されています。→『「使われるオンライン申請」は、企業の従業員関連手続きから 』
調査内容は、「企業側の視点」から従業員関連手続きの業務フローを整理し、問題点(渋滞が起きている箇所)を明らかにして、その渋滞を解消するためには、どうしたら良いかを整理するといったものです。(詳細は、紹介記事をご覧下さい)
確認しておきたいことは、「企業の従業員関連手続き」の多くは、既にオンライン化・電子化されている、ということです。
しかしながら、実際の利用は思ったほど進んでいない。それが現状なのです。
次のステップへ進むためには、
1 利用対象者を絞り込み、整理する
2 対象手続を絞り込み、整理する
3 サービスを改善する(ユーザーテスト実施が必須)
4 広報キャンペーンを実施する(相手とタイミングが大切)
5 利用状況(利用者の反応)を分析する
といったことが必要です。
重要なのは、サービス展開の基本となる「利用対象者の整理」をおろそかにしないことです。
「利用対象者の整理」なくして、サービスの改善も利用推進キャンペーンもあり得ません。
多くの電子申請サービスが、「利用者の視点」と言いながら、「利用者が誰なのか」わからないままサービスを展開してきたのですから、利用されないのは、むしろ当然と言えるでしょう。
例えば、大企業のA社。
全国各地に営業所や支店があり、企業内の電子化も進んでいます。
「これは、電子申請を利用してくれるに違いない」と思ったら、「うちは、そうした手続の処理は外注してるから、電子申請は必要ないです。」とのこと。
こうなると、利用対象者は「大企業」というよりは、「大企業の外注先」となります。
続いて、ある中小企業。
「うちは、経理担当者に任せているから、そっちに聞いてよ。」
なるほど、利用対象者は「経理担当者」だな。この人に電子申請を利用してもらおう。
「市販のパッケージソフトで処理して、印刷・仕分け・持参(または郵送)してます。そのままインターネットで申請できたら便利ですね。」
うーん、そうなると市販のパッケージソフト会社と協力したほうが良いのかなあ
というように、利用対象者は、できる限り具体的にイメージしていくことが大切です。
「申請者」と言っても、実際には「申請者本人(権利者)」以外に、
・申請決定者(各部門の部長、課長)
・申請行為者(担当者、パソコン操作者)
・申請代行者(士業、代行センター、関連子会社など)
・申請支援者(IT担当部門、業務支援ソフト、行政職員、士業など)
などが存在し、それぞれ電子申請サービスの利用に影響を与える人たちなのです。
利用者を知ること、利用者の視点でサービスを考えることは、とってもとっても大変で面倒で地道な作業です。
しかし、それを怠るのであれば、間違いなく「使われない電子申請」となってしまうのです
「使われる電子申請に近道無し」でございます