住基ネット関連訴訟、いま行政がやるべきことは
第14回住民基本台帳ネットワークシステム調査委員会の配布資料(最新の利用状況、情報セキュリティ対策、住基ネット関連訴訟など)が公開されています。憲法違反や住基ネットからの離脱を認めた「大阪高裁判決(H18.11.30)」と、住民からの請求(本人確認情報の削除など)を棄却した「名古屋高裁金沢支部判決(H18.12.11)」の比較は、わかりやすくて良いですね。
住基ネット関連訴訟の判決については、どちらも妥当な範囲と思います。
インターネットを中心として、情報化・ネットワーク化が急速に進んだ現在、法律や裁判が今まで以上に遅れをとっているのが現実ですから、
プライバシー権や自己情報コントロール権について、明確に定義し、妥当性を判断することは難しく、法的に不安定な状態にあるということですね。
ただ、現実的に考えると、住基ネットから自己の本人確認情報を削除したところで、行政を経由した個人情報漏えい等の危険性や、データマッチングや名寄せの危険性から逃れることはできないでしょう。
たくさん穴(危険)があるのですから、「住基ネット」という穴だけ塞いでも、もっとひどい穴がいっぱいあるわけで、実際の効果はあまり期待できないのですよね。
行政としてやるべきことは、
住民との信頼関係の回復であり、自身の透明性の向上です。
そこから始めない限り、住基ネットや住基カードの普及は、ますます困難になるでしょう。