500以上の政府サイトが廃止へ、利用者視点で電子政府サービスの最適化を(英国)

英国の内閣府から2006年度の電子政府レポート‘Transformational Government Annual Report 2006’が発表されました。この中で、市民や企業がより簡便に情報・サービスを利用できるように、551の政府ウェブサイトを廃止するとあります。この戦術(施策)は、非常に重要な意味を持っています。

関連>>廃止されるウェブサイトの一覧(PDF)

政府ウェブサイトの整理・統合の必要性については、「行政情報の電子的提供」などでも取り上げましたが、何年も前から作者が訴えていることの一つです。

政府ウェブサイトを整理・統合することで、

・利用者視点のサービス実現
・行政間の連携促進(縦割りの緩和)
・サイト運営経費の削減
・政府が保有する情報資産の有効活用と管理・保存

といった効果が期待できるからです。

現在、日本の電子政府では、政府の『業務・システムの最適化』が進められていますが、それと同時に必要なのが、『政府ウェブサイトの最適化』と『行政手続・サービスの最適化』です。

この3つの視点から最適化を進めていかないと、本来の情報アーキテクトから離れて行ってしまうでしょう。

英国電子政府の戦略における理念は3つ。

・customer-centric services
・shared services
・professionalism

日本語で言い換えると、

1 顧客中心のサービス
2 行政事務におけるサービスの共有
 (情報システム・サービスの共同利用によるコスト削減、縦割りの解消など)
3 専門家の育成・活用
 (ITの専門家+政治、法律、統計、経済等の専門家=適材適所で全体能力を向上)

この3つを実現していくために、「551もの政府ウェブサイトを廃止する」という施策が有効と考えられているのです。

そこには、「利用率50%」ばかりが大きく取り上げられる日本の電子政府・電子申請サービスの施策とは、決定的な差があると言えるでしょう。

「利用率50%」を達成したら、果たして

・国民にとって嬉しいサービスが実現される?
・縦割りが解消される?
・無駄な投資が減る?

一時の停滞を乗り越え、市民中心の考えを徹底する英国の電子政府は、今後も成長と発展を続けることでしょう。

関連>>Over 500 U.K. Government Web Sites Set to Close (Government Technology)必要な公共サービス・情報に直行:英国の政府ポータルサイト(NTTデータ DIGITAL GOVERNMENT)英国政府、市民向け行政サイトを大幅リストラ──551のサイトを閉鎖(Computerworld.jp)