電子政府の「安心」は「見通しの良さ」で高める
利用者視点で考えたとき、電子政府・電子申請サービスのポイントは、早い、安い、簡単、便利、そして安心です。「安心」には色々な意味が含まれているので、少し整理してみましょう。
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電子政府・電子申請サービスが、実際に使ってもらえる前に、国民から信頼を獲得するプロセスが必要になります。
知る、信頼する、理解する、準備する、使う
という順番ですね。
信頼なくして、利用なしでございます
さて、電子政府の「安心」を考えるにあたっては、「安全」と分けて考える必要があります。
「安全」は「安心」を実現するためには欠かせない要素ですが、安全=安心ではありません。
国語辞典・新語辞典(goo 辞書)で調べてみると
安全:危害または損傷・損害を受けるおそれのないこと。危険がなく安心なさま。
安心:心が安らかに落ち着いていること。不安や心配がないこと。また、そのさま。
となっています。
そうです。「安心」は、文字通り人の心(精神)の問題なのです。
ですから、例えば住基ネットのセキュリティや個人情報保護対策が、どれだけ厳重になったととしても、「安全性」は高まるかもしれませんが、必ずしも「安心」を得られるわけではないのです。また、人によって、感じ方も様々でしょう。
そんな心の問題である「安心」を高めるには、何をすれば良いのでしょうか。
作者は、
情報公開や説明責任を中心とした、政府(「電子」に限らない)の透明性を高める作業を地道に続けながら、国民と対話する機会を増やし、良好な関係を作り上げていくこと
が有効と考えています。
このように考えた時に、はじめて電子政府の「安心」を高める具体的な方法が見えてくるのです。
最後にヒントとして、「安心」を高める要素を挙げておきましょう。
・情報公開が徹底している
・国民にわかりやすく説明している
・わかりやすい運用ルールが確立されている
(=トラブルを予見できること)
・責任分担に「利用者視点」を入れている
(国民に責任を押し付けないこと)
加えて、一定のレベル以上で
・システムが安定している
・セキュリティを維持している
・個人情報・プライバシー保護の対策を採っている
まずは、「安心」にとってプラスになる感覚(気持ち、感じ)とマイナスになる感覚を、自分たちの言葉で整理してみるのがオススメです。
例えば、なるほど、わかりやすい、信頼できる、考えてくれている、選択できる、といった感覚は「安心」を高めてくれますが、
難しい、ずるい、信用できない、うそ臭い、強制されている、といった感覚は、電子政府を「安心」から遠ざけてしまうでしょう。