電子政府世界ランキング2007、評価で測れない「人」の価値
早稲田大学の電子政府・自治体研究所から「第3回電子政府世界ランキング2007(PDF)」が発表されました。電子政府のランキングは、アクセンチュア、国連、ブラウン大学などが有名ですが、それぞれに個性がありますね。本ランキングは、バランスの取れた「理想の電子政府」を目指すとのこと。
関連ブログ>>アクセンチュアの電子政府レポート2006|ブラウン大学の電子政府レポートから学ぶ利用者視点|国連の電子政府レポート2005年版から学ぶ|世界価値観調査に学ぶ:新しい電子政府ビジョンを
具体的には、次の6分野(全体で26項目)について個別に評価・検討されています。
(1)ネットワーク・インフラの充実度
(2)アプリケーション・インターフェース・オンライン・サービス
(3)マネジメント最適化
(4)ホームページの状況
(5)CIOの導入・評価
(6)電子政府の戦略・推進・振興状況
結果として、日本は4位に入っているわけですが、ランキングの順位だけを見ると、まさかオンライン電子申請サービスの利用率が数パーセントで低迷していると思わないですね
国内外の電子政府を長年見ていると、浅学で鈍感な作者でも、何となくですが、電子政府にとって重要なもの見えてきます。
成功要因や「するべきこと」はたくさんあるのですが、最も重要なものは何かと聞かれれば、やはり「人」という所に落ち着きます。
しかも、その「人」が「どう感じるか」という、極めてシンプル、でも曖昧で何とも厄介な(数字化、システム化にしくい)要素が、現実として電子政府のパフォーマンスに非常に大きな影響を与えているのです。
例えば、電子政府に対して、より多くの人たちが「心地よい」「面白そう」「しっくりくる」「納得できる」「それは必要だ、大切だ」「一緒に手伝いたい」と感じてくれれば、「やる気」「元気」というエネルギーとなって、電子政府のパフォーマンスを様々な角度から支援し、向上させてくれるのです。
さて、一言に「人」と言っても、それぞれ立場や個性があります。
首長・大臣、CIO・補佐官・IT部門責任者、個別業務のシステム担当者、現場の窓口サービス担当者など、行政内部だけでもたくさん。。さらに、国民や企業が加わると、もう数えるのも分類するのも大変です
けれども、そこにランキングは存在しません。どの「人」も同じぐらいに大切なのです。
もちろん、それぞれの立場や組織単位の中に、核となる人(例:チェンジリーダーなど)は存在しますが、「人」の大切度にランキングは付けられませんし、あまり意味が無いことです。
電子政府は、よく「公務員の削減」と結び付けられますが、それは目的ではありません。
電子政府を進める過程で、政府全体の政策や社会・経済事情との関係で、結果として「公務員の削減」が達成されることはあるでしょう。
しかし、政府(に限りませんが)には無駄な「仕事」は存在しても、無駄な「人」は存在しないのです。
それでは、国民・行政・企業・ITベンダーなど、あらゆる立場の「人」が「どう感じるか」を知り、マイナスではなくプラスの気持ちを引き出し育むためには、どうすれば良いのでしょうか。
具体的な方法としては、満足度調査、利用者アンケート、個別ヒアリングなどがああります。ここでは、「聴く」という作業が中心となります。
けれども、これだけでは不十分で、取りこぼしがたくさん出てきてしまいます。「聴く」側の能力が低ければ(例えば「どんな質問をすれば良いのかわからない」など)、費用に見合う結果は得られにくくなります。
そこで有効となるのが、「感じる」という方法です。
「人」が「どう感じるか」という曖昧で抽象的なものに対しては、類似する方法で対応するのが良いということですね。しかも、基本料はタダ、無料です。(なので、上記ランキングでは対象外とされた発展途上国でも、じゃんじゃん使えます)
しかし、「感じる」と言っても、(一般の人は)テレパシーでピピピーと「感じる」わけにはいきません
ですから、「常日頃から、人がどう感じるかを気にかける」とすれば良いのです。
自分が関係する電子政府サービス(戦略、計画、システム、何でもかまいません)について、「常日頃から、人がどう感じるかを気にかける」ことで、様々な課題が見えてきます。
そして、「どうやったらプラスに感じてもらえるか」と考えを深めていくことで、具体的な解決方法(一つではありません)も見えてくるのです。
この「常日頃から、人がどう感じるかを気にかける」アンテナの良いところは、「無料」というだけでなく、使っているうちに、「どんどん感度が上がってくる」ことです。
電子政府に関係する人は、今日から(と言わず今すぐにでも)「常日頃から、人がどう感じるかを気にかける」アンテナを張ってみてください