電子政府サービスにおける開発手法のあり方(1):全体の流れの中で「開発」を考える
今回は、電子政府サービスにおける開発手法のあり方について考えてみたいと思います。
●電子政府を取り巻く厳しい状況
電子政府も以前はバブル期があったと思いますが、現在は、事前や事後のチェックが厳しくなり、電子申請や施設予約といった電子政府サービスについて
・あまりお金をかけられない
・議会や国民のチェックが厳しくなっている
・成果や費用対効果が求められる
といった状況になっています。この傾向は、国よりも自治体が強いように思います。ですから、
・より慎重な投資を行い
・企画、開発、運用における透明性・公開性を高めて
・費用に見合った成果(サービスの利用率等)を示す
必要があるわけです。
こうした状況は、電子政府・電子自治体の関係者にとってはシンドイことかもしれませんが、「より良い電子政府・電子申請サービスの実現」を長い目で見た場合は、とても良いことと言えます。
●使ってもらえる電子政府サービスを作るには
実際に使ってもらえる電子政府サービスを実現するためには、
1 企画:マーケット調査、市民参加など
2 開発:適切な開発手法の選択
3 運用(保守):第三者評価、監査、利用者フィードバックの継続など
といった各段階で、必要な方策を実施することが必要です。
「開発」の段階では、実現したいサービスや業務・組織改革の内容、使える資源(予算、人材、時間など)等を考慮して、より適切で効果的な開発手法を選択する必要があります。
実際には、様々な理由から必要な方策を実施しない(できない)ため、「利用してもらえない」という事態が生じているわけですが、注意しなければいけないのは、上記の3つは密接に関係し、相互に影響を与え合っていることです。
例えば、「企画」の段階で十分な調査・分析、市民(利用者)参加がないと、要件定義が不十分なまま「開発」が進められる可能性があります。
「運用」の段階では、できあがったサービスについての効果的な広報活動ができません。誰に対して、どのような手段とタイミングで宣伝・啓蒙すれば良いかわからないからです。
今回は、特に「開発」の部分に焦点を当ててみますが、あくまでも、全体の流れの中で「開発」の役割を考えるよう心がけたいと思います。
なお、「企画」については、『利用者の「ニーズ」は、こまめに何度も考える必要がある』などを、「運用」については、「電子政府の評価」なども参考にしてください。
次回は、「電子政府における開発手法」を紹介したいと思います。