電子政府と民間サービスとの連携:図書貸出予約サービスの場合
総務省から「電子自治体推進のための住民アンケートと改善のポイント」が公開されています。
オンライン手続と自治体ホームページに関するアンケート調査結果(住民の利用状況、利用満足度、ニーズなど)を踏まえて、今後の改善に向けたポイントを取りまとめたものです。
この中で、「オンライン手続利用の満足度、不満点・改善ニーズ」の例として、「図書館の図書貸出予約サービス」が取り上げられています。
関連>>横浜市図書館:インターネット図書貸出予約|長崎県立長崎図書館:インターネットサービス利用の手引き|日本図書館協会
●利用者満足度は高い?低い?
利用者満足度については、「満足している」(56.6%)、「どちらかと言えば満足している」(34.7%)となっており、9割以上が満足しているとされています。
しかし、「満足している」と回答しなかった人が半数近くおり、「より良い電子政府・電子自治体」を目指すのであれば、まだまだ改善すべき点が多いと理解したいところです。
●不満点、改善ニーズは?
一方、「不満点あるいは改善ニーズ」として、
1 オンラインで予約しても図書館に取りに行く必要がある(29.6%)
2 新規図書の購入希望申込ができない(23.7%)
3 オンラインでは十分に図書の内容について確認ができない(20.0%)
が挙げられており、更なる利用者満足度向上に向けた検討事項として、
・オンライン手続で予約した図書の受取方法の工夫
・図書の予約以外の申込みの拡大
・図書の内容に関するコンテンツの拡充
などを挙げています。
●民間サービスと連携すれば
上記の検討事項を自治体だけで解決するのは、予算や人材の問題もあり、非常に困難でしょう。しかし、民間サービスを活用すれば、それほどコストをかけずにサービスを改善することが可能です。
多くの本や雑誌には、ISBN(国際標準図書番号)やISSN(国際標準逐次刊行物番号)が付与されていますので、他の商品に比べると民間連携もしやすいと思います。
例えば、大手オンライン書籍販売のAmazon.co.jp(アマゾン)と連携すれば、
・読みたい本を「借りる」だけでなく「買う」ことができる
・カスタマーレビュー(読者の感想)や商品説明などで図書の内容を確認できる
・新刊や人気書籍でも入手しやすい
といった利用者のメリットがあります。
図書館にとっても、
・独自のコンテンツを作成・管理する必要が無い
・アフィリエイト(販売マージン)収入が見込める
といったメリットがあります。
図書館は「本を借りる」ところだから、「本を買わない」と安易に考えることは避けましょう。
実際、作者も図書館を利用することもあれば、オンラインや店頭で購入することもあります。
図書館の利用者は、「本を読みたい」と考えれば、様々なアイデアや選択肢を考えることができるでしょう。
●サービスの利用イメージ
具体的な利用イメージは、例えば次のようになります。
1 図書貸出予約サービスにアクセスする
今後は、携帯版も欲しいですね。
2 書籍名や作者などから、読みたい本を検索する
検索結果は、図書貸出予約サービス内の結果に加えて、該当書籍に関するアマゾンへのリンクも表示されます。
3 本の内容を確認する
アマゾンのカスタマーレビューや商品説明等を参考にします。
4 本の入手方法を選ぶ
a 貸出予約して最寄の図書館で受取る(無料)
b 貸出予約してコンビニ等で受取る(有料)
c 新刊図書を購入する(有料)
d 中古図書を購入する(有料)
利用者は、「本を読みたい気持ち」と「予算や手間」などを考慮・比較しながら、自分にとって最も好ましい方法を選びます。
●大切なのは、サービスを改善したい気持ち
もちろん、オンライン書籍販売はアマゾンだけではありません。
関連>>クロネコヤマトのブックサービス|オンライン書店 本やタウン|理工系専門書籍販売-Newton Sanseido Net Book Shop
パソコンや携帯電話で読める「電子書籍」の販売サービスと連携すれば、オンラインの利便性を更に高めることもできます。
関連>>電子書店パピレス|電子書籍@nifty
書籍販売に限らず、サービス改善に役立ちそうな民間サービスであれば、積極的に連携等を検討してみる。
この気持ちこそが、最も大切なのですね