「重点計画-2007(案)」が公開、民間の優れたサービスから学びましょう

IT戦略本部(内閣官房IT担当室)から「重点計画-2007(案)」が公開され、パブリック・コメントを募集(任意募集)しています。関心のある方は、意見を出しておきましょう。締切りは、平成19年6月27日(水)正午必着。

電子政府関連では、「国・地方の包括的な電子行政サービスの実現」を目指して、次のような計画があります。

●次世代電子行政サービスの基本構想の策定(内閣官房、総務省及び関係府省)

・利用者視点に基づく行動フロー分析・ニーズの把握
 (2007年度末まで:課題の抽出及び分析)

・府省間及び国・地方間のバックオフィス等の連携
 (2007年度末まで:モデルとなる業務フローを策定)

・国と地方公共団体の情報システムのデータ標準化
 (2007年度末まで:標準化の方向性について結論)

●次世代電子行政サービス基盤の標準モデル等の構築(内閣官房、総務省及び関係府省)

・事業化に当たっての個別手続ごとの具体的な課題の抽出と分析(2008年度末まで)

・モデルとなる自治体を選定して、実証実験を行う(2009年度から)

・実務上の課題を踏まえた次世代の電子行政サービス基盤の標準モデル等を構築
 (2010年度を目途:システム更改時に間に合わせるように)

●包括的な電子行政サービス利用に向けたソフトウェア・マニュアル等の策定

・電子行政サービス利用に係るソフトウェア開発環境の分析(2007年度末まで)

・包括的な電子行政サービス利用に向けたソフトウェア・マニュアル等の策定のための環境整備(2008年度以降)

★作者コメント

「次世代電子行政サービス」とは、

・様々な行政手続を
・基本的にワンストップで
・簡便に行える

「第2世代の電子行政サービス」とされています。実現するためには、

・国・地方の枠を超えた電子行政窓口サービスが設置される
・利用者ニーズ等を踏まえたサービスを提供する
・フロントオフィスとバックオフィスが連携する(国、地方を含む)
・バックオフィス相互間が連携する(国、地方を含む)
・民間手続と連携する
・データが標準化される

といった条件(課題)があります。

奇をてらった革新的なサービスを目指すよりは、流通する技術で現実可能なサービスを行うのが良いでしょう。民間で当たり前になっているサービスを、一つずつ堅実に実行していくということです。

ですから、現行のオンライン手続を分析するだけでは不十分です。

民間の優れた(現実に国民が使っている)サービスを体験し分析すること無しに、「第2世代の電子行政サービス」の実現は難しいでしょう。

相互連携については、各役所の窓口間の連携・統合を視野に入れて進めることで、国民が実感できる利便性を高める必要がありますね。

「包括的な電子行政サービス利用に向けたソフトウェア・マニュアル等」については、記述が少ないので良くわかりません

以前ブログでも書いたように、既存の民間ソフトウェアや社内ポータルからオンライン申請・届出ができるようにすれば良いでしょう。

関連>>電子政府における実装規約の役割(2):「開発者の視点」で民間サービスとの連携を強化電子申請の仲介サービス、ビジネスとしての可能性は?

この他に、「世界一便利で効率的な電子行政-オンライン申請率50%達成や簡素で効率的な政府の実現-」の計画もあります。

基本的には、

1 申請・届出等手続におけるオンライン利用の促進
2 業務・システム最適化の推進
3 電子行政推進体制の充実・強化
4 システムの信頼性・安全性の確保、セキュリティ高度化

の四つが柱となっており、今までの施策を継続・強化するものが多いですね。

新しいものでは、

・選挙における電子投票の普及促進(総務省)
・電子媒体による歴史公文書等の移管及び保存(内閣府)
・各府省に共通するシステムの共同利用の検討(内閣官房、総務省及び関係府省)
・自治体CIO の育成(総務省)
・IT戦略本部のオンブズマン機能(電子申請手続に関する苦情・提案の受付)

などがあります。

「より良い電子政府・電子申請」の実現は、地道な一歩から。できることから少しずつ進めて行きましょう