公務員の背番号制度、「情報」と「人事」の管理に役立てましょう

住基ネットが稼動して、全国民に住民票コードが付与された時に、「国民の総背番号制導入で、政府による監視社会が訪れるのでは?」といった声がありました。

その昔『住基ネットを考える』で解説したように、住基ネットで監視社会を実現するのは困難です。本当に監視社会を実現しようと思うなら、管理対象となる国民に番号を教えたりしませんので。。

その一方で、国家公務員については、実は「総背番号制」が進められています。

電子政府におけるICカードとPKIの市場(3):ICカード化が進む公的な身分証明書』で、「国家公務員ICカード」を紹介しましたが、関連して「職員等利用者認証基盤」の整備が進められており、具体的な内容は「職員等利用者認証業務の業務・システム最適化計画」で定められています。

関連>>職員等利用者認証基盤整備の背景(PDF)職員等利用者認証業務の業務・システム見直し方針(PDF)職員等利用者認証業務の業務・システム最適化計画(PDF)

●識別コード(ID)の標準化

「職員等利用者認証業務の業務・システム最適化計画」の中で、最適化の実施内容として「識別コード(ID)の標準化」があります。その内容は、

・連携対象業務アプリケーションを利用する各職員等利用者に対して
・政府全体として職員等利用者を一意に識別できる
・採用から退職まで不変の識別コードを付与する

これにより、

・職員等利用者の個人単位での識別を徹底することができる
・業務アプリケーションの不正利用を抑制できる
・不正に利用された識別コード(ID)の迅速な利用停止等ができる

企業では、社員に番号を付与して管理するのは当然のことですが、ようやく政府でも一部の公務員について導入されるわけです。

●天下り防止にも使える「識別コード」

国家公務員の「総背番号制」により、政府が保有する情報に対して「誰が、いつ、何をしたか」がわかるようになれば、「情報の管理」がより適切に行われることでしょう。

その一方で、もう一つの有効活用方法があります。

それは、「人事の管理」です。

「識別コード」を活用すれば、採用、異動、退職、再就職の一括管理が可能になり、省庁間の人事異動もしやすくなります。

もちろん、天下りの監視・追跡も容易になります。民間企業へ行こうが、外郭団体へ行こうが、地方自治体へ行こうが、しっかり追跡・チェックされます。

識別コードで検索をかければ、該当する公務員の異動歴が出てきて、「あー、やっぱり○○省は、ここに天下りしてるんだあ。」とわかっちゃう。

関連>>大前研一:天下り防止策、「新人材バンク」のもう一つの活用法(nikkei BPnet)

住基ネットの時は、「国民の総背番号制」と大騒ぎしたマスコミも、不思議なことに公務員の「総背番号制」については全然取り上げない。やっぱり、知らないのかなあ