オンライン件数の法的根拠を考える、行政間のオンライン照会は対象外?
「オンライン利用件数の水増しを防ぐ、「利用件数」の定義を明確にするべき」の続きです。いただいたコメント等で、既に「オンライン利用件数の内訳」がわかりました。今回は、「オンライン利用件数」の法的根拠を整理したいと思います。
●行政手続オンライン化法第10条に基づく公表
「行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律」、通称「行政手続オンライン化法」という法律があります。
この法律は、行政手続のオンラインサービス(オンライン申請など)について定めるものです。
同法の第10条では、「手続等に係る電子情報処理組織の使用に関する状況(オンライン化等の状況)の公表」が各行政機関に義務付けられています。
加えて、総務大臣は、行政機関等が公表したオンライン化等の状況を取りまとめ、その概要を毎年度、公表することとされています。
関連>>行政手続オンライン化法第10条に基づく公表|法務省における行政手続等のオンライン化状況の公表について
総務大臣が公表する「行政手続オンライン化等の状況」では、「オンライン利用状況」として「オンライン利用件数」や「オンライン利用率」が示されています。
しかし、何をもって「オンライン利用」と言えば良いのでしょうか。
「行政手続オンライン化法」に基づく公表である以上、法律を読めば「オンライン利用」について書いてあるはず。ということで、法律を詳しく見ていきましょう。
●行政手続オンライン化法の構成
「行政手続オンライン化法」は、全12条と短くまとめられており、その構成は次のようになっています。
1 目的
2 定義
3 電子情報処理組織による申請等
4 電子情報処理組織による処分通知等
5 電磁的記録による縦覧等
6 電磁的記録による作成等
7 適用除外
8 国の手続等に係る情報システムの整備等
9 地方公共団体の手続に係る情報通信の技術の利用の推進等
10 手続等に係る電子情報処理組織の使用に関する状況の公表
11 主務省令
こうして見ると、「オンライン」という言葉はありません。実は、本法律の全文を検索しても「オンライン」という用語は出てこないのです。
●行政手続オンライン化法の目的
行政手続オンライン化法の目的は、
・国民の利便性の向上を図るとともに
・行政運営の簡素化及び効率化に資すること
となっています。その手段として、
・行政機関等に係る申請、届出その他の手続等に関し
・電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法により
・行うことができるようにするための共通する事項を定める
としています。
要約すると、「オンライン申請サービスで、もっと便利にもっと効率良くしましょう」という感じでしょうか。
●行政手続オンライン化法の対象、オンライン照会は対象外?
行政手続オンライン化法の対象は、前述の目的にある通り「行政機関等に係る申請、届出その他の手続等」となっています。
具体的には、次の4つです。各手続が何を指すかは、「定義(第二条)」で定められています。
A 申請等(申請、届出、報告など)
B 処分通知等
C 縦覧等(縦覧、閲覧など)
D 作成等(作成、保存など)
前述の構成を見ると、対象となる手続に対応して
3 電子情報処理組織による申請等
4 電子情報処理組織による処分通知等
5 電磁的記録による縦覧等
6 電磁的記録による作成等
が定められています。
次に、各手続における参加者を確認しておきましょう。
A 申請等:国民から行政へ(C,B to G)
B 処分通知:行政から国民へ(G to C,B)
C 縦覧等:国民から行政へ(C,B to G)
D 作成等:行政内部で(G単体で完結)
ここで、「おやっ?」と気が付きます。
行政から行政へ(G to G)について、例えば「照会」といった作業は対象じゃないの?と。
そうです。行政機関間のオンライン照会といった手続や事務処理については、「行政手続オンライン化法」で定められていないのです。
●「オンライン利用」は、「オンライン申請」と「オンライン処分通知」
再び構成を見てみましょう。
3 電子情報処理組織による申請等
4 電子情報処理組織による処分通知等
5 電磁的記録による縦覧等
6 電磁的記録による作成等
「電子情報処理組織による」と「電磁的記録による」の二つに方法が分類されていることがわかります。
この法律では、「オンライン利用」を想定しているのは、「申請等」と「処分通知等」だけで、「縦覧等」と「作成等」については、「オンライン利用」について定めていません。
つまり、本法律が定める「オンライン利用」は、条文を読む限りでは「オンライン申請」と「オンライン処分通知」の二つを指しているのです。
●法律が定める「オンライン申請」とは
「オンライン申請」については、「電子情報処理組織による申請等(第三条)」で詳しく示されています。
簡単に言えば、「電子情報処理組織を使用して行わせる申請等」が、いわゆる「オンライン申請」です。
この中の「電子情報処理組織」というのが、(法律にありがちな)一般の理解を超えたクセモノです。
「電子情報処理組織」とは、「行政のコンピュータ」と「申請者のコンピュータ」が、電気通信回線で接続した状態を意味するもので、早い話が「コンピュータネットワーク」のことなのです。
つまり、「オンライン申請」とは、「コンピュータネットワークを使用して行わせる申請等」なのです。
うんうん、これなら「オンライン申請」で納得ですね。
●法律が定める「オンライン処分通知」とは
「オンライン処分通知」については、「電子情報処理組織による処分通知等(第四条)」に示されています。
「オンライン処分通知」とは、「コンピュータネットワークを使用して行わせる処分通知等」です。
ここでの「コンピュータネットワーク」は、「行政のコンピュータ」と「処分通知を受ける者のコンピュータ」とを結んでいます。
●「縦覧」と「作成」は、オンライン利用を想定せず
「縦覧等」と「作成等」については、以下の通り電子化について定めるだけで、「オンライン利用」を想定していません。
・書面等の縦覧等に代えて、電磁的記録に記録されている事項又は当該事項を記載した書類の縦覧等を行うことができる
・書面等の作成等に代えて当該書面等に係る電磁的記録の作成等を行うことができる
ただし、「オンライン利用」を禁止しているわけではありません。
ですから、「オンラインでもっと便利に」という本法律の趣旨を考えると、特に「縦覧」については、別途法令で規定することにより、「オンライン縦覧」を行政サービスとして提供することが望まれます。
実際に、これまでは役所に出向いて閲覧していた情報などが、インターネット経由でデータベースにアクセスして閲覧できるようになっています。
実態に法律が遅れているとも言えますので、法改正などの対応が望まれるところです。
●「登記情報交換システム」の利用は、「オンライン利用」なのか
「登記情報交換システム」は、申請者が窓口で請求したものを、紙で処理(交付)するわけですから、「オンライン申請」とは言えません。
しかし、行政間のコンピュータネットワークを利用するものですから、「オンライン利用」であることには間違いありません。
関連>>商業・法人登記情報交換システムについて |不動産登記情報交換サービスについて
けれども、「行政手続オンライン化法」においては、「登記情報交換システム」の利用は「オンライン利用」と言えません。
なぜなら、「行政手続オンライン化法」では、行政機関間のコンピュータネットワークを利用した手続や事務処理について定めていないからです。
仮に「電子情報処理組織(コンピュータネットワーク)」を使っていれば、何でも「オンライン利用」としてしまうと、コンピュータネットワークは庁内LANも含むわけで、ネットワークに繋がったコンピュータで事務処理するものは、紙申請であろうと、窓口請求であろうと、全て「オンライン利用」となってしまいます。
それは、いくら何でもおかしいですよね。
●「オンライン照会」も法律の対象に
作者個人としては、行政間における「オンライン照会」は、電子政府の成果として評価されるべきと考えています。
海外の電子政府先進国においても、「オンライン申請件数」だけでなく
・オンライン照会
・電子文書によるやり取り(紙の削減)
などが成果として評価されています。
そこで、作者が提案したいのが、「行政手続オンライン化法」の改正です。
実態に合わせて法改正を行い
・オンライン申請件数
・オンライン処分通知件数
・オンライン縦覧件数
・オンライン照会件数
・電子文書と紙文書の比率
などを「オンライン等の利用状況」として、毎年公表するのが良いでしょう。
今回の件については、統一的な定義や基準も無く、各省庁における見解の相違があったものの、今後は国民がより納得できる形で、わかりやすく情報公開していきます。そのために、必要な法改正を行い、定義や基準を明確に提示していきます。
となるのが作者の理想でございます
牽強付会かもしれないが
こちらのブログタイトルなら馴染みやすいです。
>けれども、「行政手続オンライン化法」においては、「登記情報交換システム」の利用は「オンライン利用」と言えません。
確かに行政手続オンライン化法に基づく解釈からそのようになるのでしょうが。
体感的な実感では、この交換システム利用はオンライン利用の別形態だと思われるのです。
オンラインによる登録事項証明書の交付申請が出来ない環境にあるものが、そのオンラインの代替的措置として、近くの登記所の窓口にて直接出向くというものです。交換システム利用とオンライン利用は表裏一体とでもいいましょうか。
オンラインによる交付請求できる環境にある者が増えれば増えるほど、この交換システム利用の者は減少していくことでしょう。
もちろん、オンライン指定登記所が全国展開するのも条件ですけどね。
法務省が交換システム利用件数をオンライン件数の範疇に入れている根拠は、法的根拠というよりこの実体的な部分にあるように思えます。
実体的なことについては、おいおいに解説してみたいです・・・・
交換システムに根拠
むたさん、イエモリさん ご苦労さんです。
元ブログのコメントの分ですがこちらに
交換システムを使う法的根拠は
不動産が、不動産登記法119条5項、商業登記が商業登記法10条2項で、これ自体、書面申請、電子申請の区別はありません。
不動産登記の細かいところは、不動産登記規則194条です。
(登記事項証明書等の交付の請求の方法等)
第百九十四条 前条第一項の交付の請求又は同項若しくは同条第二項の閲覧の請求は、請求情報を記載した書面(第二百三条並びに第二百四条第一項及び第二項において「請求書」という。)を登記所に提出する方法によりしなければならない。
2 登記事項証明書の交付(送付の方法による交付を除く。)の請求は、前項の方法のほか、法務大臣の定めるところにより、登記官が管理する入出力装置に請求情報を入力する方法によりすることができる。
3 送付の方法による登記事項証明書の交付の請求は、第一項の方法のほか、法務大臣の定めるところにより、請求情報を電子情報処理組織を使用して登記所に提供する方法によりすることができる。この場合には、請求人は、送付先の住所を請求情報の内容としなければならない。
3項がオンライン申請ですが、2項は自動交付機ですね。1項が窓口ですが、交換システムを使うかどうかはここでも規定されてません。
これから見れば、3項の請求しかオンライン実績にできないのですが。
商業登記規則は、あれ見つからないぞ。通達ですね。こりゃ。
今年の4月から、オンライン庁指定以外のコンピュータ庁に交換システムを繋いで、証明書の送付請求ができるようになりましたが、この場合は、まずオンラインで1件、交換使うから1件と、一回の請求で2件にカウントするのじゃないですかね。今の取扱なら。
交換システムは便利がよいんです
登記情報交換サービスの開始当時は、対象登記所も限られ一部の登記所のみでした。また、その利用料も通常の窓口請求(所轄登記所分)より割高でした。100円増しだったような。
対象登記所が増加するとともに、利用料も窓口請求と同額になり割高感も減少したものです。
従来では、郵送請求するか当該登記所の近くにいる司法書士等に依頼するしかなく、その報酬手数料も割高感を増していたものです。
これが、近くの登記所に出向けばとりあえずは即に取得できるのですから、便利になったものですよね。
至急に必要なときは、登記所に出向いて取得。
急がないときはオンラインにて証明書等の交付請求するようになっています。
利用料についても、オンラインであれば700円です。割安感も漂い、(笑)、、、、ほんと便利が良くなっていますね。
善意に解釈したいけど
せめて
法務省における行政手続等のオンライン化状況の公表について
の中の「国の行政機関が扱う手続(申請・届出等手続)」http://www.moj.go.jp/KANBOU/JOHOKA/online01-02.pdf
これの備考欄に「※登記情報提供サービス利用件数を含む」とはあるのですが、なんで堂々と「交換システム分を含む」と書けなかったのですかね。
なにやら元副大臣が
http://www.taro.org/blog/index.php/archives/703
今日のメルマガで、マスコミは取材に来い、と言ってるようにも読めます。
基本は法律
イエモリさん、sagoさん、こんにちは。
コメント&解説ありがとうございます。
法律を読めば読むほど、交換システムをオンライン件数に含めるのは無理があるとわかるので、今回の件は、やはり法務省(担当者)の判断ミスなのでは?と思ってしまいます。
なお、以前の話題にありました法務省のオンライン化法に関する主務省令は、
「法務省の所管する法令の規定に基づく行政手続等における情報通信の技術の利用に関する規則(平成十五年三月十四日法務省令第十一号)」として公布されています。
「便利が良い」と「オンライン利用件数」は別
こんにちは、牟田です。
イエモリさんがご指摘されている通り、交換システム自体は大変便利で、国民もそのメリットを享受しています。
しかし、「電子政府の評価」という観点からは、「便利が良い」と「オンライン利用件数」は全くの別指標であり、厳密に分けて考える必要があります。
「この申請は、国民が利便性を感じているからオンライン件数に含めよう。」とか
「この申請は、オンライン請求だけど、利便性が低いのでオンライン件数から除外しよう。」
といったことは、最もやってはいけないことです。
こうした間違った発想が生まれる原因として、「利用件数」や「利用率」に対する誤解や過大評価があります。
「利用件数」や「利用率」は、確かに重要な評価指標ですが、指標の中のほんの一部でしかありません。
既に多くの方が、政府が目標とする「50%の利用率」が独り歩きすることの危険性を指摘されていますが、
「利用件数は多ければ多いほうが良い。」とか
「何が何でも利用率を上げないと」といった考えは、とても危険で、長い目で見ると電子政府の発展の障害となるものです。
「便利が良い」という指標についても同様で、
「便利が良ければ、お金をいくらかけても良い」となっては、本末転倒となります。
交換システムを始めとした、登記情報の電子化・オンライン化に対して、法務省はこれまでどれだけの時間と税金を費やしてきたでしょうか。
それを知った上で、国民は「便利が良いから」と納得してくれるでしょうか。
冷たいようですが、電子政府の評価に「情け」は禁物です。
法務省の省令
むたさん こんにちは。
法務省の省令は、登記六法で省かれていたのでないと思ってしまいました。すんません。
(定義)
第二条
2 前項に規定するもののほか、この省令において使用する用語は、行政手続等における情報通信の技術の利用に関する法律 (以下「情報通信技術利用法」という。)において使用する用語の例による。
これですかね。
法務省は意図しているか?
していないと思うけどね。
>しかし、「電子政府の評価」という観点からは、「便利が良い」と「オンライン利用件数」は全くの別指標であり、厳密に分けて考える必要があります。
「この申請は、国民が利便性を感じているからオンライン件数に含めよう。」とか
「この申請は、オンライン請求だけど、利便性が低いのでオンライン件数から除外しよう。」
といったことは、最もやってはいけないことです。
はい、その通りですが。
法務省はそうした指標に基づいて利用件数なり利用率について公表しているのでしょうか。
してないでしょうね。
私としても便利性の指標とオンライン件数の指標を同一視などしていないし、出来ようはずもないのです。
極論しますが、仮に交換システムの利用をオンライン件数から外して評価しても、それはそれで特に問題にもならないでしょう。
実質はその交換システムは残るのだし。
逆に件数に含めたことによる「弊害」がどこにあるんだろう、と私など思うのです。
登記申請本体そのもののオンライン件数、利用率があまりにも低いので、これをなんとか増加するように考えたところなんですけど。
商業法人登記のオンライン件数が1500万件との統計が公表されたので、「うそだろう、登記のオンラインがそんな数字じゃない、これは水増しなり、粉飾、偽装に違いない」と即断させてしまったところに原因もあるように思うな。
内訳を明示すればしたで、
今度は、「交換システムをオンライン件数に含めるのはそもそもおかしい」となってしまっているように思えますね。
この項、つづけますね。
交換システム対象登記所の公示
登記所で交換システム利用できる、対象登記所の公示がその都度発せられているように思う。対象登記所を随時増やしてきていますよね。
これの公示の根拠省令があると思うのだが、、、官報掲載していたように思うが、違っているかも知れない。
どこにあったかな。それとも単なる内部文書で済ませていましたかね。
すべての登記所が対象ですね
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji42.html
商業・法人登記情報交換システムとは,同システムが導入されている登記所間において,他の登記所管轄の登記事項証明書及び印鑑証明書の交付を受けられるものであり,全ての登記所でご利用できます。
———————————–
とありますね。すべての登記所が対象になっています。整備完了したということですね。
当初の意図は闇の中・・・
イエモリさん、こんばんは
コメントありがとうございます。
>していないと思うけどね。
ところが、そうでもないみたいなのです。
伝え聞いたところでは、どうも
「この申請は、国民が利便性を感じている(実際にメリットがある)からオンライン件数に含めよう。」
という考え「らしい」のです。
もちろん、「らしい」なので確認が必要ですが、公式な回答があるとしても、別の答えを用意されると思います。
法務省の回答を聞くのは、法務省の意図を知るためではありません。そんなものは、そもそもわからないのですから。
では、なぜ法務省の回答を聴くのかといえば、改善策を考えて提案するためです。
イエモリさんが、「便利性の指標とオンライン件数の指標を同一視などしていない」ことは十分に承知しております。
しかし、何を言われたいのか良くわからないので、ちょっと困っています。
交換システムの利用をオンライン件数に「含める」か「含めない」かは、どちらも一長一短と思います。大切なのは、どちらを選ぶにしても適切な措置や対応を怠らないことです。
ところで、交換システムの利用については、先ごろ改定された「電子政府推進計画」の付録「オンライン利用促進行動計画」でも、「オフライン」と位置づけられています。
法的根拠も無く、自ら作成した「オンライン利用促進行動計画」でも「オンライン利用でない」としているわけですから、もう素直に修正した方が良いと思います。
アクションプランにはオフライン
むたさん ご苦労さんです。
「ところで、交換システムの利用については、先ごろ改定された「電子政府推進計画」の付録「オンライン利用促進行動計画」でも、「オフライン」と位置づけられています。」
これは明文の記述がありそうですか?
手数料と受付時間か
ああ わかりました。
交換システムを使っても、手数料と受付時間は「紙による手続の場合(オフライン)」に該当するから、オンラインではない、と。
その通りです
sagoさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
オンラインとオフラインの分類については、ご指摘の通りです。
例えば、「処理時間」を見ると
・オンライン手続の場合
・紙による手続の場合(オフライン)
の二つに分類されています。
オンラインの処理時間が
◎登記事項証明書 1~2日
◎登記情報提供サービス 即時
オフラインの処理時間が
◎登記事項証明書(郵送請求) 3~4日
◎登記事項証明書(窓口請求) 10~15分
となっており、交換システムを経由した証明書交付の処理時間(と請求方法)は、「登記事項証明書(窓口請求)10~15分」なので、オフラインに分類されていることになります。
ただし、こうなると「間違い探し」「あら探し」に成りかねないので、あくまでも一つの判断材料ということですね。
作者の立場としては
こんにちは、むたです。
>交換システムの利用をオンライン件数に「含める」か「含めない」かは、どちらも一長一短と思います。
と書きましたが、「電子政府コンサルタント」としての作者のオススメは、「含めない」です。
市民との関係改善(CRM)、行政評価、リスクマネジメント、ブランディングなどを考慮しても、「含めない」とした方が良いと考えています。
今回の問題が話題に上がったのは、
重点計画-2007が決定、サービスの専門家で電子行政サービスの検証を
http://blog.goo.ne.jp/egovblog/e/5550d56bcf90c58bb237247e614f4e3d
のコメントからですが、
その内容を見ると、驚き、不信感、怒りなどを感じられると思います。
冷静に分析することも大切ですが、こうした素直な感情・反応を、偏見無く受け止め理解することは、電子政府を考える上で非常に大切なのです。
ただでさえ「役所的」「機械的」になりがち、思われがちな電子政府だからこそ、人と人とのコミュニケーションを重視して、国民の素直な感情・反応を大切にする必要があるのです。
交換システムの利用をオンライン件数に「含める」ことについて、
「えーっ、それって水増しじゃないの?」
「ちょっと違うんじゃないの?」
と思われたなら、それは明らかに行政側の不手際であり、早急に修正するなり説明するのが得策です。
そして、その場合も「上手にあしらう」は厳禁で、「誠実に対応する」ことが求められるのです。
行政の説明責任あり、当然です
むたさんの立場は重々承知の上で、私としてはコメントしているのです。
それはともあれ。
電子政府としては重点計画で、可能な限り「オンライン手続」できるものは出来るようにとの推進なのでしょう。
紙手続からオンライン手続へ、ということですよね。
さて、登記事項証明書交付申請における交換システム利用ですが、これがオンライン手続ではなくて、「紙申請手続」だとすれば、電子化計画でかれこれつじつまが合わなくなりはしませんか。(笑)
紙申請であるなら、その個別紙申請についてオンライン化へ向けて検討せざるを得なくなります。紙申請がどのようにオンライン化し、そのオンライン化した手続の利用件数がどのようになっているかを統計上示し、併せて事業計画上の想定件数も打ち出すこととしているのではないか。
登記事項証明書交付申請総数が分母としていますよね。この分母中に交換システム利用も入っている。で、分子中に交換システム利用を「紙申請」と定義するなら、この「紙申請部分」について今後、オンライン化推進すると計画しなければ、そもそもが統計上のつじつまが合わなくなるように思うのです。
え? 交換システムが紙申請に含めるなら、この紙申請につき、今後はオンライン化するのかという素朴な疑問が出てくるのです。
ともあれ、これは私の素朴な疑問ですから、
むたさんがおっしゃるように行政側がきちんと説明しなくてはいけませんよね。
なお、繰り返しますが法的根拠はともあれ、交換システムの利用についてはオンライン利用の件数に含めるべし、というのが私の考えです。
わかりました
イエモリさん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
やっと、イエモリさんの考えがわかりました。
ですが、私の理解では、そうした懸念は不要なのです。
日本の電子政府では、一部の手続きを除けば、オンライン手続を推進する中で、オフライン(窓口)手続を廃止する方向にありません。
また、オンライン手続のサービス向上と共に、オフライン手続のサービスも向上することが望まれています。両者を合わせて、「行政サービスの向上」ということです。
オンラインにはオンラインの強みと弱みがあり、オフラインにはオフラインの強みと弱みがあるので、お互いに補完し合うのが良いのです。もちろん、費用対効果を考えながら。
>交換システムが紙申請に含めるなら、この紙申請につき、今後はオンライン化するのかという素朴な疑問が出てくるのです。
うーん。この考え方は、「オンライン化率」や「オンライン利用率」を過大評価しているのではないでしょうか。まあ、政府の考え方にそうした傾向があるのですが。。
この「紙申請」は、「オンライン請求」として、既にオンライン化されています。もっとシンプルに考えて良いと思いますよ。
「オンライン請求」が便利でお得とわかれば、もっと利用率も増えることでしょう。
その一方で、まだまだオフライン(窓口)を利用するメリットがあります。
(使いやすい)「紙の証明書」を「即日」もらえますし、「インターネットがなくても」利用できることです。
そうした状況で、「オンライン利用」だけ推進してしまうと、かえって行政サービスの質が低下してしまいますから、まだまだ「紙申請」に頑張ってもらわないと、ダメなのですね。
>なお、繰り返しますが法的根拠はともあれ、交換システムの利用についてはオンライン利用の件数に含めるべし、というのが私の考えです。
はい、良くわかりました。ありがとうございます。
分子の問題じゃなく、分母なんだな。
利用率計算に拘りますが。
結局、交換システム利用件数を「分母」総数に入れての計算にしているからこそ、様々にその数値につき、疑問が出てくるのではないか、とも思えますよね。
オンライン化した手続の利用率計算での分母に、それぞれの思い入れがあるのではありませんかねぇ。
母なる部分に、行政側の意図があるような。。。
説明責任がある法務省、ならびに電子政府
むたさんの
>そうした状況で、「オンライン利用」だけ推進してしまうと、かえって行政サービスの質が低下してしまいますから、まだまだ「紙申請」に頑張ってもらわないと、ダメなのですね。
概念的にはおっしゃる通りなのですが・・・・・
さて、事を登記事項証明書交付申請での交換システム利用に限定して申し上げるなら。
これを紙申請と捉えると、この交換システム構築における費用なども、行政サービスの質の低下を防止し、費用対効果でも頑張っているとしなくちゃいけなくなりますね。
交換システム構築には、も、それこそ膨大に費用を投入していると思われますけど・・・・
で、元に戻って。
交換システム利用についてはオンライン件数として捉えておけば、このシステムの問題点なども浮き彫りとなり、併せて費用対効果のほども明確になってくると思うのだが。
まぁ、なかなかそうはいかんでしょうけど。
分母の問題は別にも
イエモリさん、こんばんは。
コメントありがとうございます。
>結局、交換システム利用件数を「分母」総数に入れての計算にしているからこそ、様々にその数値につき、疑問が出てくるのではないか、とも思えますよね。
「交換システム利用件数」としないで、素直に「紙申請の利用件数」と考えれば、分母に含めて良いのではないでしょうか。
それよりも、「登記情報提供サービス」は分母に含めることが、ちょっと疑問です。
「登記情報提供サービス」の根拠法は、「電気通信回線による登記情報の提供に関する法律」という別の法律にあり、特殊な手続です。なぜなら、もともと「オンライン利用だけ」しか想定されておらず、オンライン利用件数や利用率を考える必要がないからです。
手続きごとに利用件数を計算するのであれば、「登記情報提供サービス」は別立て表示するのが良いでしょう。
実際、法務省が発表している
独立行政法人等が扱う手続(申請・届出等手続)【PDF】
http://www.moj.go.jp/KANBOU/JOHOKA/online01-04.pdf
を見ると、「登記情報提供サービス」の利用状況は、独立した扱いになっています。もちろん、オンライン利用率は100%です。
ところが、
国の行政機関が扱う手続(申請・届出等手続)【PDF】
http://www.moj.go.jp/KANBOU/JOHOKA/online01-02.pdf
では、この「登記情報提供サービス」を「不動産登記に係る登記事項証明書等の交付請求等」に含めており、二重に計上しているわけです。こうした行為は、「水増し」と言われても仕方が無いように思います。
やはり、
・オンライン申請件数
・オンライン処分通知件数
・オンライン縦覧件数
・オンライン照会件数
と整理した上で、利用状況を把握するのが良いと思うのですが。。
オンライン手続の問題
むたです。続きとして、
>概念的にはおっしゃる通りなのですが・・・・・
概念的ではなくて、現実的・具体的な話です。窓口請求ができなくなったら、実際に多くの人が困りますよね。
この問題は重要で、今までオンライン化を進める中で、利用者のニーズや費用対効果をあまり考慮せずに、「とにかくオンライン化」としてしまいました。
その中で、オンライン=良い、オフライン=悪い といった誤解も生まれました。
ところが、実際には、「悪いオンライン」がたくさんあって、使えば使うほど(利用率が増えれば増えるほど)、行政のコストが増えるのです。電子政府が残した負の遺産ですね。
そんな「悪いオンライン」より、「良い紙申請」の方が、ずっと使いやすくて費用対効果も高い。それが現実と理解しています。
この件については、改めて別ブログで書きたいと思います。
>さて、事を登記事項証明書交付申請での交換システム利用に限定して申し上げるなら。
これを紙申請と捉えると、この交換システム構築における費用なども、行政サービスの質の低下を防止し、費用対効果でも頑張っているとしなくちゃいけなくなりますね。
なるほど。そういうことですね。この点については、問題ありません。
「交換システム」は、電子政府における「行政ネットワークインフラ」の一つですから、その利用や費用対効果については、業務・システム最適化の中で評価されることになります。無理に「オンライン利用」として評価する必要はないのです。
もちろん、業務・システム最適化の評価も、まだまだ不十分なので、しっかりチェックしないといけませんね。
分母と分子と、それぞれの思い入れ
もう、これぐらいにしますが。(汗)
むたさんの、
>「交換システム利用件数」としないで、素直に「紙申請の利用件数」と考えれば、分母に含めて良いのではないでしょうか。
分母に含め、かつ分子のところでは「紙申請」として件数に含める。
そうすると、、、どういうことになるか?
利用率のところで、おかしなことになりませんかねぇ。どうも、この計算だと「不思議な」率が生じるように思うのです。
ともあれ、あまりこんなこと特に私が拘っているわけですので、、、、これぐらいにしておきますね。
多重計上シンドローム
政治の世界では、二重計上で政務官辞めたり、五重計上で自民党離党したりしてますが、登記情報提供サービスの二重計上については堂々とやってきましたので、さてお咎めなしか?
まあ自民党宛て資料でやっと内訳がわかりましたから、この要領で毎月報告していただければ、実数を把握できていいです。
甲号50%というのは夢のまた夢であることがはっきりわかったでしょうから、現実を直視して、対策を立てていただきたい。
まずは積極的な情報公開から
イエモリさん、sagoさん
コメントありがとうございます。
これまでの電子政府は、説明責任が不十分でした。
そのために、多くの誤解や憶測、不毛な論争があったように思います。
今後は、いらぬ誤解を招かないように、そして電子政府の信頼性・透明性を向上するためにも、行政からの積極的な情報公開・情報提供が望まれますね。
他から言われて情報提供するのと、自ら率先して情報提供するのでは、その効果が全然違うことを、行政が認識した方が良いと思います。