地方公共団体電子申告等普及促進協会の設立(2):エルタックス自身が財務体質を強化する
『地方公共団体電子申告等普及促進協会の設立(1):エルタックスの課題と改善策は』の続きです。今回は、エルタックスをより良いサービスとするための改善策について、詳しく説明していきましょう。
(1)エルタックス自身が、財務体質を強化すること
これは、今まで行ってきた自治体向けのビジネスモデルは、もはや通用しないということです。
・自治体の財務状況が厳しい
・IT投資に対して慎重になっている
・費用対効果や具体的な成果が求められる
・SLAなど、品質のチェックも厳しくなっている
・調達方針の変更が進んでいる
といった状況では、大掛かりなシステムを構築して、さらに運用で長く儲けるといったビジネスモデルは難しいのです。
ですから、エルタックス自身が財務体質を強化して、少ない収入でも利益を出せるようにしていかないことには、仮に参加自治体や利用者が増えても、赤字体質からは抜け出せません。
・参加自治体が増えない
・利用者が増えない
・ベンダーも疲弊する
・サービスを停止するわけにもいかず
・税金等は投入されるけど・・・いつかはストップ?
といった状況を打破するためには、まずはエルタックス自身が変わる必要があるのです。
具体的には、エルタックスのビジネスフローを見直します。いわゆる「業務・システムの最適化」ですね。
キャッシュフロー、システム運用フロー、自治体への導入・維持フローなどを調査・分析して、無駄な箇所を省いていきます。
財務について、もう少し詳しく見てみましょう。
エルタックスの運営組織である「社団法人地方税電子化協議会」の資料によると、
関連>>社団法人地方税電子化協議会:業務・財務等に関する資料
主な収支(19年度)は
収入合計:約20億6000万
支出合計:約18億3000万
となっています。
主な収入は、
会費収入:約5800万円
負担金収入:約20億円
会費も負担金も、会員(自治体)が納入するもので、元をたどれば税金です。
これに対して、主な支出は、
開発委託費:2億8000万円
運用委託費:14億2000万円
給与等を含む管理費:9000万円
協議会の運営コストに比べると、システム運用コストの割合が大きくなっています。
年間20億円だと、200団体で割り勘しても(※現在の会員数は66団体)、自治体あたり年に1000万円かかります。自治体の現状を考えると、これではやっていけないでしょう。
となると、やることは二つ。
1 会費・負担金以外の収入源を開拓すること
2 開発・運用コストを削減すること
「開発・運用コストの削減」は、上述の「業務・システムの最適化」である程度は実現できますが、「新たな収入源の開拓」を実現するためには、「ビジネスモデルの見直し」が必須となります。
詳しい方法は、次回以降で解説していきましょう。