複雑化する政府の情報システム調達、支援系業務の活用を
『情報システムに係る政府調達制度の変遷(2):「安値入札」からの脱却(行政の努力)』でも触れたように、「情報システムに係る政府調達の基本指針」の適用により、大規模システムでは「分離調達」が原則となりました。
「分離調達」には多くのメリットがありますが、その一方でプロジェクト管理が大変になります。参加するベンダー(受注者)と行政(発注者)、それぞれの役割と責任を明確にしておかないと、途中でプロジェクトが頓挫してしまいます。
そこで活用したいのが、「支援系業務」です。
ここで言う「支援系業務」とは、情報システム調達における「開発」や「運用」といった直接的な業務を支援する仕事のことです。
●支援系業務の種類
「支援系業務」には、情報システム調達の流れに沿って、次のような種類が考えられます。
・企画支援
・要件定義作成支援
・仕様書作成支援
・外部設計書作成支援
・開発工程管理支援
・運用準備・移行支援
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例えば、「社会保険オンラインシステム最適化」では、
・社会保険オンラインシステム刷新可能性調査
・社会保険業務の業務・システム最適化計画作成支援
・社会保険オンラインシステム工程管理・システム部門支援
といった「支援系業務」が見られます。
●行政だけでは、仕様書の作成も難しい
一部の行政組織や限られた業務を除けば、行政だけで情報システム調達を管理することは、ほとんど不可能でしょう。
今までのように、「よくわからないからベンダーに丸投げ」「結果は、とりあえず動けば良いのでは」といった手法は通用しません。
実際、業務・システム最適化で問題となっている案件では、最適化計画や仕様書作成から見直しするものが多くなっています。
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●利用が進まないオンライン申請は、フィージビリティ調査からやり直すべき
「フィージビリティ調査:feasibility study」とは、大規模な開発計画などで行われる事前の予備調査のことで、計画の実現可能性・採算性・事業性などを調査します。
先に述べた「社会保険オンラインシステム刷新可能性調査」が該当しますが、これも「支援系業務」を活用しないとできません。
日本では、「行政手続のオンライン化(オンライン申請)」において、事前の検討や調査が不十分なまま、「とりあえず全部を電子化しましょう」としました。
その結果が、「利用率の低迷」となり、さらに事前の検討や調査が不十分なまま「利用率50%」の目標を設定し、その目標をクリアするために「採算性・継続性を度外視した無理な利用率の向上策」が取られています。
その結果が、どなるのか。。考えただけで恐ろしい。
長い目で「オンライン申請」の健全な発展を願うのであれば、フィージビリティ調査からやり直すべきでしょう。
●支援系業務の予算と責任の強化
「支援系業務」を、単なる「おまけ」として扱っていては、適切に活用することはできません。
「支援系業務」の責任を強化・明確化して、それに見合った対価を付与することで、情報システム調達全体(ライフサイクル)の適切な管理ができるようにしましょう。