地方公共団体電子申告等普及促進協会の設立(3):求められる成果主義、成功報酬&SaaS型サービスを

地方公共団体電子申告等普及促進協会の設立(2):エルタックス自身が財務体質を強化する』の続きです。エルタックスをより良いサービスとするための改善策について、説明します。

(2)自治体の業務分析と財務分析を行う

エルタックスへの自治体参加が進まない理由に、導入コスト(会費および負担金を含む)が高いといった理由が挙げられます。

お金が無い自治体に対して、いくら「エルタックスを導入して」と頼んでも、まず無理な話です。

となると、「お金を作る」必要があります。

具体的には、次のような流れになります。

1 自治体の税務処理に関する業務分析・財務分析を行う
2 事務処理や外部委託のコストを明らかにする
3 エルタックスの導入で「削減できるコスト」を測定する
4 「削減できるコスト」の半分をエルタックスの導入・利用費とする
5 「削減できるコスト」の残りの半分を自治体の取り分とする

・ITコンサルティングだけでは不十分、財務コンサルティングが必要
・「削減できるコスト」が見込めなければエルタックス導入はしない

つまりは、完全な成果主義(成功報酬型)です。

こうしたビジネスモデルは、電気代節約ビジネスなどに見られますが、お金の無い自治体のIT投資にこそ有効と思います。

(3)業務改善の提案を付加したSaaS型サービスを提供する

新しいシステムの導入には、お金がかかります。それは、「移行費用(スイッチング・コスト)」です。加えて、維持管理にもお金がかかります。

関連>>電子申請のスイッチング・コスト(利用者の場合)

もし、エルタックスサービスが導入費ゼロ円になれば、全ての自治体が利用するでしょうか。答えは、NOです。

なぜなら、「移行費用」や「維持管理費」がかかるからです。導入費や利用料がタダでも、手間(人件費等)は必ず発生します。

エルタックス導入によるメリット(効果) > 移行費用、維持管理費など

となって、それが「見える化」して、初めて「利用しても良いかなあ」となるのです。

ですから、「移行費用、維持管理費などを少なくする」努力が必要になります。

エルタックスを「SaaS型サービス」として、さらに「既存の税務システムのオプション」として提供すれば、

・システムの移行や管理の負担が減る
・新たなシステム導入ではないので、予算計上しやすい

といった効果だけでなく、

・各自治体の業務に合わせやすい(カスタマイズ)
・自治体のレベルアップができる(業務最適化、セキュリティなど)

なども期待できます。

コスト削減に加えて、業務最適化、セキュリティ向上などの付加価値が増えれば、自治体にとってエルタックスの導入を検討する機会も増えることでしょう。

なお、「SaaS型サービス」については、名前だけ「SaaS」で、実際は今までと変わらないASPサービスといったケースもあるので、注意が必要です。

近いうちに、電子政府・電子自治体における「SaaS型サービス」について、留意点などを整理したいと思います。

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次回は、エルタックスにおける「電子私書箱」の機能について考えてみましょう。