商号検索サービスへの期待、「API公開」の意味を考え「無料の企業検索サービス」の実現を
作者が以前から主張してきたのが、「無料で誰でも簡単に使える企業検索サービス」の実現です。海外では、既に当たり前のオンラインサービスですが、なぜか日本では実現されていません。
関連ブログ>>米国のオンライン企業検索サービス、日本は癒着構造の見直しを
ところが、この「無料で誰でも簡単に使える企業検索サービス」、近い将来に実現される気配があります。
「2006年(平成18年)度の登記情報システム業務・システム最適化実施状況報告書」
の中にある「④登記業務処理システムの最適化」の「カ 新たな行政サービスの実現」では、次のような項目について、実現に向けた検討を行うとしています。
1) システムによる夜間・休日対応
2) 登記情報の編集・加工による情報提供
3) 登記情報交換処理における検索機能の強化
4) 土地情報と建物情報との連携
5) 商業・法人登記における商号検索機能の充実・強化
最後の「商業・法人登記における商号検索機能の充実・強化」では、
『次期システムにおいては,インターネット等のネットワークを介して,又は登記所内に端末を設置するなどして,商号検索機能を一般に提供することとする。』
となっています。
この「商号検索機能」が無料提供され、かつAPIも公開されれば、様々な行政サービスや民間サービスを経由して、「国民の誰もが簡単に企業を検索できるようになる」のです。
なお、政府データベースのAPI公開については、次のように「特許庁の新事務処理システム」などにも見られます。
『新事務処理システムにより提供される機能を、民間事業者のサービスや企業・大学等のデータベースに組み込めるように、インタフェースを提供します。』
関連ブログ>>特許庁の新事務処理システムに見る、これからの電子政府サービスのあり方
●API公開の目的は、サービス品質の向上と国民への還元
政府が保有する情報システムやデータベースについて、API等の技術情報を公開することには、主に二つの目的があります。
1 民間や他の行政機関等の力を借りることで、自身が苦手とする「サービス」の質を高める
2 税金で構築・維持するシステムや情報を、広く国民に還元する
つまり、「政府が保有する情報やシステムは、政府だけのものではなく、もちろん外郭団体やベンダーのものでもない。社会や国民にとって役に立つ形で使われるべきである」ということです。
ですから、最近の潮流である「API公開」は一つの手段であり、目的ではありません。
「技術的な情報を公開する」ことはゴールではなく、プロセスに過ぎません。「API公開」も、非常に重要なプロセスではありますが、「APIを公開してます」で満足してはいけないのです。
もし、「APIを公開してます」で満足してしまっては、「システムを構築してサービスを開始しました」で満足してしまった、これまでの電子政府・電子申請サービスと同じ運命を辿ってしまうことでしょう。
●「API公開」についても、明確な成果目標を
今後の電子政府では、「API公開」について次のような取組みが必要です。
・設計・開発の基本方針として「APIの提供」を明記しておく
・API提供の方法等について、政府で統一したガイドライン等を定める
・公開されたAPIを民間等が活用できるように、開発支援環境を整える
・明確な成果目標を定めて、PDCAサイクルを実施する
(APIを使って実現されたサービスの数や利用者数、利用者の満足度など)
「API公開」とそれに伴う開発支援には、手間もお金もかかります。
つまり、税金が使われるわけですから、ただ漫然と「API公開」することは許されないのです。