電子政府・電子申請への提言(2):一般的なインターネット環境と知識で利用できるか
電子政府・電子申請への提言(1):コストに見合った価値や利便性を提供できているかの続きです。
●難しすぎるオンライン電子申請
電子申請の利用環境については、OSの種類やバージョンに依存されず、ICカードリーダのような特別な機器を必要とせず、一般的なインターネット環境と知識があれば利用できるようにするべきである。また、オンライン申請システムやサービスごとにパソコンが必要となる状況は好ましくないので、早急に改善する必要がある。
★作者からの補足
現在のオンライン行政サービスは、驚くほど面倒で使いづらい。およそ民間では考えられない作業を利用者に強いているのです。
基本的な仕組みや考え方が複雑怪奇なので、どんなにわかりやすく説明しようと思っても限界があります。
シンプルで誰でも簡単に使えるシステムにすれば、そうした説明は不要となり、高額な構築・運用費も大幅に削減できるでしょう。
高度なオンライン行政サービスは、はっきり言って不要です。そうした高価なサービスは、簡易で便利なサービスが十分に普及してから検討すれば良いのです。
●ベンダーの甘言や流行語に注意!
オンライン申請サービスは、
・自前で構築型
・共同運営型
・ASP型・SaaS型
と移行しており、一昔前よりはずっと安価にサービスを導入できるようになりました。
しかし、ここが危険なところで、いくら以前よりは安くなったと言っても、ベンダーの甘言や流行語(オンデマンド、SaaSなど)に乗せられてはいけません。
導入に当たっては、
・市民のニーズ等の調査(フィージビリティ調査)
・利用者ターゲットの明確化
・サービス品質の審査
・損益分岐点の明確化
・獲得できる利用者数のシュミレーション
などを実施する必要があります。
こうした「するべきこと」をしない、できないという場合は、いくら安いサービスであっても、税金の無駄遣いになることは明らかなので、導入してはいけないのです。
別の言い方をすれば、オンライン申請を導入できるレベルに、当該行政庁が達していない。組織として未成熟ということです。
「次世代電子行政サービス」といった、よくわからない大風呂敷を広げることよりも、「身の丈にあったオンライン行政サービス」を慎ましく実現していく。それこそが、一番の近道であり最良の方法なのです。
オン デマンド用語
私も毒されている人なのですが。「オンデマンド」が流行言葉だった時期がある。
で、先日、渋谷駅から代官山駅を巡回する東急の地域バス?(150円)に乗った時に、
デマンドルート経由で行くのに、ついつい「オン デマンドでお願いします。」と運転手に伝えた。(笑)
さすがにオンデマンドでたちまちに「了解しました。」と運転手即答でしたが。。。。
Saasといえば、経済産業省でのモデル契約書に関するパブコメで、
「「情報システムの信頼性向上のための取引慣行・契約に関する研究会」~情報システム・モデル取引・契約書~(パッケージ、SaaS/ASP活用、保守・運用)<追補版>(報告書案)の公表について」
と用語を入れ込みしていますね。
新しい用語を散りばめないと、なんとなく新しいことをやっているのだという、単なる「気」ですが、、、このやる気がなくなるみたい。
「民間では考えられない」も
最近の流行言葉で、「民間じゃ考えられない」と
行政がやることを批判するときなどに、コメントしますよね。私もちょくちょく使用しますが。
これがまたまた、曖昧でして。
今後は、使用しないようにしたい。
民間でも考えられる
イエモリさん、こんにちは
コメントありがとうございます。
都内にもデマンドバスがあるんですね。私は未体験です。。
経済産業省モデル契約書は、要望に応じた追補と思います。現行のシステム構築、特に自治体向けを考えた場合、パッケージ選定やカスタマイズ、SaaS/ASP活用は避けて通れませんので。
ただ、流行り言葉がタイトルや副題に入っていると、注目は集めやすいですね。
「民間じゃ考えられない」は、確かに私も使っちゃいます。。実際には、もっとひどい民間がたくさんあるわけですが。
例えば、電子政府関連でも、大手ベンダーには「縦割り」が存在します。
「中央省庁向け」と「自治体向け」ぐらいなら連携もありそうですが、「官公庁向け」と「民間企業向け」になってくると連携はあまり期待できません。
そんなベンダーさんが、「官民連携ポータルの実現」とか言っても、やっぱり説得力が無いんですよね。「そりゃ無理でしょう」と。
「住民視点のサービス」とか言っても、ベンダーさんが見ているのは、通常は「情報システム担当者の視点」とか「トップ層(決定権者)の視点」ですから、できあがるサービスも住民視点にはならないわけです。
視点って?
むたさんの、
>そんなベンダーさんが、「官民連携ポータルの実現」とか言っても、やっぱり説得力が無いんですよね。「そりゃ無理でしょう」と。
最近、ほんと説得力ない話が多いよね。
業界でも、コンプライアンス、法令遵守がどうのこうのと声高に叫ばれているが、当の役員本人が認識が薄かったりで、ほんとどうしようもないことこの上ないし、説得力もありはしない。