経済財政諮問会議に見る勘違い、住基カードを普及をさせても電子政府の利便性は向上しない
内閣府の経済財政諮問会議(平成20年第6回会議)で、電子政府について議論されている。中にはまともな意見もありますが、実態を把握していない見当違いの提言も多くなっています。
経済財政諮問会議は、「経済財政政策に関し、有識者の意見を十分に反映させつつ、内閣総理大臣のリーダーシップを十全に発揮することを目的として、内閣府に設置される合議制機関」とされています。
関連>>経済財政諮問会議とは
政府トップの諮問会議における提言がこの内容ですから、日本の電子政府が良くなるわけがありません。
例えば、「住基カードの普及率が低いから、住基カードを無料で配布する」といった提言が複数の委員から挙げられています。
これなど、誰に吹き込まれたのか知りませんが、まさに実態を知らない人たちの発言です。
・利用率が高い電子申請と住基カードには何の関係もない
・住基カード保有者の多くが電子申請を利用したことがない
こうした事実を少しでも知っていれば、「住基カードを無料で配布する」なんて税金バラマキ施策を推奨するわけがありません。
だいたい、住基カードを無償で交付したところで、たいした使い道のないものに対して、平日の昼間にわざわざ役所へ出向いて時間をかけて(電子証明書をセットなら数日かかることもある)取得する人など、ごくごく限られています。
つまり、喜ぶのは市民ではなく、ICカードベンダーぐらいということです。
関連ブログ>>厚生労働省のオンライン申請から学ぶ(1):「利用されるオンライン申請」とは
ただし、住基カードの発行枚数を増やし普及率を高める確実な方法が、あるにはあります。作者はだいぶ前から気づいていますし、ちょっと考えれば誰にでもわかるでしょう。
「住基カードを無料で配布する」なんて見当違いの提言をするのであれば、せめて具体的な方法を提示して欲しいものです。
目標が現在の8倍
福島県の情報で、
http://www.kfb.co.jp/news/index.cgi?n=2008040424
PRを強化し、平成21年度までに利用件数を現在の約8倍に当たる年間約3700件にする。
ちなみに福島県の電子社会推進アクションプラン2008が次です。
http://www.pref.fukushima.jp/e-pref/action-plan/ap2008.pdf
まぁ、8倍とまずは数値目標なんだろうけど。
たぶん、ここも人事異動で担当者が変わったのであろう。(汗)
うん 混同してますね。
住基カードと公的個人認証の違いを混同したままですね。あいかわらず。
提言される方々も使ったことがないのに、言ってるのでしょう。秘書はおらんのか。
まあ いすれにせよ、骨太に載って、政府、各省庁を拘束するものになってくれば、実現に向けて頑張るしかないでしょうし、マスコミの注目度も変わる。
まあ この経済財政諮問会議のメンバーは、雲の上から森を見てるからピントもずれるのでしょうが、IT戦略本部の働きが細分化しすぎてきて、こんどは木ばかり見て森をみない状況になってきてないか。
むたさんに頑張ってもらって、ここらの軌道修正を確実にやっていただきたいと思います。
グッドアイデアは?
むたさんの
>ただし、住基カードの発行枚数を増やし普及率を高める確実な方法が、あるにはあります。作者はだいぶ前から気づいていますし、ちょっと考えれば誰にでもわかるでしょう。
??? 私は思い浮かばないのですが。住基カードの発行枚数を増加普及させる方法ってどうやるのでしょうか。
公的個人認証の電子証明書は、銀行などのICカードにぶち込むってのもよろしいかと思うが。こうなると銀行ICカードから証明書を読み取る別途のアプリも要るしなぁ。。。。
素晴らしいアイデアないものか?
手段と目的
イエモリさん、sagoさん
コメントありがとうございます。
住基カードに最初から電子証明書を入れたとしても、結果は同じで、やはり電子政府の利便性は向上しません。
福島県にしても、
PRを強化し、平成21年度までに利用件数を現在の約8倍に当たる年間約3700件にする。
とするなら、やはり間違っていますね。
「PRを強化する」という手段で、どれだけ利用件数を増やせるのか、どれだけ費用がかかり効果が見込めるのかなんて、全く考えていないと思います。
もうその時点で、すでにダメなんですよね。表面的な事象だけ見て、思いつきで施策を実行している限り、電子申請は良くなりません。早いうちに、きっぱり止めた方が良いですね。
住基カードの発行枚数を増加させるには
イエモリさん。
むたです。
住基カードの発行枚数を増加させる方法は、正式なコンサルタント依頼があれば提示しても良いですが、今のところ公開するつもりはありません。
私自身の活動は、より良い電子政府・電子申請の実現であり、住基カードの枚数を増やして税金を無駄遣いすることではありませんので。。
ということで、ご容赦くださいませ。
なんで使い勝手が悪いのか
結局 公的個人認証を取得しても、オンライン申請で電子署名するのに1分近くかかると、なんじゃこらになるでしょう。
不動産登記の甲号申請では、1件あたり平均で45秒はかかっていますが、これ住所移転、抵当権抹消、所有権移転、抵当権設定と4連件だとすると3分半くらい署名に時間をとられる。どんなに慎重にハンコついてもこんなに時間はかからない。
まあ いろいろデータチェックしながらのようですが、無駄が多い。
使い勝手無視のシステム設計をしてるベンダーにやかましくいわないと一向によくなりません。
と 随意契約にあぐらをかいてるベンダーの姿勢を根本から変えて、あまりにひどい時には、指名停止するぐらいのことしないと変わりません。
でもって不動産登記の場合は、データの自動入力も中途半端で、XMLのタグ設計もいい加減だといわれています。かなりの部分をどぶに捨ててます。
民間なら損害賠償ものでしょう。
どこの世界に税収減らして役所の手間を増やす○ホがいるのかと思いますが、雲の上の人たちには、その辺の実態をとくとわかっていただいて、大胆にメスを入れてもらいたいですなあ。
メス入れすぎるとベンダーの利益が減って、もっと税収が減るのですかね。
利権構造が元凶
sagoさん、こんにちは
むたです。
電子政府・電子申請が良くなるためには、やはり構造改革が必要と思います。ご指摘のベンダーに関する件も、その一つです。
ただ、ベンダーは利権の中心ではありません。利権があるからベンダーが集まってくるのです。樹液に群がる虫みたいなものですね。
今年ぐらいから、そろそろ真面目に「利権構造」にメスを入れていこうと思います。
同じ穴のなんとかですが・・・
大手のベンダーは経団連で主要な位置を占めているし・・・・・
http://www.nikkei.co.jp/news/keizai/20080410AT3S0902909042008.html
電子政府、申請窓口一本化を・経団連提言が判明
経済財政諮問会議での議員さんと同じ発想ですね。
実現できる仕組みから
イエモリさん、こんばんは
コメント&最新情報ありがとうございます。
国の電子政府のシステム構築が、限られた大手ベンダーによる寡占状態にあるのは知られているところですね。
こうした独占・寡占が無くならない限り、電子政府は良くならない。ワンストップとか国と地方の連携も、絵空事で終わってしまうと。
ムジナと言えばお叱りがあるか?
経団連の報告書
http://www.keidanren.or.jp/japanese/policy/2008/018/index.html
国民視点に立った先進的な電子社会の実現に向けて
ふむ。電子政府推進法という通則法の制定ですか?
電子政府推進法の効果は
イエモリさん、こんばんは
最新情報ありがとうございます。
現状の制度で電子政府推進法を制定しても、その効果は一時的かつ限定的となるでしょう。確実に期待できるのは、ITベンダーの特需ぐらいですね。
電子原則とする前に、するべきことがあります。
だいたい、経団連の企業のうち、どれだけが社内業務を電子原則でやっているでしょうか。企業ができないものを行政ができるわけありません。
電子原則は、いわゆる「電子申請の義務化」ですが、義務は権利や責任とセットで機能するものです。どちらが欠けても機能しません。
たぶん、そのことを経団連は理解していないんじゃないかなあ。