箱物行政よりヒドイ、使われない電子申請は今すぐ止めるべき
平成19年度の電子政府評価委員会報告書に新しい資料が追加されています。それは、本文の巻末にある「参考資料4の別表2:オンライン申請等システムの利用状況等(利用促進対象手続を扱うもの以外)」です。
関連ブログ>>電子政府評価委員会報告書2007が公表、電子政府評価の今後は?
これを見ると、ほとんど利用されない公共施設といった箱モノよりヒドイ、電子申請システムの実態がわかります。
ワースト3は次の通り。
1 文部科学省オンライン申請システム
・年間利用件数:5件
・申請1件当たりの経費:2814万9600円
・年間運用経費:1億4074万円
2 国家公安委員会・警察庁電子申請・届出システム
・年間利用件数:5件
・申請1件当たりの経費:499万1800円
・年間運用経費:2495万円
3 防衛省 申請届出等システム
・年間利用件数:9件
・申請1件当たりの経費:341万2778円
・年間運用経費:3071万円
ちなみに、4位となる「外務省汎用受付等システム」
・年間利用件数:22件
・申請1件当たりの経費:125万7273円
・年間運用経費:2766万円
は、平成19年2月をもって停止となっています。
税金の無駄使いと批判される箱モノ施設だって、年間の利用が5件なんて、あり得ない話しです。しかし、電子政府では、それが許され放置されているのです。
●使われない電子申請は、早急に停止するべき
このように使われない電子申請は、早急に停止するべきです。年間の利用件数が一ケタ(利用者は一人かもしれない)なら、止めたところで国民はちっとも困りません。
既にシステムを停止した外務省の判断を、他省庁も見習うべきです。
無駄なもの、使われないものは止める。こうした当たり前のことが、自治体でも少しずつ見られるようになりました。
参考>>進む地方の“電子申請離れ”――気になる国と地方の温度差:ITpro
●新しく作った方が早い、安い、使いやすい
ところが、ワースト第一位に輝く「文部科学省オンライン申請システム」を延命しようとする動きがあります。
その理由は、
・19年度に、一部の手続【高等学校卒業程度認定試験(旧・大学入学資格検定)】における申請時の本人確認方法について、従来の電子署名によるものからID/パスワードによるものを可能とするための改修を実施した。
・19年度の第二回目の認定試験の実施おいて試行的にID/パスワードによる申請を受け付け、約100 件の申請があった。
・20年度においては、ID/パスワードによる申請方法等について周知を行い、数百件のオンライン申請を見込んでいるところ。
というもので、要は「試験申込み」のためだけに、1億4074万円もの年間経費をかけて、無駄なシステムを残そうというのです。
今どき、有料セミナーの申込みなど、オンラインでできるのが当たり前で、そんなものに年間1億円もの費用をかけている民間企業はありません。自社のウェブサイトを利用して「セミナー受付ページ」を設置するか、専門の業者に依頼して、受付けページの設置から申込みや入金確認までを一括してやってもらうかです。
経費にすれば、数十万円~数百万円で済む話しです。
「高等学校卒業程度認定試験」にしても、試験実施団体か文部科学省のウェブサイトから申込みできるようにすれば良いだけのことです。申込みするためだけのID・パスワードも必要ありません。
その方が、安いだけでなく、よっぽど使いやすいことは目に見えています。セキュリティも本人確認も、全く問題ありません。
●電子政府は、今の10分の1の費用で、100倍の便利を提供するべき
今の電子政府は、コストがかかり過ぎです。
電子政府を行政(特に中央省庁)に任せている限り、「日本は、費用対効果が世界一低い電子政府を作って自慢している」と世界中から笑われ続けるのです。
もし、志と能力のある人たちが本気で取組めば、今の10分の1の費用で、100倍の便利を国民に対して提供できるでしょう。
●電子政府を邪魔するもの、それは行政自身である
行政サービスの質を向上し、国民が負担するコストや行政が負担するコストを下げる。
これが電子政府の使命です。
ところが、そんなことが実現すれば、行政職員の仕事がなくなり、国家公務員の定員削減も5%どころではなくなります。2割3割は当たり前で、5割削減も可能です。
当然、ほとんどの公務員は反対します。電子政府で、本当にサービスを良くしようと思っている公務員は、ゼロではありませんが、圧倒的に少数派なのです。
作者の今後の活動は、こうした実態を明らかにして、日本の電子政府を根本的に変えていくことです。本当にサービスを良くしようと思っている人たちを支援し、増やしていくことです。
それができないとしたら、作者に「電子政府コンサルタント」を名乗る資格はありません。
年間利用件数5件の電子申請
2001年にe-Japan戦略が出されてから、実現に向かって動き出した電子政府。もう、7年が経ちますが、どれほど私たちに浸透したと言えるでしょうか。私などは、行政書士を目指していたり…
PDF帳票の方式が?
>ところが、ワースト第一位に輝く「文部科学省オンライン申請システム」を延命しようとする動きがあります。
文科省システムは、電子政府一括システムに統合しないんでしょうかねぇ。。。不思議。
文科省申請での特徴はPDF帳票なる方式で、そのpdfに電子署名するにも特定な署名プラグインソフトの導入を求められる。
これが難点です。
同様なシステムで稼働する電子自治体では、埼玉県、広島県などがあります。
文科省のが廃止されると、これらの電子自治体も廃止ということになるでしょうね。
というより、埼玉や広島県こそが先に廃止したほうがよいかもしれません。
一時、岐阜県でもPDF帳票の方式を実験していましたが、これは停止しました。
PDF帳票の方式が悪の元凶とは思わないが、なんせ利用数がないんだから、いたしかたない。
山形県もPDF帳票の方式
山形県もPDF帳票の方式利用ですが。
http://www.e-yamagata.lg.jp/alertpdf.htm
今頃になって、重要なお知らせをしていますね。
利用件数が少ないところへもって、こうしたセキュリティ関係のお知らせがあれば、益々利用するのが億劫になりますよね。
あっちのセキュリティ、こっちのセキュリティと振り回される。
平成19年度電子政府評価委員会報告書に見る電子政府の実態
IT戦略本部の電子政府評価委員会が作成した平成19年度の電子政府評価委員会報告書が公開されています. (http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/densihyouka/index.html) 本報告書は、IT新改革戦略(平成1