日本の電子政府が良くならない本当の理由(4):なぜ、電子政府なのか
電子政府を良くするためには、いくつかの選択肢があり、様々な手法が考えられる。それは、民営化か公営化か、規制緩和か規制強化か、トップダウンかボトムアップかといった単純な議論で解決できるものではない。
耐震偽装の例を挙げて、ほとんど何の分析もせずに、「やっぱり民営化は良くない」などと言ってみても、問題の解決には何の足しにもならない。
そもそも、完全な社会システムなど存在しない。どの時代にも有効で万能なシステムなど無いのである。
時代と共に周囲を取り巻く環境が変わり、これまでの社会システムでは期待される効果を上げることができない、あるいは維持することさえ難しいとなったら、別の社会システムへの移行を検討しなければならない。
「現時点で最良と思われる社会システムを考え、選択し、実行する」ということである。
今回から、電子政府を取り巻く国内外の社会情勢について、整理していく。
まず、キーワードとして「ネットワーク化」と「ボーダレス化」が挙げられる。
「ネットワーク化」は、インターネットの普及により、世界各地の組織や個人が繋がり、新たな社会・経済活動を生み出していくというもの。
「ボーダレス化」は、「ネットワーク化」の流れも受けて、国内外における人・物・金・情報の流れがより活発になるというものである。
「ネットワーク化」と「ボーダレス化」の流れは、好むと好まざるに関係なく、人々の暮らしや企業の活動に入り込んでくる。
「ネットワーク化」と「ボーダレス化」は、多くの人々に機会を提供する。
インターネット環境があり英語ができれば、世界中の情報がリアルタイムで入ってくる。何か面白いことを始めれば、世界中の人がそれを見て、お金まで流れてくる。
その一方で、多くの人々に脅威を与える。
何もしない人、変わろうとしない人、今の地位や利益に固執する人たちから、既得権益を取り上げる。取り上げた利益は、機会を生かす人、積極的に変わろうとする人たちへと流れていく。
こうした大きな流れに対しては、まともに歯向かったところで勝ち目は無い。
流れに逆らわず、流れに乗って賢く立ち回り、自身のポジションを確立する。しかし、確立したポジションは、固定せず、状況の変化に応じて変わり続けていく。
「固定化を避け、環境に応じて変化していく」能力。
これは、これまで生き延びてきた人類が持つ「最大の知恵」であり「最強の武器」である。
「ネットワーク化」や「ボーダレス化」といった世界的な潮流は、人間が本来持っている能力を呼び覚まし、活性化させるのである。
他方、「現実から目をそむけ、既存の地位や利権に執着し、変化する環境に対応できない・対応しようとしない人たち」は、自身の中に眠っている能力を発揮できず、淘汰されていく。
世界中で「電子政府」が注目を集めてきたのは、電子政府が「固定化を避け、環境に応じて変化していく」能力と相性が良いからである。
政府が変わっていかなければならない状況の中で、国民・行政・議会が「固定化を避け、環境に応じて変化していく」ことを望んだ時、「電子政府」は極めて有効で頼もしい武器となる。
しかし、「固定化を避け、環境に応じて変化していく」ことを望まないのであれば、一部の受益者が「固定化を避け、環境に応じて変化していく」ことを邪魔するのであれば、「電子政府」は大いなる無駄遣いに終わる。
日本がするべきことは、「ネットワーク化」や「ボーダレス化」といった世界的な潮流を受け入れ、人間が本来持っている能力を呼び覚まし、活性化させ、強くたくましく生き残ることである。
その上で、自身の中に眠っている能力を発揮できず、時代の変化に対応できない人たちが、きちんと生きていけるように、国内外を問わず支援し育てていく。
その中で、人々や地域間の繋がりを広げ深めていけば良い。
これからの時代、お互いの助け合い無しに生きていくことは難しい。国際経済にしても、地域社会にしても、家族・親戚にしても、目的を共有する国や人々同士で連携・協力していかないと、時代の変化に対応できないのである。
現在の日本を見ると、一部の人や企業を除けば、「ネットワーク化」や「ボーダレス化」といった現実を受け入れることができず、賢く立ち回れてもいない。「固定化を避け、環境に応じて変化していく」能力を発揮できていないのである。これは、歴史・文化的な背景や国民性といった事情もあってのことだろう。
その結果、世界における日本の位置づけが変わってきている。
次回は、「世界における日本」の現状を見ていく。
いくらいってもわかんねえ
>しかし、「固定化を避け、環境に応じて変化していく」ことを望まないのであれば、一部の受益者が「固定化を避け、環境に応じて変化していく」ことを邪魔するのであれば、「電子政府」は大いなる無駄遣いに終わる。
これが現実だぜ。よその士業のこというまえに、自分とこの足元を見ないと、国家の?いや亡国のえじきになるだけですぜ。
日本の「文化革命」、 ひたひたと・・・
むたさんの、
>「現時点で最良と思われる社会システムを考え、選択し、実行する」ということである。
ちょい的を外すかもしれないが、次の議事録をなどを読むと。
http://www.cao.go.jp/picc/soshiki/iinkai/iinkai2.html
内閣府 公益認定等委員会 議事録一覧
これなど読むと、日本の文化革命が始まっていると思わずにはいられない。明治の時代から100年を経て「文化革命」をやろうとしている、と。
この委員会は見た目はジミではあるが、日本文化の基盤を触っているなぁ。。と。
2013年までに100%!?
オンライン率の目標を2013年?までに100%とする閣議決定が来月にもなされるらしい。ぐずぐず、権力争いしている場合じゃないぜ(怒)
骨太か?
オンライン100パーセントは骨太ですかね。
それともロードマップとやらか。本気度はいかに。
まだ50パーセントに遠く及ばずなのだが。
オンライン達成率100パーセントを目指す
sagoさんの、
>それともロードマップとやらか。本気度はいかに。
本気でしょう。本気でなければ、こんな閣議決定などしない。まぁ、閣議決定も反故にされやすいが。
いずれにしろ、50パーセント以上の達成させるには、現状での阻害要因を徹底して洗い流さない限り不可能ですね。
むたさんの言うところの、三大障壁です。(笑)
電子政府本体も、むたさんの主張を取り上げてくるのだろう。間違い無く。
ほんとに100%目指すなら
まあ、オンライン御三家が中心になるのでしょうが、所管の省庁にシステムづくりは任せないで、内閣府、総務省、経済産業省この3者でプロジェクトチーム作ってやるべきでしょう。
資格者団体も、各監督官庁を経由せずに、そのPTにダイレクトで意見を言えるようにしないと、つまらんことでネチクドやられ、恫喝され結局言いたいことも言えなくなります。
電子行政推進法作るなら、手続きそのものの所管を黙らせてやる。ヒアリングはしない。ただ現場の最前線はヒアリングして、霞が関は一切無視する。
そのぐらいの法律にしないとだめですね。
まあできないでしょうが。期待しないで待ってます。
経済財政諮問会議も・・・
4月1日の会議議事要旨、
http://www.keizai-shimon.go.jp/minutes/2008/0401/shimon-s.pdf
こちらでも100パーセントとかの発言がありますね。
この諮問会議も近い内に、電子政府推進での三大障害について論じるときがくるだろう。
有識者の八代議員が、士業の独占形態を取り上げるのではないか、そんな感じがする。