オーストラリアの電子申告に学ぶ
NTTデータのDIGITAL GOVERNMENTで「体験レポート:オーストラリアの電子申告」が公開されています。電子政府先進国における実際のサービスを疑似体験することで、利用者の視点から非常に多くのことが学べます。
●利用率を上げたければ、利用者層の拡大を
日本の電子申告は、利用率・利用者数が増えなくて悩んでいますが、利用率を上げるには、利用者層の拡大(市場を大きくする)が必要となります。
現在、日本の電子申告の利用者層(市場)は
1 パソコン・インターネットがかなり使える
2 確定申告は、手引き等を参考にして自分だけでできる
3 新しいものへの好奇心が旺盛である
4 事前準備等に多少の費用や手間がかかってもかまわない
といった条件に当てはまる人たちです。
これでは、いくらお金をかけて広告・宣伝をしても、数パーセントの利用率しか期待できません。
もしも、
1 パソコン・インターネットがある程度使える
2 確定申告は、税務署や税理士に相談して教えてもらえればできる
3 できれば、面倒なことはしたくない
4 割引や短縮などのメリットがあれば、新しいことにも挑戦したい
といった条件まで、利用者層を拡大することが出来れば、利用率も向上できるはずです。
このように、利用者層(ターゲット)が決まれば、どんなサービスにすれば良いのか、何を改善すれば良いのかが、具体的に見えてくるのです。
●税金徴収にも、コスト意識が大切
なお、体験レポートにあるような、虚偽の申告等については、電子申告に限らない、紙による申告でも発生することなので、それほど懸念する必要はないでしょう。
つまり、「申告」制度自体が、文字通り自己申告であり、小さな虚偽を容認する仕組みなのです。その一方で、裏づけ資料が取りやすいものや、金額の大きいものについては、不正が無いようにチェックしているのです。
政府は、税金を徴収するのが仕事ですが、コストも考えず闇雲に徴収すれば良いわけではありません。1万円の税金を徴収するのに、3万円かかってしまったら赤字です。
ですから、細かい金額の自己申告について厳しくチェックする暇があったら、オーストラリアのようにビジネス番号や納税者番号制度を確立した方が、納税の効率化・合理化・オンライン化を促進できるでしょう。
日本の電子申告は、やはりコスト感覚に欠けています。
電子申告を構築・維持するコストも、税徴収コストの一部なのですから、今のようにがんじがらめで使いにくい電子申告で利用率がコンマ数パーセントという状況が続くと、「国税庁や税務署がきちんと仕事をしていない」と見られてしまうのですね。
電子申告・納税のオンラインサービスは、利用率を上げて、しっかり税金を徴収してこそ、はじめて「使えるサービス」と言えるのです。
関連>>電子自治体 住民リポート(日立製作所)|確定申告書等作成コーナー|国税庁タックスアンサー(税金相談)|国税電子申告・納税システム(イータックス)
Unknown
そうです。
現状では過疎地の高速道路みたいなもんです。
あはは
過疎地の高速道路ですか
もし、今のまま電子申告が義務化されたら、首都高みたいに渋滞しちゃいますね。
これも、怖いです。。
Unknown
過疎地の高速道路というのは誰も使わない
インフラだといいたかったんです。
基本的に行政はお金をインフラに投下するもので
従前は高速道路などに使っていたんですが
最近はICT関連に使っている気がするんです。
利便性や効率などが二の次になるのは
変わってないんじゃないかと思うんです。
Unknown
過疎地の高速道路というのは誰も使わない
インフラだといいたかったんです。
基本的に行政はお金をインフラに投下するもので
従前は高速道路などに使っていたんですが
最近はICT関連に使っている気がするんです。
利便性や効率などが二の次になるのは
変わってないんじゃないかと思うんです。
箱もの行政
はい。ご指摘の点は、ごもっともです。
電子政府も、「箱もの行政」じゃないかと言われることがあります。
一見すると、ITベンダーに仕事を与え、雇用を生み出しているようですが、実際は、企業の経営体質や競争力を悪くする結果を生み出しています。
これだけでも、十分に税金の無駄遣いなのですが、電子政府の利用が義務化されると(海外では例があり、日本の電子入札は実質的に強制力があります)、国民はより直接的な被害を受けることになります。