日本の電子政府が良くならない本当の理由(13):民間の利益と公共の利益を合致させる仕組みを作れ

今回は、「原則として、全ての電子政府サービス事業を民間に委託する」ことの実現可能性を考えてみる。

●電子政府サービスの民間委託は奨励されている

行政(公共・公益)サービスは、もはや行政の独占ではない

現行の制度は、「原則として、全ての電子政府サービス事業を民間に委託する」を、むしろ奨励している。

民間委託の手法は、次のようなものがある。

  1. PFI(Private Finance Initiative:プライベート・ファイナンス・イニシアティブ)
  2. 指定管理者制度
  3. 独立行政法人
  4. 構造改革特別区域
  5. 市場化テスト(官民競争入札)

関連>>公共サービスの改革(内閣府)

中でも、最も新しい制度である「市場化テスト」では、

  • サービスによる利益を享受する国民の立場に立って
  • 公共サービス全般について不断の見直しを行い
  • 民間事業者の創意と工夫を適切に反映させることにより
  • 国民のため、より良質かつ低廉な公共サービスを実現する

としている。

つまり、作者が提案している「今よりも少ないコストで、行政サービスを良くする」は、すでに法律で決められているのだ。

また、「公共サービスのうち、国の行政機関等又は地方公共団体の事務又は事業として行う必要のないものは、廃止する。」としており、「サービスの棚卸(たなおろし)」も行われる。

さらに、官民競争入札実施要項又は民間競争入札実施要項に関する指針(官民競争入札等監理委員会)では、

確保すべきサービスの質の実現を図るため、

  • 当該質を下回った場合の措置(委託費の減額、契約解除等)を明確にする
  • 実施期間中の監督上の措置等につき所要の定めを置く

サービスの質の確保等のためには、事業者の努力を促す仕組みを設けることも重要である。その例として

  1. 民間事業者が、実施要項で定める確保すべきサービスの質を上回る成果を達成することが望まれる場合等に、追加達成された成果に応じて委託費の増額を行うなどの方法を採ること
  2. 実施期間の途中で事業実績を評価し、実績が一定水準を満たしていれば引き続き業務実施を可能とする方法を採ること

を挙げている。インセンティブ契約についても、指針で奨励されているのである。

よって、「原則として、全ての電子政府サービス事業を民間に委託する」ことについては、全く問題は無い。

●公共サービスにおけるインセンティブ契約の設計

インセンティブ型の契約については、プロジェクトマネジメントの分野で学ぶこともあるが、日本ではあまり一般的とは言えない。

参考資料としては、米国連邦政府の

“日本の電子政府が良くならない本当の理由(13):民間の利益と公共の利益を合致させる仕組みを作れ” に20件のコメントがあります

  1. 官チェックは必要
    もういい加減にしてもらいたいものですねえ。

    とこれは某連合会トップのお話。ある雑誌に記事を載せてますが、オンラインで司法書士(あ某の意味がないですね。)に原因証明情報の作成権限、添付書類の認証権限が付与されれば完全オンラインが一挙に進むと、めでたいことを繰り返し言ってます。

    どうも行政哲学の基本がおわかりでない。万一司法書士がピストルで脅されて不正や虚偽の登記に巻き込まれても、受けた法務局、登記官は形式を具備しておれば、受理せざるを得ないのです。当然、却下もないから登記も終わる。

    司法書士が、公証人のように公務員化すれば別ですが、衆人監視の体制のなかで仮に脅されてもそんなことはできない、あるいは、死ぬしかない状況さえ想定して、不正を防ぐそれが国家の要請なんです。

    会則で縛って、確認を厳格にしました。そんなものが通用するほど甘くないことは重々わかっているはずなのに、いつまでも対外的にそういう稚拙な意見を表明するようなトップには辞めていただくしかない、と考えますがね。
    保険でカバーしますといいたいのでしょうけどねえ。数億の不動産で頻繁にそんなことがあったらとてもとても。

  2. 利益誘導の囲い込み
    sagoさんの、
    >とこれは某連合会トップのお話。ある雑誌に記事を載せてますが、オンラインで司法書士(あ某の意味がないですね。)に原因証明情報の作成権限、添付書類の認証権限が付与されれば完全オンラインが一挙に進むと、めでたいことを繰り返し言ってます。

     これは、もう登記行政に関わる「資格代理人」と称する者の利益確保での政策だと観ます。

     登記市場で独占的に業務を行い、その独占にて生じる報酬額の総額がどのぐらいになるのか早急に明らかにすべきです。500億円は下らないのではないか? それも僅か2万人で独占的に囲い込みしているわけですね。

     こんな見え見えの政策に与しているととんでもないことになるだろう。

     このあたりの情報も開示して、電子政府のこれからも考えないといかんだろうな。

  3. 根本から。
    了見違いも甚だしい。自分と同じ器量で考えてはいかんな。

  4. もしかして3000億
    イエモリさん もっとです。

    司法書士の19年の取扱件数がざっと900万件です。
    もっとも裁判関連も含みますが、一件平均3万だとして、2700億。

    あれ 電卓が、あ 間違いないですね。ちょっと前までは、報酬額も報告してましたが、今は件数だけです。

    この金額を国民の側の申請負担と考えないのが、そもそもおかしい。

  5. 囲い込みに慣れた者の末路は哀れなのだ
    sagoさんの、
    >この金額を国民の側の申請負担と考えないのが、そもそもおかしい。

     そういうことです。電子政府推進での申請者負担軽減を言うのであれば、この辺りも踏まえて主張すべきなのだ。その某団体も。(笑)

     この部分を隠蔽したうえで、もっともらしく申請者の利便性、オンライン申請の推進役を主張したところで説得力は全くないのだ。まして規制行政でのどっぷりそのうま味を享受している者なら、なおさらですね。
    >もっとも裁判関連も含みますが、一件平均3万だとして、2700億。

     そうですか。今後は2700億市場を独占として他を排除する事業体だと解説することにします。500億は訂正ですな。

     こんな「美味しい市場」が行政手続にある実態。

  6. あのー。
    sagoさんの言うことは結局わかってもらえませんよ。ここの人たちは。

  7. ちょっと大きすぎたか
    不動産登記の関与が720万件で、一件2万としたら、1500億弱ですね。

    大きいのは大きいですね。権利登記の統計から、嘱託分を引いた場合、720万だとやはり9割近くなるようです。

  8. 商業法人は低い
    ぜんぜんさんが何をおっしゃりたいのかわかりませんが、商業法人の取扱事件数は、1077068となってます。
    ただカウントの仕方が、目的変更、役員変更を1件の申請書でやっても、件数としては2件にします。
    法務省の統計とはじゃっかん違います。

    まあ、6割前後ですか、そんなにいかないか。19年統計どうでしたかね。

  9. 規制改革要求はすべき
    連合会同士で手打ちが成立したからといって、末端会員や、単位会は、まだ続ければいいのでありまして、やはり成果として、司法書士の商業、法人関与率は明らかに落ちてます。

    経済産業省が、中小企業向けにワンストップサービスを始めますが、これによって、また司法書士の登記関与率は下がるでしょう。4年以内に、商業、法人取扱登記所が80庁に減りますしね。

    おっとこれは、兼業の行政書士の立場で言っております。

    ただ、今後は、税理士、社労士、行政書士の三士連合で攻めたらどうですか。
    司法書士はいまだに政治家さんを頼りにしてるからなあ。
    政治連盟の会費は天引きだし。

  10. 報酬と登録免許税、手数料
    電子政府推進での骨太方針2008にも、手数料の軽減をポイントにしています。インセンティブを与えると。
    登記行政でも一部の登録免許税の軽減策があるにはあるが。

    sagoさんの、
    >不動産登記の関与が720万件で、一件2万としたら、1500億弱ですね。

    ちなみに、登録免許税は6000億、登記手数料1000億ですね。
    http://www.e-stat.go.jp/SG1/estat/List.do?lid=000001012848

    これに該当代理人への報酬額の負担があるわけです。

  11. あー、もう!
    報酬がほしいだけじゃ、資格はとれないんですよ。安くするとは名ばかりで、結局、規制改革の名の下に大儲けした、Mとかいうお方の真似をしたいのですか?オンラインの前に、お勉強お勉強。

  12. 申請者主役の行政手続、電子政府の構築を

    sagoさんの、
    >連合会同士で手打ちが成立したからといって、末端会員や、単位会は、まだ続け

     例の手打ちをしたとする「確認書」ですが、双方の団体とも政治連盟ともども署名しているので、ぶったまげました。sagoさんのいう某団体は、政治連盟とは一線を画しての団体だと外部には主張しているのですが・・・。

    >政治連盟の会費は天引きだし。

    天引きってことで、政治連盟とは表裏一体の関係で、組織率99パーセントでしょうかね。

    政治団体と表裏一体の関係にあるような者に、行政の手続を独占させるなどとんでもないことになりますしね。

    商業法人登記の「開放」は、士業への開放のみならず、あらゆる事業体に開放すべし、です。

  13. 天引きじゃないよ
    >政治団体と表裏一体の関係にあるような者に、・・・
    あれ?自分の胸に手を当てて、都合のいいことばかり。

  14. 脱会の自由はありそう
    イエモリさんの

    >天引きってことで、政治連盟とは表裏一体の関係で、組織率99パーセントでしょうかね。

    本会の会費と同じ時に引き落とされますが、脱会できないわけではないが、ほとんどの人はそのままです。

    今年 県単位で、鹿児島の政治連盟が、日本の司法書士政治連盟から脱退しております。理由はよくわかりませんが。

    いくらか抜けやすい雰囲気になってはきたか。

  15. やはり独占撤廃こそが電子政府推進ですね
    sagoさんの、
    >本会の会費と同じ時に引き落とされますが、脱会できないわけではないが、ほとんどの人はそのままです。

    そうです。脱会もしやすい雰囲気作りが要りますな。

    こうした政治連盟と表裏一体、運命共同体のような士業には将来性など無い。むたさんが主張する、電子政府推進での大障害がこうした士業ともいえる。

    独占撤廃こそが規制改革であり、電子政府の推進ともなる。

  16. 規制改革会議の中間とりまとめにも
    http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/publication/index.html#opinion4
    中間とりまとめ-年末答申に向けての問題提起-(平成20年7月2日)

    こちらの、「(本文)教育・資格改革 」で、
    http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/publication/2008/0702/item080702_010.pdf

    PDF20ページに、法律専門職種の相互参入の促進とあり、商業法人登記について特に取り上げており、相互参入について検討すべし、とある。

    世の中動いているのだ。

  17. うむ手打ちは不成立
    イエモリさん やっぱこれは世の流れなのですねえ。

    当事者団体が合意して終わりではない。

    社労士の簡裁代理もでんとある。
    日司連はまた政治力使うつもりかね。

  18. 反故 ゴミ箱へ 「確認書」
    sagoさんの、

    >当事者団体が合意して終わりではない。

     というか、一般人からみれば、例の手打ちという確認書はなんら意味もないものだ、ということではないか。

    >日司連はまた政治力使うつもりかね。

     表裏一体の関係にある政連と統一戦線でおやりになるのでしょう。やればやるほど、どつぼにはまるのが現状だろうけど。

     ともあれ、例の確認書は既に反故になったも同然でしょうね。

  19. 議員連盟
    司法書士の原因証明情報作成権限や、添付書類認証権限は連合会長だけではなくて、議員連盟の先生方の総会でも決議されておったのですなあ。忘れておりました。

    まあ議員の先生方の応援があるからには、なんとしてでも早期に実現しなければと、連合会、政治連盟ともにしゃかりきになっているのでしょう。

    ただこの権限与えられて、オンラインが延びなければ、ハラキリものでしょうし、一般会員へのアンケートなんかなかったですよ。実際 半ラインでそこそこ出てるのも、免許税インセンティブが動機という会員がほとんどです。

    結局 仮にこの権限付与で報酬が上がって、免許税インセンティブがふっとんだらなんにもならない。政治運動化するということは、本当に会員のニーズがあるのかを十分調査しないと、国民からそっぽをむかれます。

  20. 司法書士の強制入会制度の廃止要望
    公開されました。
    http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/accept/200806/index.html
    規制改革要望6月受付関係(平成20年度)
    「特区、地域再生、規制改革集中受付」に係る提案・要望の受付状況について(確報)(平成20年7月8日)

    * 全国規模の規制改革要望一覧(Excel : 1,810KB)
        http://www8.cao.go.jp/kisei-kaikaku/accept/200806/0708/0708_youbou.xls

     こちらの法務省への要望などでは、司法書士法に関係する改革要請が多数を占めていますね。

     今後法務省への改革要望のメインは所管する司法書士制度の改革要求となるように思えます。

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