日本の電子政府が良くならない本当の理由(16):士業ビジネスモデルの崩壊
●士業ビジネスモデルの崩壊
士業は、一種の行政アウトソーシングである。
本来の行政手続は、行政が国民に対してわかりやすく説明し、わからない場合は、書き方も丁寧に教え、必要があれば代わりに書いてあげる。それが行政の仕事である。
ところが、本来は行政がするべき仕事を士業にやってもらっていた。
国民は、士業に対して、手続代行・代書の対価を支払う。
これが、士業ビジネスモデルの基本である。
そして、手続が難しいほど、面倒なほど、高い対価を払ってもらえる。
これに対して、電子政府が目指すのは「行政手続を、どれだけ簡単で便利なものとするか」であり、士業ビジネスモデルと相反している。
士業が本気で電子政府に貢献したいと思うならば、「電子政府に相反しない新たなビジネスモデル」を考える必要がある。
士業ビジネスモデルが通用する時代は、確かにあった。
- 国民の教育水準は低く、読み書きや計算もできない。
- 行政は不親切で、説明はわかにくい。
- 手続に必要な情報を入手することが難しい。
- 添付書類が多く、集めるだけでも大変
という時代である。
しかし、現在は
- 国民の教育水準も上がり
- 手続に関する情報や法律がインターネットで簡単に入手でき
- 行政も国民にわかりやすく説明しないと責められるので
- 窓口では、親切に書き方を教えてくれる。
- 一部の添付書類は、行政が揃えてくれるので不要である。
- 税、社会保険等の業務ソフトウェアでがあれば
- 専門知識など無くても処理できるし
- 適切なアドバイスも受けることができる。
- 士業でさえ、最新の法改正に対応したソフトウェアに頼っている。
となっている。
つまり、「士業や行政の情報力」と「国民の情報力」の差が縮まり、力関係が逆転してきたのだ。トフラーが指摘するところの「パワーシフト」である。
税理士に業務独占が許されていない米国では、税理士の力は強くない。では、どこが強いかと言えば税務ソフトウェア業界である。
士業による業務独占が無くなり、行政事務の簡素化・効率化が進めば、士業の業務(=役所の手続)は、標準化・部品(モジュール)化・パッケージ化が進められ、今後はウェブサービス化していくことになる。
具体的には、インターネット等を経由して、無料もしくは有料で
・自分に必要な手続やサービスを選べる
・必要になりそうな手続やサービスを教えてもらえる
・関連する手続を一括で処理してもらえる
・処理の過程や担当者情報を、詳細に追跡・確認できる
ようになる。
これらが実現しなければ、いくら高価なシステムを導入しようと、いくら美辞麗句を並べようと、「ニセモノ電子政府」と考えて良い。
しかし、士業が旧態依然のビジネスモデルに固執し、業務独占を維持し、新たなサービスの育成を邪魔するのであれば、上記のような電子政府サービスを実現することはできないのである。
反論困難
ディベートだと考えても、むたさんの立論に対し、否定側をやるのは困難です。
ただ国家公務員は減らせとなっている。「代わりに書いてあげる」ところまでやると削減困難か。
まあそのために地方移譲をして、登記の場合であれば登記官のみ地方に出向けばいいでしょう。相談員は、悪名高い公益法人があるじゃありませんか。
登記官を置くのは、ミスがあった場合、地方の側に賠償させると負担が大きすぎるので、国家賠償をするためですが。
で 便乗ですが
http://shinsei.e-gov.go.jp/menu/smenu.html
公式にセキュリティーホールが発表されましたね。
登記オンラインは今週いっぱいかけて作成支援ソフトの新版をダウンロードするようになりますが、この際、JREの入れ換えと、法務省オンライン申請システムの入れ換えもさせたらどうですか。まあ、士業はぶーたれても言うこと聞きますから。
底が割れている士業だ
sagoさんの、
>うになりますが、この際、JREの入れ換えと、法務省オンライン申請システムの入れ換えもさせたらどうですか。まあ、士業はぶーたれても言うこと聞きますから。
そそ、ぶー垂れるのも格好だけで、最後は言うことを聞くのだ。それが宿命かもしれないな。
JRE問題について、法務省オンライン申請システムからもお知らせが出ましたね。
http://shinsei.moj.go.jp/new/new_top.html
行政からみれば、ほんと都合のよいのが士業でもあり、一種の緩衝地帯なんですよね。国民からのぶー垂れをも未然に防いでくれる。(笑)
まぁ、いずれ行政側も士業を見限るときが必ずやってくるんですよね。