日本の電子政府が良くならない本当の理由(17):電子申請の士業任せは、イノベーションを阻害する
●士業に業務独占を与える理由が無くなった
士業の主業務である「行政手続の仲介」は、行政アウトソーシングの一形態である。
行政が人手不足等の理由でアウトソーシングするなら、アウトソーシング先は競争によって決めなければいけない。
あるいは、複数の業者に競わせて、国民に選んでもらえば良い。
コンピュータやインターネットの活用も有効である。
ネットオークションやオンライントレードに見るように、仲介業務は彼らの得意分野だ。
電子政府サービスが求められるのは、行政と国民の間を取り持つ「優秀な仲介者」が必要とされていることに他ならない。
士業による業務独占は、競争の無い随意契約のようなものである。
「行政手続の仲介」が「誰でもできる」ようになった現在、士業の随意契約を更新する理由は無い。
業務独占を主張する理由として、「業務の専門性」があるが、行政手続の簡素化・省略化が進み、パソコンやインターネットの普及を始めとしたIT化が進んだ今となっては、「誰でもできる」が当たり前となり、専門性など無くなってしまった。
少なくとも、士業が主な業務としている「手続の代行」や「書類の作成」に、専門知識や技術は不要である。
実際、士業の事務所でも「手続の代行」や「書類の作成」の多くを、士業本人ではなく補助者が処理している。さらに、実際に処理するのはコンピュータやソフトウェアである。
あらゆる行政手続は、「専門家に頼まないと難しいもの」から「自分でできて当たり前なもの」へ、そして「誰に頼んでも同じもの」となってきた。行政手続の性質(公共性・公平性・透明性)を考えれば、それは当たり前のことだ。
もはや、「手続の代行」や「書類の作成」に業務独占を与える理由は無い。
「自分でする」か「好きな誰かに頼む」、いたって単純な話だ。
業務独占を主張するためには、「高度な倫理性」も必要とされる。しかし、これも低下しつつある。
業務が「誰に頼んでも同じもの」となり、手続の簡素化等により市場規模も縮小する中で、新しく士業になる人は増えるばかり。
そのため、士業内・士業間での競争は厳しくなっている。
ネット上では、士業の比較、一括見積り依頼、熾烈な価格競争など、以前では考えられなかったような状況にある。
厳しい環境下で、高度な倫理性を保つことは難しい。
しかも、士業団体によっては処分実績を公表しておらず、透明性・公開性といった倫理維持・向上に必要な措置を怠っている。
参考資料>>行政庁及び士業団体による懲戒及び処分実績(PDF)
「士業の業務独占を無くし、民間に解放すると、悪いことをする人がのさばり、国民に被害をもたらす」などど言った主張には、何の根拠も無ければ説得力も無い。
士業であろうと民間企業であろうとNPO法人であろうと公務員であろうと、悪いことをする人は必ずいる。
大切なのは、誰に任せるかではなく、「悪いことがしづらい」「悪いことが割に合わない」仕組みや環境を作ることである。
そこで必要となるのは、透明性・公開性であり、相互監視・抑制である。
●新しいオンライン行政サービスを邪魔する士業たち
士業は、電子政府サービスを率先して利用し、その普及・拡大に貢献している。これは事実である。しかし、もう一つ別の側面もある。
それは、「新しいオンライン行政サービスを邪魔している」ことだ。
本来の電子政府サービスは、「士業に頼まなくても、誰でも簡単に手続を済ませることができる」ようにしなければいけない。
海外の電子政府サービスでは、「本サービスを利用すれば、専門家に支払う報酬が不要になります」と宣伝しているものもある。
しかし、日本では、民間企業等が行政と連携して「士業に頼まなくても、誰でも簡単に手続を済ませることができる」サービスを実現しようとすると、士業が必ず邪魔をする。
「それは、私たちの業務独占に反しますよ」「士業の関与が無ければ、サービスはできませんよ」といった具合である。
しかし、士業の人件費は高く、士業間の縄張り意識も高い。
そんな士業が割り込んでくると、せっかくのサービスも「士業の利益を重視した、複雑で高価格なオンラインサービス」となってしまう。
例えば、会社設立のオンラインサービスなどは、質問に答えていけば、
- 事業計画書が作成されて
- 融資や助成金の申込みが行われて
- 設立の手続(登記)が完了し
- 税や社会保険等の届出も行われて
- 業務に必要な許認可の申請等も行われる
こういうサービスこそ、電子政府が実現すべきものだし、現在あるインフラや技術で十分に実現可能である。
その上で、不動産や事務用品など、事業に必要なものを調達できる民間サービスと連携していけば良い。
ところが、
・行政の業務独占と縦割りが邪魔をして
・士業の業務独占と縄張り争いが邪魔をして
いっこう実現しない。
作者は、士業が必要ないと言っているのではない。士業が必要かどうかを決めるのは、作者ではなく国民や市場である。
ただ、より良い電子政府サービスの実現、より良い行政手続の仲介・代行サービスの出現を邪魔しないで欲しいと言っているのである。
現在の電子政府は、国民ではなく士業の方を向いており、電子政府の目的に反する「士業ビジネスモデル」を前提にしたサービスを展開している。
電子政府が士業の呪縛から抜け出さない限り、イノベーション(革新)は起きず、国民が利便性を実感できるサービスは実現できない。
以上で、本連載の中段を終わりとする。後段では、「公務員」と「士業」に焦点を当て、彼らの変化と今後の対応について提案していく。
どこの誰がどのように邪魔をしているか?
むたさんの
>ただ、より良い電子政府サービスの実現、より良い行政手続の仲介・代行サービスの出現を邪魔しないで欲しいと言っているのである。
より具体的に指摘しないと、説得力が無いと思う。
「邪魔」の具体性です。象徴的な存在はどの士業なのかを言わず、一般論で解説すればするほど士業の「邪魔」を利すると思う。
電子政府、促進での三大障壁の一つが、士業だというならば徹底して追及したいところです。
SaaS活用基盤整備事業の場合
以前、本ブログにもコメントを頂いた事業。
IT戦略本部(第45回)議事次第
経済産業省提出資料(PDF)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/it2/dai45/45gijisidai.html
●SaaS活用基盤整備事業の概要
財務会計などバックオフィス業務から電子納税等電子申請までを一貫して行える、便利なワンストップサービス(SaaS活用型サービス)を官民連携して構築・普及。
中小企業の会計力・経営力向上と電子政府利用を促進。
当然、税理士が黙っていませんから、業界からの指摘で「税理士等専門家の支援」となっています。
「象徴的な存在はどの士業なのか」ではなく、どの士業も似たりよったりでしょう。
ただ、「会員数が多く政治力が強い方が実際の影響力も大きくなる」と言えますから、やはり税理士は強い。しかも、他士業に比べてソフトウェア業界が経済力と政治力を持っているので、その発言は大きな影響があります。
税理士に続く会員数を持つ行政書士も強い。自動車ワンストップサービスでは、業務独占を巡ってもめましたが、結局は行政と妥協して「定型的かつ容易に行える手続についての電磁的記録の作成は、総務省令で定めることにより、業務制限を受けなくなる。」となりました。
どの士業も似たり寄ったりか?
むたさんの、
>「象徴的な存在はどの士業なのか」ではなく、どの士業も似たりよったりでしょう。
はたして似たり寄ったりかについては納得しかねるが。こうして一般論として言えば言うほど、国民側はなにがなんだかわけが分からなくなるだろうな。
確かに、
>当然、税理士が黙っていませんから、業界からの指摘で「税理士等専門家の支援」となっています。
はい、そうなっていますが。この支援があることで電子政府推進の「大弊害」となるかが分からないでしょうね。
また、
>税理士に続く会員数を持つ行政書士も強い。自動車ワンストップサービスでは、業務独占を巡ってもめましたが、結局は行政と妥協して「定型的かつ容易に行える手続についての電磁的記録の作成は、総務省令で定めることにより、業務制限を受けなくなる。」となりました。
いわゆるOSSの件だと察するが、結果としてこれは業務制限を受けなく為せたことで、電子政府推進の促進策になっているのではないか?この制限撤廃こそが士業の障害を無くせるものです。もっとも、OSSに関与している行政書士はほとんどいませんが。
つまり、どの士業も似たり寄ったりではない、 ということです。
ワンストップで風穴を
会社設立ワンストップが実証実験までやりながら進まなかったのは、士業の縄張り争い、行政の縦割りが原因でしょう。
足をひっぱったのは司法書士と法務省でしょう。
今度 つくるなんとか促進法とやらでは、まずはワンストップに限定してもいいから、士業の独占規程の排除を盛り込むことでしょうね。
国民から見れば
士業の主張は、やはり似たりよったりと思います。
彼らの主張は、法律上の権利として行っているので、その行動パターンは同じとなりやすい。ただし、関与率や業務範囲により、独占が解放された場合の影響度合いも違うので、必死度・固執度は異なるでしょう。
この辺り、後段で触れたいと思います。
いずれにせよ、行政手続の仲介・代行が独占から解放されるまでは、士業の介入は続くでしょう。
それを防ぐためには、sagoが提案されているように「ワンストップに限定してもいいから、士業の独占規程の排除を盛り込むこと」などが有効と思います。
会社設立ワンストップが進まなかったのは、行政の縦割りと予算措置の問題かと。司法書士の関与については、よくわかりません。継続には、年間1千万円ほどかかるけど、予算が無いと。。
年間の利用が数件の電子申請システムが継続運営されるのに、なぜ役に立つ会社設立ワンストップの1千万円が工面できないのか。
電子政府サービス、特に複数の行政庁を巻き込んだワンストップ系のサービスでは、政策的な意図と支援が無いと進みません。自動車OSSも、小渕政権の支援があったからこそですし。
政府が本気で国民視点のワンストップサービス(民まで巻き込んだ)を実現したいのであれば、士業や行政ではなく国民の利益を最優先したサービスを実現すると宣言し、法律等で担保する必要があります。
士業の独占については、経済界からの指摘もあります。士業の業務独占が、生産性向上の阻害要因なのではないかと。この指摘は、その通りでしょう。
「業種別生産性向上プログラム」の公表について ~「攻めのサービス産業」に向けて 生産性向上を「点」から「面」に~(METI/経済産業省)
http://www.meti.go.jp/press/20080430007/20080430007.html
「業種別生産性向上に向けた処方箋」
p177 生産性向上に向けた課題
(1) 総論
平成20年2月より「BPO(業務プロセスアウトソーシング)研究会」を開催し、生産性の向上に向けた課題について検討を行っているところである(平成20年5月とりまとめ予定)。
外部要因
社会保険関連、税関連など、我が国における一部の法制度の複雑性が、業務プロセスアウトソーシング(BPO)提供企業に対して、生産性の向上や規模の経済の追求を困難にしている可能性があるのではないか。例えば、
① 社会保険、税関連における、自治体毎に存在する提出様式の差違などが、BPO提供企業にとって、生産性の向上や規模の経済の追求を困難としているのではないか。
② 行政手続きの電子化が遅れているため、役所への申請・報告に際し書類を紙で作成しなければならず、ハンドリングコストの上昇・入力ミスを誘発。結果、生産性の向上や規模の経済を追求する際の阻害要因となっているのではないか。
③ 間接部門の一部の業務については「社会保険労務士」「税理士」などに「業務独占」が認められているが、この制度が、BPO提供企業が生産性の向上や事業規模を拡大する上での阻害要因とならないよう、両者で連携を図っていく必要があるのではないか。
などということが課題になっていると推測される。
住宅新築ワンストップ
引っ越しワンストップはあるのですが、この場合はあまり士業は縁がない。しいていえば行政書士でしょうが、実質関与してこなかったでしょう。
住宅新築やマンション購入ワンストップで、取得税控除、還付納付まで一気にやれるようにすれば利便性は上がる。
まあ、それを入り口部分の土地家屋調査士がやるのか、建築士がやるのか、まあ途中、保存登記で司法書士が絡んだとしてもそんなの無視して飛ばして下さい。
と、このぐらいのことを連合会長がいえば、おお太っ腹と拍手がおきるのだが。
個別具体的でなければ弊害要因がわからん
むたさんの、
>士業の主張は、やはり似たりよったりと思います。
主張はまさしく似たり寄ったりです。が、その似たり寄ったりがいかに電子政府推進の弊害たり得るかを具体的に解説しないかぎりは、なかなか理解しずらいということを言っているのです。
で、
>それを防ぐためには、sagoが提案されているように「ワンストップに限定してもいいから、士業の独占規程の排除を盛り込むこと」などが有効と思います。
この有効性については、同感するが。
ようするに業務独占規程が、電子政府推進の弊害要因であると主張するなら、その具体的要因を解説しないかぎりは、国民には分からないのだ。
うーん
イエモリさんの言われる「具体的要因」が何を意味しているのか、よくわからないのですが。。
例えば、どういったものでしょうか。
結果に自己責任をもてれば良い
士業で独占している業務についてIT化が進んだ今、誰が作成等しても同じ、というコメントは同感。それは別に今に始まったことではなく、IT化していない時代でも同じだったこと。ただし、法律を駆使した結果の書類と単純入力マニュアルのみで作成された書類とでは全く意味が違います。何の分野でもそうですが専門家のノウハウを軽視しているといつか痛い目にあいますよ。
業務独占規程がホントに障壁なのか?
>例えば、どういったものでしょうか。
いえ、逆に聞きたいのだ。むたさんが言う士業による独占規程によって「邪魔」をしているとの解説について、一般国民にはその邪魔の意味が分からんよ、ということです。
電子政府推進での三大障壁に士業の独占があると解説されているわけで、こうした解説をされているのは一人むたさんぐらいです。
となると、この障壁は具体的になんなのか、を問われるのよね。各士業が単に主張していることをもって「邪魔」だ、というのじゃ説明にならんし。
先のコメントで取り上げた税理士についてでもよいので具体的にどこがどう障壁になっているのか解説いただきたいのだ。
割高なのに排除できない
先の例で言えば、
士業の業務独占規程があるため、「税理士等専門家の支援」を断れないことが問題となります。
「税理士等専門家の支援」は無料ではありません。税理士への報酬、システムの機能追加費用等がかかります。
「少ないコストで、より良いサービス」を目指すために、コンピュータで処理しますから、税理士さん(=高コスト人件費)無しで大丈夫ですよ。国税庁のタックスアンサー等とも連携しますので問題ありません。
ということができない。
私が提案した会社設立のオンラインサービス
質問に答えていけば、
事業計画書が作成されて
融資や助成金の申込みが行われて
設立の手続(登記)が完了し
税や社会保険等の届出も行われて
業務に必要な許認可の申請等も行われる
といったサービスになると、行政書士、公証人、司法書士、税理士、社会保険労務士などの関与を断れないので、高コストは体質が更にひどくなります。
現在の電子申請でも、システム改善・改良のために士業からの意見を取り入れてきましたが、利用率は増えないし、使い勝っても良くならないしで、ちっとも良くなりません。つまり、行政と士業に任せていては、国民の利便性は向上しないし、「少ないコストで、より良いサービス」も実現できないのです。
現在、官の仕事を民が担う流れがあります。官に任せるより、民に任せた方が「少ないコストで、より良いサービス」を実現できるんじゃないの?ということです。
これと同じく、士業の業務も、民間企業等でやってもらった方が「少ないコストで、より良いサービス」を実現できるんじゃないの?と試してみることが、士業の業務独占規程があるとできないのです。
ところで、あゆさんのコメント「法律を駆使した結果の書類」と「単純入力マニュアル」は、現在の「士業の認識と限界」を如実に表していますね。
そもそも「法律を駆使した結果の書類」に価値などありません。それは士業の自己満足に過ぎない。「顧客に利益と効果をもたらす書類」に価値があるのです。利益と効果をもたらすのに、法律を駆使する必要が無くなったら、どうしますか?ということです。
また、ITの進化は「単純入力マニュアル」など求めていません。「最新の事例と法令を基に、最大の効果をもたらす最適な書類を迅速かつ簡単に作成できる」、しかもその効果が保証されている。そういう次元へ行こうとしているのです。
このあたりも、後段で詳しく解説しましょう。
士業独占規程はコスト高になる!!
むたさん、回答説明ありがとう。私はむたさんの言おうとしているのは当初からだいたいのところは理解しているつもりだが。これが一般国民の視点からだと、むたさんの意図が分かりにくいだろう、と思い確認したのだ。ごめん。
>「税理士等専門家の支援」は無料ではありません。税理士への報酬、システムの機能追加費用等がかかります。
国民からみるとこのコスト高について注目せざるをえないのだ。独占士業が存在するばかりに、その維持のため申請システムの構築費用を割高にし、かつ士業には使い勝手が良く、国民一般には使えない代物を構築している点であろう。膨大な予算を投入するも、ほとんど一般国民が使用していない。また、士業が積極的に使用しているかと言えば、それも全部でもない、という現状もあるのだろう。
無駄なコストが掛かるという点に絞ったら分かりやすいな。士業の独占規程などは電子政府推進での無駄な投資である、と決めつけたほうがよろしいかもしれない。
第二点は、
>そもそも「法律を駆使した結果の書類」に価値などありません。それは士業の自己満足に過ぎない。「顧客に利益と効果をもたらす書類」に価値があるのです。
このあたりも、同時に詳しく解説していただきたいのだ。
意外とこの自己満足のことが一般的なんですわ。
士業って、この自己満足で存在を維持しているところもあるしね。また、一般人も「餅は餅屋に任せよう」という意識も根強いし。
士業の独占を撤廃しても、この自己満足は維持できるので、そう名称独占でもしておけば、よろしいのだが・・・・・
ともあれ、「後段での解説」を待ちます。
自己満足・・・ですか?
むた さん、はじめまして。興味深く拝読しています。
『そもそも「法律を駆使した結果の書類」に価値などありません。それは士業の自己満足に過ぎない。「顧客に利益と効果をもたらす書類」に価値があるのです。利益と効果をもたらすのに、法律を駆使する必要が無くなったら、どうしますか?ということです。』
とのことですが、その「顧客の利益と効果をもたらす書類の価値」を最終的に担保するのは、まさに法律ではないでしょうか。
そのことを顧客に知らせないで、士業が法律を自分たちの仕事の道具として封印してしまったために「士業の自己満足」との誤解(敢えて「誤解」と言わせて頂きます)に基づく批判を受けるに至ったのだと思います。
これからの士業に求められているのは、そうした旧態然としたパターナリズムではなく、依頼者のコンセンサスを経ながら「成果に至るプロセスを共有すること」だと思います。
その過程で、法律の役割を依頼者に正しく理解してもらうように努力することが大事じゃないでしょうか。
士業の仕事は特別じゃない
法律が担保するのは、士業の作成する書類に限らず、ほとんどの社会・経済活動が法律で担保されています。
電化製品も、清掃サービスも、法律の担保があるわけです。しかし、「これは法律を駆使した製品・サービス」とか言いません。あくまでも、製品・サービスの品質等で勝負するわけです。適法であることは当たり前で、そんなことは差別化の要因とはなりません。
これから士業や行政手続に起ころうとしていることは、士業のプライドや自負心を無情にも打ち砕くものです。
公務員は、既に打ち砕かれつつありますが、それが士業にも襲ってくるのです。
士業は、実務家であり、現場の最前線にいます。それは強みでもありますが、どうしても近視眼的になりがちです。自分達が生み出している価値が、何の役にも立たなくなるなんて、想いもよらないし考えたくもない。しかし、現実はそうではないのです。
むた さんへ
むた さん、ご返答ありがとうございます。
「適法であることは当たり前」という表現から、むた さんのおっしゃる「法律」というのは、例えば業法、規制法、或いは定型的な届出の要素が強い行政手続法の分野を指すのかと理解しました。
その分野を切り取る限りは、おっしゃるとおりでしょう。
機会がありましたら、また続きをコメントさせていただくかも知れません。
hyperballadさんへ
こちらこそ、貴重なコメントを頂きまして、ありがとうございました。
私自身は、士業の方々を責めるわけでも、不要だと考えているわけでもありませんことをご理解ください。
行政(公務員)の仕事の質が変わってきているのと同じように、それに付随する士業の仕事の質も変わってきていることを、後段で解説していきたいと思います。
また機会がありましたら、ぜひコメントをお願い致します。