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2005/8/22 携帯サイトで住民票の写しの取得を予約、駅で受け取り--横須賀市が9月から
要は、いかにして利用者の負担を減らし、魅力あるメリットを提供できるかということですね。 また、できるだけシンプルな仕組みとすることで、市民と役所のコスト負担も少なくなります。複雑な仕組みのサービスは、どんなに素晴らしいメリットを謳っていても、その時点でボツとするべきなのです。 2005/7/4 官民連携ポータル検討会 事業者(ビジネス)向けサービスの会社設立ポータルに続いて、市民(暮らし)向けサービスの引越し手続きポータルが検討されています。 引越し手続きポータルが成功するためには、次の点に注意したいところです。 本サービスとして立ち上げる 検討会とか実証実験だと、せっかくポータルサイトを作っても、会社設立ポータル「創業ナビ」のように休止してしまうのは、本当に税金の無駄だと思うので、本サービスとしてスタートさせることが必要です。 経済産業省や法務省を初めとして、省庁だけでも起業・企業支援に関係するサービスやコンテンツをたくさん持っています。これらを統合して会社設立ポータル(ビジネスポータル)としてスタートさせていれば、サービスが休止することもなかったでしょう。 引越し手続きポータルも、国から出る予算を使い切ったら終わりとならないようにしましょう。 また、複数の地方自治体(特に市町村)が参加し、引越し関連の手続について、ノウハウやコンテンツを共有することも大切です。 民間に運営を任せる 海外事例として取り上げられている 引越し手続きポータルでも、政府が資金を提供するのはかまいませんが、運営は民間企業・団体(政府の外郭団体は不可)に任せて、責任を負わせることが必要です。 別のアプローチとしては、検討会でも紹介されている「引越れんらく帳(東京電力が提供する生活情報サイトのサービス)」といった、既に利用されている民間サービスに、行政が参加させてもらうという方法です。 行政の初期投資が安く済み、行政だけでは実現が難しいサービスレベルを維持するためにも、電子政府サービスにおける民間サービスの活用は、積極的に進めるべきだと思います。 官民より先に、官内・官官の連携から 検討会の資料からもわかりますが、民間レベルでは、引越し手続きのワンストップサービスは既に実現しています。 ところが、行政レベルでは、異なる行政機関(国、自治体)間の連携はもちろん、同一の市役所の中でさえ、ワンストップも連携も実現されていません。一人一台に近いパソコンを導入し、各業務が電子化・システム化され、庁内外の通信ネットワークが整備されているにもかかわらずです。。 これでは、民間サービスに行政が参加しても、サービスのレベルを下げ、足を引っ張るばかりです。 行政が本気で、引越し手続きのワンストップサービスを実現したいと思うのであれば、まずやるべきことは、
だと言えるでしょう。そうすれば、民間サービスとの連携もスムーズに行えます。 オフライン・対面サービスを活用する 引越し手続きのワンストップに行政サービスが追加されたとして、やってはいけないことは、自分たちのやり方を押し付けることです。 例えば、「電子署名(公的個人認証サービスの電子証明書)がなければ利用できません」なんてしたら、せっかくのサービスも利用されなくなります。 成りすまし防止や本人確認がしたいのであれば、引越し先の住所に手続き確認の通知を送り、一度だけ窓口(夜間や土日営業が好ましい)に来てもらえば良いのです。 この際に、
などを行います。 「引越し」というイベントは、楽しみや期待があるものの、面倒だし不安も多い。。そんな時にこそ、行政サービスの質や姿勢が問われるのですね。 行政手続きのサービスを含む引越し手続きポータル。道のりは厳しいですが、柔軟な発想と創意工夫で、ぜひとも実現して欲しいと思います。 2005/6/20 橋梁談合:全128件が電子入札 防止目的で導入、骨抜き 談合事件についての公式発表は、公正取引委員会の記者発表を参照。 国土交通省が発注する鋼橋上部工事の入札談合事件に係る告発について(PDF) 国土交通省が発注する鋼橋上部工事の入札談合事件に係る追加告発について(PDF) 公共調達における談合は、今に始まったことではないですが、時代の変化と共に、談合の事実が白日の下にさらされ、司法・行政関係者の努力が実り、少しずつなくなっていくことを期待します(潮流を考えれば、そうなるでしょう)。新聞やテレビといったメディアにも、それを後押ししてもらいたいですね。 ここでは、今回の記事から読み取るべき、現在の電子入札が抱える問題点を指摘しておきましょう。 その問題点は、電子入札システムの導入は進むものの、評価・監視の仕組みを持たないケースが多いため、本来の目的を達成できていないということです。 電子申請における評価・監視の仕組みの大切さは述べてきましたが、具体的な数字と結果で評価・測定しやすい電子入札こそ、評価・監視の仕組みが必要なのです。 仮に、国土交通省の電子入札システムの導入に合わせて(できれば事前に)、競争入札の仕組みを改革し、電子入札の導入によって落札価格が下がったか、事務処理スピードが上がったか、入札に参加する新規(地元)企業は増えたか、事業のコストパフォーマンスは向上したか等について評価・監視を行っていれば、談合を防止できる可能性は高くなったでしょう。 国土交通省に限らず、国や自治体の電子入札では、こうした評価・監視や情報公開がほとんど行われておらず、電子入札のウェブサイトを見ても、電子入札によってどれだけの効果があったのかが説明されていません。これは、大変恐ろしいことです。 日本は電子入札が進み、電子証明書(ICカード格納)の成功例だといった意見を聞くたびに、「うーん、違うんだけどなー」と嘆く作者であります。。 記事にある通り、電子入札システムだけで、談合を防止することはできません。電子入札の本質を理解して「談合を防止しよう」という強い意志が働かなければ、談合はなくならないのです。 電子入札の導入過程で、入札制度が抱える問題点に気づき、意識を変化させ、制度を改革し、協力者(行政、司法、企業、市民)を巻き込んでいくことができれば、談合を防止することは十分に可能なのですね。 企業コンプライアンスといった言葉が流行っていますが、営利を目的とする企業が、厳しい競争の中で、組織的に一線を超えてしまうケースは今後もあるでしょう。だからこそ、今一度、電子入札のあり方を見直す必要があると考えます。 2005/6/14 電子申請システムモニター事業に係るアンケート結果 全国の自治体に先駆けて電子申請だと手数料が安いを実施した佐賀県が、電子申請の利用者アンケート結果を公表しました。 利用者の声を聞くことは、、電子申請の利用促進の第一歩と言えますので、佐賀県の試みは評価できますね。 こうした利用者アンケートは、質問内容が大切ですが、それ以上に自由意見などから本音を探り、そこから次の手を考えることがより大切です。つまり、表面的な結果だけで満足してしまうのは避けるということです。 例えば、「予想される申請回数」で、「数年に1回」が50%で最も多いとなれば、3年が有効期限である公的個人認証サービスを取得して電子申請するメリットは少ないのでは。と考えることできます。 さらに、ここ3年間のうちに行った役所の手続をアンケートすれば、力を入れるべき手続や利用推進策が見えてきます。 また、アンケート結果に対して、行政から改善策を提案し、実行計画を公表すると、より双方向性が向上し、電子申請と行政への信頼も高まります。 2005/6/5 平成16年分の所得税、消費税及び贈与税の確定申告状況について 電子申請(電子申告を含む)に関して、国税庁の良いところは、情報公開の姿勢です。迅速かつ丁寧に利用状況を公開しているのは、現在のところ国税庁ぐらいでしょう。本来は、全ての省庁に義務付けなければいけないことですが。。 発表資料によると、確定申告書の提出件数が2,166万7千人あった中で、 電子申告(e-Tax:全国拡大後、初めての確定申告)は、2万2千件(所得税申告:1万9千件、個人事業者消費税3千件)となっており、約0.1%の利用率となっています。 これに対して、国税庁ホームページの「確定申告書等作成コーナー」を利用して作成した所得税申告書の提出件数は69万件あり、約3%の利用率となっています。 さらに、タッチパネル方式による自動申告書作成機を利用した申告書の作成件数は、407万2千件あり、約19%も利用されています。 この差が生まれる要因は色々とありますが、やはり申告書作成の複雑さが大きいと思います。税務署等へ行って相談し、説明や補助を受けながらでないと、多くの人にとって申告書の作成は難しいということです。 しかしながら、「確定申告書等作成コーナー」は、改良すべき点も多いですが、実際に使ってみると非常に便利なので、利用者は増えていくことでしょう。特に一度利用した人が再び利用する可能性は高いはずです。 他方、電子申告(e-Tax)については、特に運用面における抜本的な見直しがない限り、利用者の拡大は困難でしょう。 いずれにせよ、より良い電子申請の実現は、情報公開から始まります。その点から、国税庁の発表は、高く評価されるべきものですね。 2005/5/1 電子政府システムにおけるアクセス制御要件に関する調査 アクセス制御要件に関する調査ですが、行政文書管理業務の現状も理解できる充実した内容です。 電子政府サービスの提供と国民への信頼という観点から見た場合、
行政が保有する情報(個人情報を含む)は、原則として利用されるものであり、国民の選択肢は少ない。だからこそ、サービスを改善し、国民の信頼を得るための絶え間ぬ努力が必要となります。 別の言い方をすれば、電子政府に対してたくさんの税金を使いながら、サービスの改善が見られなければ、国民からの信頼を得られません。 何のために、情報を管理し守る必要があるのか。電子政府システムにおけるアクセス制御を考える際には、このことを再確認して欲しいですね。 2005/4/27 電子申請の普及を背景に、商業登記に基づく電子証明書発行件数が大幅増 言いたいことはたくさんありますが、累積約1万5000件という数字は、あまりにも寂しい状況であり、とても電子申請の普及とは言えないことは理解しておく必要があるでしょう。 なお、「累積」の発行件数なので、現在保有している企業の数は、1万件なのかか数千件なのかも不明です。分母となる企業(法人)数は、帝国データバンクの企業DBだけでも123万社ありますので、電子証明書を使って電子申請する企業が、非常に少ないことは確かです。 発行件数が増える要素しては、電子申告と電子入札があります。電子申告に期待する企業は多いので、電子証明書を取得しようとする企業は増えると思いますし(実際に電子申告するかは別問題)、電子入札の場合は、電子証明書がないと入札に参加できないこともあるからです。特に、東京都において入札参加資格の申請で電子証明書が必要となることの影響力は大きいはず。 商業登記に基づく電子認証制度は、電子政府の基盤と位置づけられるものですが、次に挙げられるように、制度としては不備な点が多いことも問題です。
つまり、電子証明書うんぬん以前の問題が、背後に隠れているということです。 電子政府・電子申請の実現は、行政改革そのものであり、電子政府・電子申請をきっかけとして、問題の本質を明らかにし、適切な対処を施すことにあります。(作者としては、特定の行政庁を責めるつもりはありませんし、そうした行為は、あまり生産的ではないでしょう)。 商業登記に基づく電子認証制度が、本当に意味での電子政府の基盤となることを望みます。 2005/4/15 霞が関WAN及び政府認証基盤(共通システム)の最適化計画 当コラムも久しぶりの復活。今後は、こまめに更新したいと思います。 さて、トップページでも紹介している、霞が関WAN及び政府認証基盤(共通システム)の最適化計画について。 電子政府では、組織間の連携を進め、重複投資を少なくすることが重視されます。組織間の連携は、縦割りの弊害を少なくし、ワンストップサービスなど利用者視点のサービス実現に寄与すると考えられますし、重複投資を少なくすることで、費用対効果の意識を育て、事後チェックやメンテナンスも容易になるのですね。 省庁が進める電子政府は、まだまだ無駄が多く、統合すべきシステムやサービスがあります。電子申請(汎用システム)については、電子政府の総合窓口で一本化が進められる予定なので、それ以外で2点だけ触れておきましょう。 電子入札システム 電子申請と同じように、電子入札システムも各省庁が構築・運営しています(中央省庁の電子入札)。 電子入札は、もともと公共調達における情報化・合理化を実現するための措置の一部なので、各省庁がシステムを持つ必要はありません。実際、都道府県などでは、市町村との共同運用としているケースが増えています(埼玉県電子入札共同システム)。 省庁レベルでも、調達情報については統合化されています(政府公共調達データベース、調達総合情報システム)。 各省庁の電子入札システムについては、入札事務の簡素化・合理化・迅速化、落札価格の低下、入札参加企業の増加といった本来の目標をきちんと測定しつつ、早々に統合化される必要があると言えるでしょう。 ウェブサイト 政府のウェブサイトは、組織別に構築・運営されるものが多く、同じような目的を持ったサイトが増えています。 こうした傾向は、ウェブサイトに対する投資が効率的に行われないという費用的な問題はもちろん、組織間の連携を阻害する要因ともなるので、早期に解消される必要があります。 例えば、(情報)セキュリティに関する政府系のサイトを見ても、 内閣官房 情報セキュリティ対策推進室 経済産業省 情報セキュリティ政策室 総務省 情報セキュリティ対策室 警察庁 セキュリティポータルサイト 情報処理推進機構:セキュリティセンター 情報通信研究機構
情報セキュリティセンター もし、これらが統合されて、組織間の連携・協力が日常的に行われるようになれば、様々な効果が期待できるでしょう。ポータル(玄関口)がたくさんあっては、訪問者(国民)は迷ってしまいますよね。 残念ながら、ウェブサイト統合化については、日本の電子政府において問題と認識されていないのが現状です。ウェブサイトの明確な戦略が無ければ、電子政府の成功はありませんので、まずは問題認識をして欲しいですね。 2005/1/11 今後の行政改革の方針(PDF) 電子政府・電子自治体は、行政改革そのものであり、今後の行政改革の方針で電子政府が重要な施策として取り上げられることは、大変良いことだと思います。 その一方で、電子政府・電子自治体それ自体が目的になってしまうことは、避けなければなりません。まず、何か改善したいこと実現したいことがあり、電子政府・電子自治体はそれらを支援するものに過ぎないのです。 例えば、「8 国民との定期的な連絡に関する効率化」において A 厚生労働省ホームページ社会保険庁コーナーにおいて、55 歳以上の者からの年金見込み額及び年金加入状況の照会を受け付けているが、本人への郵送による回答に加え、本人確認を厳格に行いつつ、インターネットによる回答を可能とすることにより、郵便費用の軽減や回答の迅速化を図る。平成16 年度中の実施を目指し検討を進める。 とあります。インターネットで年金見込み額や年金加入状況がわかるようになれば、確かに便利でしょう。でも、本当にこれで良いのでしょうか。 本人確認を厳格に行いつつ、インターネットによる回答を可能とするとなると、おそらくは公的個人認証や住基カードやらが必要になるのでしょう。安全な通信の証明書、リーダライターやドライバのインストールなど、面倒な手続・準備がたくさんあることでしょう。 こうなると、公的個人認証や住民基本カードの発行枚数を増やす政府のための施策であって、国民サービスの向上ではありません。お金を掛けてシステムを作る割には、ごく一部の人しかサービスを享受できないという不公平もあります。 それよりは、一年に一度、年金加入者に対して郵送(封書)で年金見込み額及び年金加入状況の照会を知らせる。加えて、年金財源の運用状況、社会保険庁の組織改革(努力)の状況、今後何十年間の年金支払額等の推移予測グラフなどを、資料として同封する。 こうした基本サービスがあって、はじめてインターネットでの照会サービスが生きてくるのです。そんな当たり前なことが認識されないまま、安易かつ漫然とお金がかかる電子政府サービスを展開しようとしていることが、日本の電子政府が抱えている問題なのですね。 作者であれば、インターネットで年金見込み額及び年金加入状況の照会を知らせるだけのサービスは行いません。 オンラインバンキング等の多様な手段により、保険料を払うことが出来る仕組みができるまではスタートしません。 債権回収はタイミングが大切なので、相手が「払ってもいいかな」と思わせ、そう思った時に支払える(回収できる)仕組みが必須ということです。 年金見込み額及び年金加入状況を提示して、あと1ヶ月で時効となって支払えない保険料がありますよ。1年支払わないと、年金額が●%少なくなりますよ。と教えます。 それを見て、「払ってもいいかな」と思った国民が、そのままオンラインで保険料を支払うことが出来なければ、商品だけ見せて購入できないショッピングサイトのようなものです。 サービスとはいえない未熟な電子政府サービスが多いのは、サービスの設計・構築・運用プロセスが、根本的に間違っているからです。 そのことに気がつかない限り、いつまでたっても使ってもらえない電子政府サービスが増え続けることでしょう。 |
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