消費者契約法の概要を説明しています。 | |
平成12年5月12日に消費者契約法が公布されました(施行は平成13年4月1日から)。条文自体は量も少ないので、一度目を通しておくと良いでしょう。 この法律は、自己責任を原則とした上での消費者保護の観点から、消費者契約の申込みや承諾の意思表示取消しについてや、事業者の損害賠償の責任を免除する条項など、消費者の利益を不当に害することとなる条項の無効などについて定めています。 「消費者志向」「顧客志向」といった考えが一般的になってきている電子商取引に世界においては、このような法律の制定は自然な流れであり、利用規約の見直しなど事業者としての適切な対応が望まれるところでしょう。また、施行前の適切な対応と広報は、消費者に信頼と安心を提供し、少なからずブランド確立にも貢献することでしょう。 なお、この法律の適用があるのは「消費者対事業者」の関係においてであり、「事業者対事業者」については対象外となります。また、労働契約についても対象外です。また、施行日(平成13年4月1日)以前に締結された契約も対象外になります。 法律の主な内容は次の通りです。 (1)事業者及び消費者の努力 事業者: 消費者の権利義務や契約の内容について、必要な情報をわかりやすい形で提供すること。 消費者: 契約を締結する際に、提供された情報を基に契約の内容について理解すること。 努力義務規定ですが、事業者からの情報提供が明らかに少ない場合や、消費者に明らかな不注意があった場合などは、その責任を追及されることもあると理解しておいた方が良いでしょう。 (2)消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示の取消し 一定の場合に、誤認や困惑したことによる意思表示の取消しを認めます 誤認は、重要事項について事実と異なっていたり、誤解を招く内容の告知があった場合などに問題になります。困惑は、しつこく居座って契約締結を進めたりする行為があった場合などに問題になります。 (3)消費者契約の条項の無効 一定の場合に、事業者の損害賠償の責任を免除する条項が無効になります 損害が発生した原因が、事業者の債務不履行、事業者の不法行為などである場合には、事業者の損害賠償責任を免除することができません。有償契約の場合は、目的物の隠れた瑕疵(事業者も知らなかった故障など)についても責任が追及されます。 一定の場合に、消費者が支払う損害賠償の額を予定する条項等が無効になります 契約の解除に伴う損害賠償の額の予定や違約金を定める場合、これらの合算額が、事業者に生ずべき平均的な損害の額を超えるときは、その超える部分について無効になります。つまり、解約料・違約金と称して、不当な多額の請求をすることはできず、本当に損したであろう額しか請求できないということです。 販売代金等の支払が遅れた場合に、遅延損害金などの利子は年十四・六パーセント以内であることが必要です。これも、超える部分についてのみ無効となります。 一定の場合に、消費者の利益を一方的に害する条項が無効になります 他の法律(民法、商法など)による規定と比較して、消費者の権利を制限したり、消費者の義務を加重したりするものについては無効になります。一般的な常識から考えて、「これはひどいなあ」と思われる内容については再検討が必要ですね。 事業者においては、消費者契約法の公布をきっかけに「顧客志向」を再確認して、この法律を負担と考えずに、有効に活用することが大切でしょう。事前の十分な情報提供は当然であり、ただ提供しているだけでは消費者は見てくれないことを認識した方が良いかも。顧客を大切にして誠意ある対応を心がける企業でなければ、デジタル社会では生き残れないということなのでしょうね。 (4)参考サイト ●消費者の窓 内閣府が運営するサイト。消費生活に関係の深い情報をわかりやすく提供。 ●消費者契約法平成12年5月12日公布 テレコムサービス協会のサイトより。法律制定について事業者向けの告知。特に「事業者の損害賠償の責任を免除する条項の無効」の規定(第8条)に触れています。 ●消費者教育支援センター 「消費者」にとって必要・有用な情報を提供するサイト。各種資料やリンクも充実しています。 ●国民生活センター 消費者に役立つ情報を提供。消費生活相談で有名ですね。 |
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