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組織間の連携を実現するためには 2004年6月7日

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より良い電子政府・電子申請を実現するために必須となる、組織間の連携・協力について解説しています。
 
役所の「縦割り」問題は、どこの国でも共通しており、電子政府プロジェクトを妨げる障害として認知されています。

そのため、世界各国の電子政府計画や研究リポートには、「組織間の連携・協力」「組織横断的な取り組み」「官民のコラボレーション」といった言葉が多く見られ、電子政府の成功を決める大切な要素とされています。

日本も例外ではなく、とりわけ中央省庁の「縦割り」が世界的に有名であることは、作者自身も身を持って感じているところです。省庁間だけでなく、同じ省庁内でも(同じ部屋の部局であっても)「縦割り」があります。

まずは情報共有から

組織間の連携の第一歩は、「情報の共有」なのですが、そもそも各人が情報共有することに必要性・有益性を感じないことには、いくら霞ヶ関WANのようなネットワーク基盤が整備されても、本当の意味での情報共有は進まないのです。

つまり、組織間の連携を実現するためには、各人の意識や組織の文化を変えていく必要があるのです。電子政府が成長期・成熟期に入れば入るほど、人・文化の問題の重要性を痛感することでしょう。

電子政府において、組織間の連携を実現するためには、

1 リーダーがリーダーを育てる

電子政府において、リーダーシップの重要性は以前から指摘されるところですが、トップのリーダーシップだけでは、組織間の連携は実現できません。

電子政府のリーダーは、自身が変化に敏感かつ柔軟であることだけでなく、新たなリーダーを育てることが求められます。最近では、「チェンジリーダー」という言葉も有名ですが、こうした「チェンジリーダー」が局、部、課といった各組織にいることが望ましいのです。

各部署のリーダーが一貫性のある行動を取るようになることで、新しい文化が育まれる環境ができます。

リーダーは、変化が必要であることを各人が認識できるように、わかりやすい言葉を使って変化への対応を説明します。今回の例で言えば、なぜ「情報共有」が必要なのか、「情報共有」により何が変わって、どんな効果が生まれるのか、どんな情報をどのように共有していくのか、といったことを説明するのです。

2 段階的に変革を進める

人や文化を変えながら、組織間の連携を実現していくには、時間も手間もかかります。ですから、ある程度の長期戦を想定しつつ、段階的に進める必要があります。

そのためには、初めに「利害関係者の確定」を行い、次に「連携したという前例」を作っていきます。

「利害関係者の確定」は、各組織のなわばり範囲や友好関係を整理して理解するということです。

例えば、ある官民連携の電子申請プロジェクトに、A、B、Cの省庁が関係するとしましょう。今回のプロジェクトが扱う手続きの所管官庁はAであり、そこから派生する手続きをBとCが所管しています。また、AとBは割合いと仲が良いのですが、AとCは競争意識が強く対立することが多い。

このように、「利害関係者の確定」をした上で、Aが主催する今プロジェクトにBとCの参加を依頼します。「あまり仲が良くないAとCが同じプロジェクトに参加した」、これだけでも立派な「前例」となります。

Aはプロジェクトの進捗状況を、定期的にCに報告して、意見等を伺います。友好的なBは、Aに情報提供しながら提案等を行います。もちろん、定期的な会議には、ABCが出席して、顔を合わせます。

このように、段階的に進め、前例を積み重ねていくことが、本当の意味での組織間の連携を実現してくれる確実な道と言えるでしょう。

プロジェクトには連携・協力するための具体的な方法を

電子政府・電子申請のプロジェクトには、組織間の連携が必須です。しかし、組織間の連携は、単に「連携・協力しましょう」と謳っただけでは、決して実現されません。

連携・協力するための環境作りなど、具体的な計画を立てた上で、時間と労力を注ぐ必要があるのです。

ですから、電子政府・電子申請のプロジェクトの中には、組織間の連携を実現するための具体的な方法が盛り込まれていないといけないのです。

残念なことに、現在の電子政府・電子子申請は、せっかくの「前例」を作るチャンスを無駄にしているケースが多いように思います。

 


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