電子申請は、単体で存在するものではなく、様々な電子政府サービスや現場のノウハウとリンクすることで、その効果を期待できるものです。 | |||||||
最近気になるのが、「電子申請へのたらい回し」という現象です。役所への不満で挙げられることが多い「たらい回し」が、電子政府でも行われているのです。 こうした現象は、現在の電子申請が、実際の利用フローを想定していないことから生まれます。利用者の視点が欠けているのですね。 同じことを繰り返させる 「電子申請へのたらい回し」は、イメージとしては次のような感じになります。 会社設立の手続について知りたいと役所のサイトにアクセスします。掲載されている情報から、なんとか手続について理解しました。しかし、いざ実際に手続をしようすると・・・ 「あー、手続きはウチじゃなくて電子申請課がやってるから、そっちに行ってちょうだいな。」 と電子申請課(汎用受付システムなど)へ回されます。電子申請課へ行くと、 「はい、こちら電子申請課です。どういったご用件でしょうか。」 と応対されます。 「どういったご用件じゃなくて、会社設立手続きがしたいって言ったら、ここへ回されたんですよ。」 「はい、それではこちらからお探しください。」 と出されたのは、全く興味のない手続きの一覧リスト。 「いや、だから会社設立手続きがしたいんですよ。」 とイライラしてたら、さらに追い討ちが・・・ 「ところで、あなた電子証明書お持ちですか?」 「いいえ、持ってないですけど。」 「あー、すみませんね。電子証明書がないと手続きできないんですよ。」 「なにーっ!なめとんのかー!」 「ぺろーん」 ちょっとオーバーですけど、こんなコントみたいな展開が、役所サイトでは繰り広げられているのが現実なのですね。
たらい回しを避けるには まずは、電子申請を孤立させないようにします。 サービスの紹介や手続きの説明から、スムーズに電子申請(手続きプロセス)へ移行できることが必要になります。利用者に何度も同じ事をさせたり言わせたりすることは、避けなければいけません。 この問題は、特に多くの手続きを処理する「汎用受付等システム」において多く見られます。 解決策としては、「検索・案内機能の強化」、「既存コンテンツの活用」、「カスタマイズ機能の強化」などがあります。 (1)検索・案内機能の強化 欲しい情報や手続きが簡単に見つけられるように、検索機能を強化したり、様々な案内・分類を提供することです。 (2)既存コンテンツの活用 各手続については、担当する部局が有益なコンテンツ(申請の手引き、記入例など)を保有しています。こうしたコンテンツを電子申請システムの中に組み込むことが必要です。 (3)カスタマイズ機能の強化 利用者登録により、利用者の利用目的や利用履歴を考慮しながら、カスタマイズしたサービスの提供を行います。複数手続きの一括処理、以前利用したデータの再利用などがありますが、一番大切なのはオンラインで簡単に利用者登録ができることです。 |
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