- 「利用者」の絞り込みを
年間申請件数の多い手続、企業が行う頻度の高い手続、オンライン利用に関する企業ニーズの高い手続等を利用促進の対象とすることは、利用者ニーズに応える電子政府サービス実現への第一歩であり、今回の試みは高く評価すべきものと考えます。
その一方で、企業・個人・士業といったように漠然とした「利用者」を想定するだけでは、有効な具体的施策に結びつかないことを認識し、「利用者」が誰であるかを検討(絞込み)するべきと考えます。
- 対象手続の分類も利用者視点で
利用者視点を重視するのであれば、省庁ごとではなく、
・企業の業種(参考:Yahoo!ファイナンス
企業情報)
・規模(大企業、中小企業、個人事業主など)
・ライフサイクル(年間の経営フロー、設立から解散まで等)
といった視点から対象手続を分類することが望まれます。利用者視点の分類は、具体的なサービスを展開する時のコンテンツとしても活用できます。
- 電子申請の利用に関する積極的な情報公開を
今回の意見募集に係る資料は、電子申請の利用に関する積極的な情報公開として評価すべきものと考えます。
今後も、電子申請の利用に関して、積極的かつ定期的な情報公開を続けるべきと考えます。その際には、電子申請を提供するウェブサイトに、「運用・利用等に関する情報公開」のページ設置を義務付けることが有効と考えます。
残念なことに、今回の資料では
・各手続のオンラインサービスを提供するウェブサイトのURL
・事前の準備(電子署名、専用回線、事前登録、ソフトウェア)
といった利用者が知りたい情報が掲載されていません。こうした意見募集自体が利用を促進する機会であることを認識して、行政だけでなく利用者にとっても有益な資料作りを心がけることが望まれます。
- 利用率が高い事例の分析を
電子申請の利用率が低い手続について注目が集まりがちですが、利用率が高い手続にこそ、利用促進のヒントがあると考えます。
利用率が高い理由がわかれば、関連する手続や同様の利用者層を抱える手続等についても、より適切な利用促進策を考えやすくなります。
- 電子申請の停止・廃止を視野に入れた行動計画を
オンライン化された手続の利用率が数パーセント未満であり、利用促進策を実施して一定期間を経過しても改善が見られないものについては停止・廃止を行い、根本的な見直しをするべきと考えます。
よって、各手続が策定する行動計画(アクション・プラン)には、「利用率の目標」だけでなく、達成できなかった時は当該電子申請を停止・廃止する最低限の目標(ノルマ)を盛り込むべきと考えます。
このノルマは、各省庁ではなく、IT戦略本部等の独立した機関により決定されることが望まれます。
以上
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