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住基ネットを考える(6)

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(12)まとめ

様々な問題を抱え、議論が絶えない住基ネットですが、たくさんのお金をかけて構築し、既に運用が開始された以上、それを有効に使っていく方法を考えていくのが得策かと。もちろん、本来の目的である「住民の利便増進と行政の合理化」のために利用されなければいけないのですが。。。

用途に応じて番号を使い分ける

住民票コードにしても、納税(現在は統一的な番号付与なし)や年金個人付番方式の比較)、その他で既に国民に対して番号が付与され(総背番号制ではなくて選抜背番号制かな)、事務処理の効率化に役立っているわけですから、それほど騒ぎ立てるものでもないと思います。

まあ、国民は用途に応じて色んな番号を持つ(付与される)ということです。それは、民間の会員サービスかもしれないし、行政サービスや管理(許認可等)によるものかもしれないということ。行政・民間問わず、ほとんどの事務処理が電子化されているわけですから、番号付与は避けられないことです。これらが、全部一つの番号(住民票コードとか)でOKとなるとまずいですけどね(もちろん、そんな必要はない)。

ITはIT、それ以上でもそれ以下でもない

およそ人の生活において、「ヒューマンタッチ」や「ぬくもり」が必要とされる以上は、コンピュータにも住民票コードにも支配されることはない。作者は、そう思います。

住民票コードで事務処理の効率化を図ることが、IT至上主義のように思われることもありますが、住民票コードによる国家管理を極度に危惧することこそ、ITに対しての過信が見えるような気がします。

ITってそれほどのものなのか、そんな簡単に国民総背番号制による国家管理を実現してしまうことができるのかと。

住基ネットの未来は住民が握る

電子政府・電子自治体の実現により、市民が行政に参加する機会も増えてきます(ITで変わる市民参画と行政:NTTDATA)。住基ネットで国に管理されるのではなく、住基ネットの運用や制度を市民が監視して、自ら住民サービスの向上を実現させる努力が必要になるでしょう。

電子政府・電子自治体の成功が市民の協力なしでは実現し得ないように、住基ネットの未来も市民が握っているのですね。そのことに、住民は自信を持って良いと思います。

感情なしには語れない電子政府

もちろん、住基ネットに反対することについては、悪いことではないと思います。いわゆる住基ネット反対団体等は、Webサイト等で知る限りでは、言っていることは十分に理解できるものばかりです。

感情的なものと指摘される場合であっても、電子政府・電子自治体やそのインフラとなる住基ネットは、市民の生活に深く関係するものなのですから、感情論なしには語れないのが事実でしょう。市民の行政や電子政府に対する「信頼」「安心」「満足」は、全て市民の感情から生まれるものです。

政府は、「住基ネットは制度面、技術面、運用面等においてセキュリティや個人情報保護の措置をしている」と主張しており、その主張は決して嘘ではないと思います。にもかかわらず、これだけの混乱と不信を生み出してしまったのはなぜなのか。この問題を考えないことには、電子政府・電子自治体や電子申請の成功は厳しい。

住基ネットをきっかけに、電子政府や電子申請、個人情報保護、住民の政治参加など、色んなことをウンウンと考えるようになれば、日本の未来も明るいに違いないぞ。と、いつものように全くまとめにならず・・・

(13)参考サイト

住民基本台帳ネットワークシステムの構築
http://www.soumu.go.jp/c-gyousei/daityo/index.html
総務省による住基ネット解説ページ。システムの概要、Q&A、関係法令など住基ネットに関する資料が閲覧できます。まずはチェックしておきたい。

Mainichi INTERACTIVE インターネット事件(住基ネット)
http://www.mainichi.co.jp/digital/netfile/archive.html
毎日新聞(DIGITALトゥデイ)によるインターネット記事がチェックできます。日々の動向を知るのに最適。内容的には、反対意見が多いかな。

「住民基本台帳ネットワーク」関連リンク集
http://www.watch.impress.co.jp/internet/www/article/2002/0805/jyukinet.htm
INTERNET Watchによる住基ネット関連リンク集。よくまとめられていて、コメントも良いですね。

本格的に動き始めた「電子自治体」(住基ネット特集リンク)
http://premium.nikkeibp.co.jp/biz/e-gov/link6.shtml
日経BP社の「電子自治体」より住基ネット特集リンク。自治体の動きや意見表明が詳しい。随時、追加されているようです。

電子自治体情報
http://www.jj-souko.com/elocalgov/index.html
地方自治研究家である黒田氏のサイト。住基ネットに関する解説が盛りだくさん。住基ネットワーク廃止運動等に関する情報が充実しているのが嬉しい。

個人情報保護法案に反対し、住民基本台帳ネットワークシステム施行の延期を求める日弁連会長声明
http://www.nichibenren.or.jp/jp/katsudo/sytyou/kaityou/00/2002_8.html
日弁連の声明。言っていることは正しいような矛盾があるような・・・。

全国民に11ケタ番号!住基ネットの問題点
http://www.ne.jp/asahi/hige-toda/kadoma/8/jukinet/index.htm
市議会議員である戸田ひさよし氏のサイトより。住基ネットに反対する気持ちが、すごく伝わってきます。個人的には、こういう雰囲気のサイトは大好き。

住民基本台帳ネットワークシステムに参加しない矢祭町の基本的な考え
http://www.town.yamatsuri.fukushima.jp/juuminb.htm
矢祭町長による住基ネットに対する不参加表明。不参加表明している自治体の長は、同じような考えを持っているのでしょうね。言っていることはわかるのですが、誤解に基づく部分が多い気がするなあ。

国民共通番号制に反対する会
http://kokuminbango.hantai.jp/
櫻井よしこ氏が代表を務める団体。国民総背番号制としての住基ネットに反対。メディア等で有名ですが、Webサイトは思っていたよりおとなしい印象。

開かれた社会で有用となる住民基本台帳ネットワーク
http://www.mri.co.jp/TODAY/KATOY/2002/0726KY.html
三菱総研のコラム記事。グローバリゼーションの進展という観点から、国民背番号制やIDカード制度を考察。住基ネットの問題は、様々な視点から考えることで、その本質が見えてくるぞ。

『ネット社会の未来を考える』− 第2回特別講演会(2002.7) −
アメリカ同時多発テロ事件後の監視
http://www.icr.co.jp/crisis/SPECIAL2002/
情報通信総合研究所より。Queen's大学教授のDavid Lyon氏による、アメリカ同時多発テロ事件後の監視問題に対する講演会の概要。もちろん、住民票コードは監視や管理のために利用されてはいけません。

電子政府・電子自治体の試練:住基ネット騒動を巡って
http://premium.nikkeibp.co.jp/biz/e-gov/column1_4a.shtml
日経BP社のコラム記事より。安延氏による、住基ネット問題点の解説。住基ネット問題の本質を指摘してるものは数少ないので、おすすめ。

文字コードから見た住基ネットの問題点
http://www.horagai.com/www/moji/juki.htm
ほら貝の加藤弘一氏による指摘。外字問題は住基ネットというより電子政府全体の問題かな。公務員等による個人情報の覗き見は、住基ネットに限らない問題ですね。過剰な検索機能は、確かにまずいなあ。

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