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プリンター修理体験記、賢い消費者になるには? 2000年11月7日

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より良いサービスを願って、作者からの提案です。
はじめに
先日来、プリンター(モロクロレーザー)の故障と修理のために、かなりの労力を費やしてしまいました。保証期間中の低価格プリンターを修理してもらうのに、こんなに疲れるものかといった感じでした。

この経験から、これからの時代は消費者も自分で身を守る必要があると感じましたので、作者なりの対応・改善策を提案したいと思います。

なお、このコンテンツは、

・より良いサービスとは何ぞや?
・消費者ができる自己防衛手段は?

の2点をテーマにしております。Web告発する意図はありませんので、会社名・商品名などの公表は控えさせて頂きます。

それでは、ことの経緯に沿いながら話を進めてみましょう。

(1)プリンターの購入

7月末、モノクロレーザープリンターを近所の電化製品量販店で購入。価格は25000円ぐらい。バブルジェットほどインク交換をしないで済むからというのが主たる購入動機。

(2)不具合の発生と対処:その1

10月上旬、印刷すると用紙右側に線が出るようになる。まだ、百枚も印刷していないのに。印刷するたびに線が太くなる。

処置:メンテナンス機能を利用して、クリーニング。
結果:効果なし

(3)不具合の発生と対処:その2

取扱説明書を読んで、考えられる原因と対処法を調べる。その結果、トナーカートリッジ(交換目安は1000枚印刷後)またはドラムカートリッジ(交換目安は10000枚)の交換で直りそうだと知る。

処置:トナー(2500円ほどで買える)を交換してみる。
(ドラムカートリッジを買うと1万4、5千円ぐらいかかるので)
結果:効果なし

(4)サポートセンタへ問合わせ

ドラムカートリッジを買って交換するのはバカらしいので、説明書付属のサポートセンター一覧を見て電話をしてみる。

ひいきめに見ても対応が良いとは言えない。少しは通販専門店や外資系企業のサポートセンターを見習うべきだと思う。会話中に相手が「えーと」を連発したのには笑いました。「えーと」は、さすがにまずいんじゃないのか。


提案1:

きちんとしたサポート対応のマニュアルを作って実行しましょう。

社内で有しているナレッジを活用しながらシミュレーションを繰り返して、最低限のレベルをクリアして欲しいものです。


プリンターの不具合を伝えても話が進みそうにないので、「説明書には対処方法としてカートリッジ交換とあるが、2、3ヶ月に一回いちいち交換していたら費用がかかって困る」と伝える。型番を聞いてきたので教える。しばらく待った後、「原因が複数考えられるので、一度見てもらったほうが良い」との回答。

取りに来て欲しいと伝えると、出張費が8000円かかるとの回答。「何でそんなにかかるんだ、不具合で迷惑している消費者の気持ちを考えろ!」と言いたいのを我慢して、一覧表にある「川崎(作者の住まいがある)店に行きます」と伝える。川崎店はなくなりましたので、最寄は横浜店になります」との回答。結局、横浜までプリンターを持っていく羽目に。


提案2:

取りに来るだけで出張費を請求するのはやめましょう。

宅配便だって無料で荷物を取りにきてくれる時代です。ちなみに、作者が昔購入した、とあるメーカーのレーザーディスクプレーヤーが故障した時(保証期間中)は、無料で来てくれたし、その場で修理してくれました。しかも、原因をわかりやすく説明してくれました。もちろん費用は保証期間中なので無料でした。

ちなみに、最近次のような記事を読みました。

★ノートブックPCで業界初の出張修理サービスを開始
http://www.dell.com/html/jp/dell/news/001107.htm


(5)プリンターの持ち込み

プリンターを持って、横浜のサポートセンターへ。症状がわかるようにと、実際の印刷物も持参。電話した際の内容を受付け担当者に説明する。

「修理に2週間ほどかかる、こちらでは受付だけ。見ることはできない」との回答。わざわざ横浜まで来て、少しも見てくれないらしい。しかも2週間かかる。

しぶしぶ伝票に名前等の必要事項を記入する。この伝票には修理に関する広範囲なメーカーの免責事項が書かれていたが、その点につき全く説明はない。


提案3:

消費者に不利益となる事項については、事前に説明して承諾を得ましょう。

予防法務の観点から免責事項を決めておくのは悪いことではないですが、素人である消費者には、きちんと説明する必要があります。


「プリンターがないと困る。代わりに何か借りれないか」と伝える。「それはしていない」との回答。その際の理由が、「全機種をここに置くことはできない」「ノートパソコンを修理に来られる方も文句を言われるが、代替品は渡していない」との回答。らちがあかないので、「お願いします」と伝えてその場を去る。


提案4:

テキトーな理由をつけて自身を正当化するのはやめましょう。

その場しのぎの言い訳をするぐらいなら、沈黙していた方がましですね。消費者の不信感をあおることになりますので。上記の理由を見てみると、

全機種をここに置くことはできない:その必要は全くない。作者は何でも良いからプリンターが欲しかっただけ。

ノートパソコンの修理と比較:入っているデータが重要になるパソコンとは事情が全く異なる。

ということで、担当者が適当に考えた言い訳としか思えないのでした。


(6)修理完了の電話

修理に出して12日後、「修理が完了しましたので、取りにきてください」という電話がある。ちなみに、この時の電話対応はしっかりしてました。

「取りに行くのは面倒なので、送ってください」と伝える。さすがに、往復1時間以上かけて取りに行く気力はない。「配送すると時間がかかるし、輸送中に壊れる可能性もある」との回答。またまた言い訳の連発。「配送するのかしないのか」だけを伝えれば良いのに、なぜか言い訳を付けたがる。少しは後ろめたい気持ちがあるのかな。

「ずっとプリンターが使えなくて迷惑している。なぜ配送できないのか」と伝える。「配送できるが、送料が別途かかる」との回答。「送料はそちらで負担して下さい」と伝える。「費用はかかる。時間もかかる」との回答。

このままではらちがあかないので、「では、その旨の文書を送ってください。それを見て対応を考えます」と伝える。すると「わかりました。今回に限り送料当社負担でお送りします」との回答。おいおい、だったら最初から配送してくれと思う。


提案5:

サポートの出し惜しみはやめましょう。

今回のケースでは、なぜ最初から配送してくれないのか不思議。消費者が正当なサービスやサポートを受けるのに、どうしてメーカーと「交渉」する必要があるのでしょうか。交渉にはテクニックや知識が必要ですし、百戦錬磨のメーカーと素人である消費者を比較した場合、その交渉力の差は歴然としています。


かなりの労力と時間がかかったが、まあ良しとしようと思った矢先、「それでは、品物が到着した際に、カートリッジ交換費用として16***円お支払いください。」と言われました。

一瞬耳を疑ったが、なんとか気を取り直して、「保証期間なのに費用がかかるんですか」と伝える。「カートリッジは消耗品ですので保証対象外となります」との回答。

ぶち切れるのを我慢しながら、「そんな話は一言も聞いていない。わかりました。その旨を文書にして送ってください」と伝える。「社内で検討して、またご連絡します」との回答。「わかりました。お願いします」と伝える。

ここで再び

提案3:消費者に不利益となる事項については、事前の説明と承諾が必要です。

に戻ることになります。歯医者さんだって、保険がきかない治療については、事前に教えてくれますね。

見積もりも出さずに、修理(カートリッジの交換は修理とは呼べないですが)完了後「保証対象外なので費用がかかる」なんて言われたら、何のための保証なのかわかりません。

見積もりをもらえれば、修理するかしないかを選択することができます。ちょっと考えてみると、仮に出張費を払っていたら、8000円+16000円=24000円で新しいプリンターを買った方が早いのです。

カートリッジを交換する場合も、近所の電気屋で買って取り付けることなど1時間もあればできますし、その方が費用も安く済みます。

(7)一件落着の電話

連休を挟んでメーカーから電話があり、「保証期間中であり、時間もかかりましたので、今回は無料とさせて頂きます。本日発送しましたので、明日、明後日には届くと思います」との回答。「わかりました。ありがとうございました」と伝えて電話を切りました。

相変わらず言い訳をしていますが(保証期間中なのは最初からわかっていたこと、時間がかかることは受付時に了解している)、やっとこさ問題解決となりました。結局、一ヶ月近くプリンター不具合問題に悩まされたことになります。


提案6:

情報の共有をしましょう。

今回の件につき、故障したプリンターに関して、対応者が変わるたびに同じことを何度も伝える必要がありました。

最初に電話をした際の情報が、横浜の受付け担当者、修理工場、修理完了を伝える電話担当者に伝わっていれば、結果が変わっていたかもしれませんね。

また、このメーカーの上層部の人は、まさか自分の企業がこんな対応をしているとは思っていないのではないでしょうか。だって、こんな対応を許していたら会社全体がダメになってしまいますから。


ということで、低価格プリンターのマージン(利ざや)が小さいことはわかりますが、儲けるのは不具合のない製品でお願いしたいものです。

このメーカーのプリンターも、大部分は不具合なく保証期間を過ぎることになると思いますが、その分、保証期間中に不具合が生じたものについては、しっかりフォローアップをして欲しいということです。

そうでなければ、一部の消費者がハズレくじを引かされることになってしまうからです。ハズレくじを引かされた作者は、当分はこのメーカーの製品を購入することはないでしょう。

消費者ができる自己防衛手段

さて、恐ろしいのが、同じようなケースに遭遇した場合、消費者の中にはカートリッジ交換費用を払ってしまう人がいるのではないかということです。その人は、新品で購入したプリンターの不具合のため不便を強いられ、挙句の果てに高額な費用を請求されるということです。

そこで、いくつか自己防衛の方法(心構え)を上げておきますので、参考にして頂ければ幸です。

1)事実を記録しておくこと

法律文書全般に言えることですが、「誰が」「いつ」「何を」等がとても重要になります。故障した日時、電話した日時や受付け担当者などをメモしておきましょう。

電話については、会話を録音しておくのも良いですね。対面の場合も、メモしながら対応することで、相手の反応も変わってくるかもしれません。今回の作者のように、納得できない回答については文書にして下さいとお願いするのも一つの方法です。

他方、企業からすれば、電話応対時のマニュアルに「最初と最後に名前を言いましょう」と記載しておく必要がありますね。

2)感情的にならないこと

感情的になって相手に暴言を吐いてしまっては、解決する問題も解決しなくなってしまいます。相手企業側にも感情があることを理解して、節度ある態度を保つのが得策でしょう。

また、感情的な態度は、相手にとって扱いやすいと思われてしまう面もあります。意図的に感情的な態度を取ることも一つの方法ですが、やくざ屋さんではないのですから(プロではない)、効果的な方法とは言えないでしょう。

それよりも、妥協案・代替案を提案しながら、問題解決のための方法を模索するのが良いでしょう。企業にとっても、同様なことが言えますね。

3)正当な請求のみを行うこと

不当な請求は、自身を不利にする要素となり、法律に触れる可能性もあります。相手企業の言いなりになる必要はありませんが、いわゆるクレーマーに成り下がっては意味がありません。逆に言えば、客観的に見て正当と思われるものについては、自信を持って請求しましょう。

今回のケースにおける作者の請求は、

普通に使用していたにもかかわらず、保証期間中に不具合が生じたプリンターを、手間暇・費用をかけず、できる限り早く、きちんと使えるようにして欲しい

ということでした。迷惑料(言いがかり?)、慰謝料(心身疲弊など精神的な損害)、逸失利益(もしもプリンターが故障しなかったら作者が得たであろう利益)などを請求するつもりはありません。

企業としては、相手の請求が正当なものであれば即座に対応し、応えることができなければ、代替案を提示するのが良いでしょう。「正当な請求であるか」の見極めは、非常に重要であり、同時に難しいことでもありますが。

それでは、最後に

提案7:

積極的な情報公開に努めましょう。

消費者が適切な判断を行うために必要な情報をすべて公開することが、トラブル防止の第一歩だと思います。もちろん、提供される情報はわかりやすいことが必須であり、アクセスしやすいものであることが必要ですね。

それにしても、今回の件は疲れました・・・


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