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行政書士会ホームページと広報誌の関係 2001年6月21日 Home >>> 論考・資料室 >>> 行政書士会ホームページと広報誌の関係 |
ホームページと広報誌、両者は基本的に別物であり、それぞれに長所・短所を持ちます。お互いに補完しながら有効な関係を維持しつつ、相乗的な効果を生み出す努力をするのが良いでしょう。 | |||||||||||||||||||
●はじめに 各都道府県におかれる行政書士会(単位会。これの集合体として日本行政書士会連合会がある)では、ホームページを開設しているところが多くなりました。日行連サイトの一覧によると、2001年6月現在で33の単位会がホームページを運営しているようです。これだけ政府がIT政策を進めているのに、未だ14もの単位会が対応していないというのは、ある意味驚きなのですが。 その運営については、「行政書士会におけるホームページの運営(現在は非公開)」と題して、作者なりのガイドラインを作ってみましたが、今回は、これまた各単位会で発行している広報誌との関係を考えてみたいと思います。 単位会発行の広報誌というのは、その名の通り行政書士会の広報を目的とした刊行誌でありまして、月一又は隔月といったペースで発行され、行政書士会員や関係諸団体に配布されるものです。広報部で担当するのが一般的かと思われます。 一方、ホームページについては、神奈川会では企画開発部の担当であり、他の単位会においては、広報部の担当であったり、別途特別委員会を設けて、その運営を担っているという状況のようです。 作者の個人的な考えでは、単位会ホームページを情報戦略の起点として考え、会長を含む執行部の直轄として、実際の運営は特別委員会等で柔軟・迅速に行うというのが良いかと思います。 ●ホームページと広報誌との関係 ホームページと広報誌との関係ですが、結論を言えば、両者は相互に補完しながら共存していく関係であるべき、というのが作者の考えです。 つまり、両者は目的を同じくする部分も多いですが、基本的には別物であり、それぞれに長所・短所を持つということです。それだったら、お互いに補完しながら有効な関係を維持しつつ、相乗的な効果を生み出す努力をするべきと思うわけです。 表:ホームページと広報誌との比較
それでは、具体的な項目を挙げて両者を比較しながら、理想的な関係を考えてみましょう。 運営コスト 広報誌については、原稿を集めて編集を行い、印刷業者で製本したものを、郵送で各会員等へ送付するという手間暇がありますので、当然ながらかなりの費用が発生します。内容の優劣に関係なく、最低限必要なコストが高いということです。 ホームページについては、その費用を押さえることが可能です。立ち上げるだけであれば、月額1000円でも可能です。反対に、本格的なWebサイトを構築を外部委託して管理していくのであれば、一月で一年分の予算を使ってしまうことでしょう。 閲覧者の範囲 広報誌については、会員や関係諸団体への配布ということで、閲覧者の範囲は限定的です。一般の人は、その存在すら知らないかもしれませんね。その内容については、自ずと会員向の情報が多くなります。 ホームページについては、会員限定のページ等を除き、インターネット環境さえあれば誰でも自由に閲覧できるものであり、閲覧者も多種多様です。その内容については、会員向の情報に限らず、潜在的な顧客となる一般市民や企業、業務上関係が深い官公庁に向けた情報提供が必要になります。今後は、会内における調達情報の提供も重要になってくるでしょう。 情報の迅速性 広報誌については、月一又は隔月といったペースでの発行を考えると、情報公開のゴーサインが出てから、数週間から2ヶ月ぐらいでの掲載となってしまいます。そういった意味では迅速性に欠けるのも事実ですが、その分内容の吟味に時間をかけて、正確性を高めることも可能でしょう。また、一度発行したものについては訂正が困難であり、その分リスクが高いとも言えましょう。 ホームページについては、情報公開のゴーサインさえ出れば、その日のうちに掲載することが可能です。問題は、そのようなスピードを有効に活用できるための一連の手続(情報収集・加工、内容チェック、公開の決裁等)が整備されていないことでしょう。広報誌と比べると、後の訂正・追加が容易であることも特徴ですね。 紙とWebの違い 紙(広報誌)の特徴は、なんと言っても気軽に閲覧できることでしょう。パソコンやインターネットなんて難しそうなことは嫌いと言う人でも、雑誌を読むことには抵抗ないと思います。流し読み、回し読み、ちょっと貸して、ちょっと見せてなどリアルコミュニケーションとの関係が深いのも特徴かと思います。実物として郵送で手元に届けられることも、馴染みやすい理由の一つでしょう。 Web(ホームページ)の特徴は、インターネット環境さえあれば誰でも閲覧できることの他に、コピーや加工の容易性、情報伝達の速さなどが挙げられるでしょう。今後、インターネットが益々日常化して、パソコン機器等の操作性が向上することで、「お気軽度」も上がっていくことでしょう。 ●情報戦略の起点としてのホームページ 広報誌については、これまでの経験を踏まえながら、会員向の正確な情報を中心として、定期的に発行していくというスタンスを維持していけば良いと思います。 他方、ホームページについては、その歴史も浅く経験も少ないということで、その本格的な活用はこれからだと思います。作者個人としては、情報戦略(情報操作じゃありません・・・念のため)の起点としてホームページを活用するのが良いと考えています。 例えば、危機管理としての公式声明を迅速に行う方法として、ホームページは有効です。最近、行政書士法改正に関する不確かな情報が流れ、会員が混乱するという事態があったようですが、こうした事態に対しては、公式ホームページを通じての説明を行うことで(コツはありますが)、問題解決が容易になるでしょう。 また、司法制度改革審議会の意見、政府のIT戦略、行政機関による法令適用事前確認手続などに対する、会としての公式見解を発表する場としても有効です。 この他にも、電子政府、成年後見制度など社会性・公共性の高い関連団体等への協力・援助状況、無料相談の実施などについても、ホームページを通じて積極的に広報していくのが良いでしょう。 つまり、会としての明確なビジョンを明示して、そのビジョンに従って行った活動をみんなに知ってもらうためにホームページを活用する、ということです。有限実行と言うことですね。 なお、掲載した情報については、下記にあるような方法でプレスリリースを行うなどの努力が必要です。 ○Net記者クラブ ○プレスネットワーク ●ホームページと組織情報化との関係 情報戦略の起点としてのホームページを確立するためには、組織・制度を改革して、デジタル社会に対応可能な単位会になる必要があります。 電子政府を実現するためには、行政の経営・制度改革が必須となることと同じですね。執行部や各部との連携・情報共有、価値のある正確な情報を迅速に公開するシステムなどは、情報化なくしては困難だということです。 単位会ホームページを、会長を含む執行部の直轄として、実際の運営は特別委員会等で柔軟・迅速に行うというのが良いと言ったのも、ホームページをどのように活用していくかを考えることが、現在の組織が抱え持つ根本的な問題を明らかにし、その解決方法を示唆してくれると思うからです。 現在の単位会レベルであれば、ホームページの運営費については、年額10〜100万円の予算で十分でしょう。高度な機能や見栄えにお金を使う前に、会内の情報フローを整備して、正確な情報を迅速に提供できるよう組織改革をしていくことが大切だと思います。 |
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