電子申請における添付書類のあり方を解説しています。 電子申請における添付書類には、紙申請と異なる発想とアプローチが必要です。優秀なオンラインサービスとして、電子申請が最大限の効果をあげるために、明確なルールを定めましょう。 |
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電子申請が成功するための条件 電子申請とは、今までの申請・届出を電子化することではなく、 オンラインサービスという視点から行政手続を見直すこと です。今や当たり前とも言えることですが、頭で理解していても、実際に体現していくことは難しいようです。 そもそも、日本の行政手続自体が複雑で、電子化に馴染まない状態にあります。それをそのまま電子化しているのが現在の電子申請ですから、使い難くなるのも無理はありません。システム構築にも、お金と時間が余分にかかります。 電子化にあたって手続の簡素化・合理化を進めるのではなく、簡素化・合理化できたものでなければ電子化してはいけないとするのが本来なのです。 さらに、電子申請を成功させるためには、 提供される電子申請が、優秀なオンラインサービスであること が必要となります。しかし、政府や法律が定める要件に基づいて出来上がる電子申請は、あまりにもインターネット利用者の特性を無視した、サービスとは言い難いものです。 添付書類でわかる現在の電子申請の誤解 例として、添付書類を取り上げてみましょう。 電子申請では、紙申請と同じような添付書類の提出が要求されます。明らかに電子化に馴染まないものでも、無理に電子化して提出させようとします。 電子申請で添付書類が省略されたと言っても、住民票の写しなど簡単に入手できるものや、登記簿謄本など別途手続が必要なものなどで、実際には何の省略もされていないに等しいのです。 各府省情報化統括責任者(CIO)連絡会議で、「電子政府構築計画の」改定案が公表されていますが、その中で、添付書類について次のような記述があります。 「添付書類の提出についても、できる限りオンライン化するため、民間が発行する証明書等の電子化について、所管府省は、府省別の計画に沿って、2005 年度末(平成17 年度末)までに所要の措置を講ずる。なお、電子申請システムを利用して送信することができない添付書類(電子的に発行することが困難な証明書等)をスキャナー等を利用して電子化し、オンラインで送信できるようにするための方策については、CIO 連絡会議において引き続き検討を進める。」 このような考えで電子申請を進める限り、残念ながら、電子申請が成功することはないでしょう。 どこのオンラインサービスに、わざわざ紙の書類をスキャンさせて送信させるなんて無駄なことをさせるでしょうか。だいたい、スキャンした書類をもらっても管理が大変であり、受け取る側の自己満足にしか成り得ません。 電子申請における添付書類のルール それでは、一体どうすれば良いのでしょうか。 答えは簡単で、電子申請における添付書類のルールとして、次の二つを定めるのです。 ルールその1: これで、「紙の書類を別途郵送」や「スキャンして送信する」といった要求はなくなるでしょう。 もしかしたら、行政側は「それでは、申請内容の要件等を確認できない」と言うかもしれませんが、それは違います。できないと思うのであれば、できる方法を考えるのです。そして、その「考える」というプロセスこそが、より良い電子申請を実現するための大切な要素なのです。 また、電子申請のために民間の文書等を電子化する必要はありません。 本当に電子化が必要なものであれば、電子申請に関係なく電子化されます。そうして電子化され一般に流通するようになれば、添付書類として要求しても良いでしょう。 ルールその2: 欲しければ行政が自分で確認しに行くのがスジです。そのために多額の費用で構築・運営される専用ネットワークがあるのですから。 なお、確認することについては、登記等の誰でも閲覧できる情報をのぞいて、申請者の承諾を取っておきましょう。 具体例で見る添付書類の簡素化 例えば、宅地建物取引業法第三条による宅地建物取引業免許申請では、法人が申請する場合の提出書類は下記のとおりです。
最適化した電子申請では、
となります。実際には、1と2は同一画面で作成されるため
こうした簡素化・合理化ができたら、初めて電子申請サービスとして追加して良い状態になります。 「提供される電子申請が、優秀なオンラインサービスである」ためには、どうすれば良いか。何を変えていけば良いのか。そうした発想が、今の電子申請には必要なのです。 |
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